四話 トックン
木々が生い茂る大森林に、木刀を打ち合う音がこだました。
「はい、一本!」
ギドはリオスのみぞおちをたたいて言った。
「無理だわ。勝てねえ。」
颯爽にあきらめるリオス。
「お前には気合と根性がない。」
ギドが言いきった。
「なら、能力の方の練習で行くか。」
「能力?」
リオスは鸚鵡返しに言う。
「ああ。お前の能力で「模倣」ってあるだろ。あれチートで見た能力をそっくりそのまま再現できんだ。だから、俺の能力見ろ。」
ギドが言った。
「お前の能力は?」
「俺の能力はレジェンド能力「賭博黙示録ギド」っつーのでまず、敵の心の隙間に入って俺が創造した世界に誘惑する。この世界の最低ルール条件として、攻撃は一切ダメが入らん。次に、サイコロ、トランプカードの二種類のギャンブルがある。これは干渉者が選び、直先攻後攻を決めるのは干渉者だ。だが、制作者は世界内での確立を操作できるんだよね。そのあと勝ったやつには相手に対してこの世界で攻撃する権利が与えられる。その場合攻撃はすべてクリティカルヒットになり、攻撃した瞬間干渉者にしろ制作者にしろどっちも現実世界に戻されて気づくと目の前の相手が気絶みたいな話だ。」
「出鱈目だな。」
リオスの率直な感想がそれだった。
「そうだ。他にも、神として本来備わっている能力のレア能力「高速再生」やエキゾチック能力「神ノ眼」があるぞ。」
鼻を高そうにギドが言った。
「んじゃ、コピーしてみる。」
「すごいな。」
そう、一言感嘆してリオスが言った。
「そうだろ凄いだろ。」
胸を反らして自慢げにギドが言った。
「てか、そういえばこの世界に魔法ってあるの?」
リオスが素朴な疑問をギドに投げた。
「あるぜ。」
「まじ?能力以外で?」
「ああ。魔法は滝行するとか炎であぶられるとかそういうことをすると体が魔法に適性を持つようになる。魔法はぶっちゃけ誰でも使える。だけど上塗りはできない。つまり、水の能力をゲットした後に炎の能力をゲットしたら水の能力になる。魔法は無限にあって宇宙空間に放り出したら重力能力wwみたいな話だ。」
「なあるほどね。」
リオスが相槌を打った。
「なら、魔法獲得はもうちょっと考えた方がいいな。」
「ほいな。」
ギドが水をかけた。
「死ね。」
「ジョーダンジョーダン。マイケル・ジョーダン。そんなんで能力獲得につながると思う?」
「冗談ではすまされねえぞ。」
リオスは古物の件といい今の件といい少なからずギドにイラついていた。リオスは素早くギドの下卑た面に木刀で一発を食らわせた。
「ったくいてえな!」
ギドはリオスの木刀を握り、自分の方向に向けて引っ張った。すると、リオスはバランスを崩し、ギドのわきの下をくぐり緑の地面へ顔面衝突しようとする。
「頭かちわりぃ!」
その後のことをギドが考えていたかはわからない。しかし、事件を目撃したものなら只殺意マシマシで人を殺したようにしか見えなかっただろう。
「神ノ眼」
リオスは別の世界にでもとんだ気分であった。すべての動きが幻影の様に早く・・・いや、遅い。だがしかし、そんな眼でも地面にぶつかるのを拒否することはできない。
「グエ!」
リオスの顔面は地面にぶつかり、その間抜けさにギドは戦闘意欲を亡くした。
「制御しろや。」
「できたらとっくにやってるよ。」
「大体お前発動するの遅いんだよ。地面にぶつかるところで発動ってお前なあ。」
「今一度やるからちゃんと視ろ。」
全てがゆっくりに。ギドなど屁でもないように思えてくる。しかしながら、ギドも神ノ眼を使えギドの方が技量が高いので粋ることはできない。
「カン!」
引き延ばされた時間の中で木刀を打つ音が鳴った。
その調子でずっと練習を続けた双方は互角とも言えた。なにより、「神ノ眼」の効果が大きいのだが。
「あ~腹減った。」
奇遇にも同じタイミングで両者が腹の虫を鳴らせて言った。
「飯食えねえ・・・」
絶望の淵で二人は食べられないという苦しみを味わっていた。
「なあ、この地面に生えてる草食えるんかな?」
「だめだ。天使が食べんなっつってる。」
リオスに至っては一日で幻覚が見えているようで、温室育ちのたんぽぽはこの世界でやっていけないかもしれない。
「よし!」
ギドが観念したかのように言う。
「この世界に来てから初めての華々しい犯罪だ。気合い入れろ。」
パン屋の店主は店内の蝋燭に灯された灯りを全て消した。いざ、就寝というところである。だが、店主はこの後の何時思い出しても腹が立つ下卑た面・・・そう言い表すには無駄な美青年と美少年たちを憎むことであろう。
「よし、作戦決行である。漫画とかでよく出てくる女狙いの盗賊、頭にぺこぺこしている男の風上にも置けない情けない手下A!今が好機よ!逃すでない!ゆけ!ゆけぇ!」
「黙れ。」




