第9章 利敵
第9章 利敵
シスリアが目を覚ますと、そこは見知らぬ部屋だった。
冷たい金属の手錠でベッドに縛られ、自由に動くことができない。部屋の中は薄暗く、外の様子を伺うこともできなかった。
彼女はすぐに自分がどこにいるのかを理解した。
シスリアの心の中「……ここは、タースの基地……?」
そう思った瞬間、扉の向こうからゆっくりと足音が近づいてきた。
タースの登場――冷静な支配者
扉が開き、タースが姿を現した。
無表情ながらも、どこか余裕のある態度でシスリアを見下ろしている。
タース「目が覚めたか」
彼の声は冷たくも静かで、シスリアの内心をかき乱すものだった。
しかし、シスリアは冷静さを失わないように努めた。
シスリア「……どうしてこんなことをするんですか…」
タースは薄く笑みを浮かべた。
タース「お前が賢いのは知っている。だから話は手短にしよう。お前をここに連れてきたのは、俺の計画の一環だ……お前を利用するためにな」
タースの心の中「すぐに殺してはつまらない…利用させてもらうぜ…」
シスリアは目を細め、タースの言葉を注意深く聞き取る。
シスリア「……利用…ですか…」
タースは少し椅子を引き、シスリアの目の前に座った。
タース「お前がどれだけ賢くても、俺には計画がある、お前の頭脳と立場を使えば、俺の計画はさらに盤石なものになる…」
シスリアは挑発的に笑みを浮かべた。
シスリア「……あなたの計画? それが何かは分かりませんが、私はあなたの言いなりにはなりません」
タースはその言葉に対して冷静に返した。
タース「お前がそう言うのは想定内だ……だが、選択肢はない、俺の方法は、相手に選択肢を与えないことだ…」
シスリアの心の中――反撃の糸口を探す
シスリアは縛られたまま、タースの言葉を冷静に分析していた。
シスリアの心の中「……彼が私を利用したいというなら、彼が私に何を期待しているのかを見極める必要がある…」
彼女は慎重に口を開いた。
シスリア「計画とは…」
タースは彼女の問いに、余裕の表情を浮かべたまま答える。
タース「いいだろう。ただし、お前の役割に関係する部分だけだがな……」
タースはゆっくりと立ち上がり、部屋の窓の外を見ながら話し始めた。
タース「お前が追い続けた事故の数々……すべては計画のための布石に過ぎない。だが、これからは別の段階に移る。お前にはそれを支える役割を担ってもらう」
彼の言葉に、シスリアはさらなる疑念を抱いた。
シスリア「……具体的には?」
タースは振り返り、シスリアを見据えた。
タース「お前が知る必要があるのは、俺が必ず成功するということだけだ…いや…それすらもいらない…」
その瞬間…
タースは無表情のまま、シスリアの腕に注射器を刺した。
その中身は記憶を失わせる薬!
「これでお前は何もかも忘れる。TSの存在も、マサトのことも、自分が探偵であることすらも……」
シスリア「っ…ぅ…」
彼はその効果を確信し、静かに部屋を出ていった。
数時間後、シスリアは目を覚ました。
冷静な彼女は、まず周囲を見回した。
シスリアの心の中「……ここはどこ? なぜ私はこんなところに?」
彼女は冷静を装いながらも、内心では自分の状況が理解できないことで動揺していた。
だが、タースはその可能性も計算に入れていた。
シスリアがいるのは快適な牢屋。
柔らかいベッド、座り心地の良い椅子、落ち着いた照明…これらは全て、彼女を混乱させないためのタースの配慮だった。
タースは監視カメラを通じてシスリアの様子を観察しながら、内心で計画を再確認していた。
タースの心の中「これから7日間、この檻に閉じ込めて観察する。しっかり記憶が失われたかどうかを確認するためにな」
もし記憶が完全に消えていることが確認できた場合、タースは次の行動に移る予定だった。
タースの心の中「7日後、俺が"助ける者"として登場する……彼女に信頼させるのは簡単だ。記憶がなければ疑念は抱かれない」
タースは牢屋に設置したマイクを通じて、シスリアに話しかけ始めた。
もちろんボイスチェンジャーを使用し、自分だと分からないようにしていた。
タース「目を覚ましたか…」
シスリアはその声に眉をひそめた。
シスリア「……誰ですか? 私はなぜここにいるんですか?」
タース「質問に答える必要はない。ただ、ここでお前は一生を過ごせば良い」
シスリアは冷静に見えながらも、頭の中で必死に状況を整理しようとしていた。
シスリアの心の中「…一生…?なぜ私はここにいるの? 誰が私を連れてきた…?」
しかし、どれだけ考えても自分の記憶に答えがなかった。
監視カメラを見ながら、タースは心の中で笑みを浮かべていた。
タースの心の中「彼女の冷静さは健在だが、記憶がなければ行動の意味を見出せない。7日間観察すれば、すべてが明らかになる」
1日目…
シスリアは、1日経った時点で以前の冷静さを完全に失っていた。
彼女は牢屋内のカメラを見つめながら、絶え間なく話しかけ続けている。
シスリア「お願いです、ここから出してください……私が何をしたって言うんですか……!」
時折声を荒げたり、泣きそうになったりしながら訴えるその姿は、かつての冷静で理知的なシスリアの面影を完全に失っていた。
タースは基地のモニター越しに、その様子を冷静に観察していた。
椅子に座り、彼女の一挙一動を注意深く見つめる。
タースの心の中「おそらく、以前のシスリアならこうはならない。だが、薬が効いている証拠か……」
タースの心の中には、わずかな疑念が浮かんでいた。
タースの心の中「いや、待てよ。これが演技である可能性もある……奴が記憶を失ったとしても、その冷静な性格まで完全に変わるとは限らない」
シスリアは疲れた様子でカメラに向かって話しかける。
シスリア「……お願いです。誰か……誰か答えてください……」
シスリア「私はここにいる理由が分からないんです……なぜ私を閉じ込めるんですか……!」
その声には確かに怯えと混乱が滲んでいた。
タースはシスリアの姿を見ながら、心の中で計画を再確認する。
タースの心の中「……何があっても、7日間はここから出すつもりはない。記憶が完全に消えたと確信するまではな」
彼はモニターを見つめながら、シスリアが話す言葉や行動をすべて記録していく。
5日目…
5日が経過し、シスリアは完全に疲れ切っていた。
牢屋の中で何度も同じことを繰り返し話しかける彼女の声は、以前の冷静さや知性を完全に失っているように見えた。
シスリア「もう嫌です……ここから出して……誰でもいいから助けて……!」
彼女の目には涙が滲み、声は震えている。
壁に手を当てながらカメラを見つめ、必死に訴え続けていた。
タースの観察…
タースはモニター越しにその姿を見つめていた。
モニターに映るシスリアは、かつての冷静な探偵としての姿からは想像もできないほど感情的になっている。
タース「……ここまで感情を露わにするとは。薬は間違いなく効いている…利用できるまであと少し…」
だが、タースの心にはまだ一抹の疑念が残っていた。
タースの心の中「だが…まだ演技の可能性も完全には否定できない。シスリアならば、この状況で自分を守るためにこうした演技をすることもあり得る……」
シスリアは疲労のためか、時折言葉が支離滅裂になることもあった。
シスリア「私は……私は……何をしたっていうんですか……? どうして私が……こんな……」
シスリア「誰か……お願いです……誰か答えて……!」
彼女の声は次第に弱々しくなり、最後には床に崩れ落ちるように座り込んでしまった。
タースは静かに時計を見つめながら、次の段階の準備を進めていた。
タースの心の中「……あと2日。2日間で完全に記憶が消えたと確信できれば、俺は“救いの手”を差し伸べる役を演じる」
7日後
7日間が経過し、シスリアは完全に疲れ果て、感情の制御も失っていた。
床に座り込み、力なくカメラを見つめる彼女は、涙も尽き果てたような表情を浮かべていた。
シスリア「……もう、誰でもいい……助けて……お願い……」
声は掠れており、ほとんど聞き取れないほどだった。
一方で、タースはモニターの前で静かに立ち上がる。
タース「そろそろだな……」
タースは、あらかじめ用意していたシンプルな服装に着替え、檻の近くまで向かった。
足音を響かせながらゆっくりと扉を開ける。
シスリアはその音に微かに反応し、うっすらと顔を上げた。
目の前には、檻の前に立つタースの姿があった。
タースは優しい声を装いながら話しかける。
タース「大丈夫だ……君を助けに来た」
その声に、シスリアは怯えるような目で彼を見上げる。
シスリア「……誰……?」
タースはしゃがみ込み、手を差し伸べながら微笑んだ。
タース「俺は君を救うために来た。ここから連れ出す……もう安心していい」
シスリアの疑念と混乱
シスリアはその言葉に一瞬戸惑いながらも、疲れ切った体と心では、彼を疑う余裕すらなかった。
シスリア「……救ってくれるの……?」
タースはゆっくりとうなずき、檻の鍵を開けた。
タース「もちろんだ。もう苦しまなくていい」
タースは心の中で確信していた。
タースの心の中「完全に記憶は消えている。今の彼女には、俺が信じられる唯一の存在だ」
彼はシスリアの手を取ると、ゆっくりと立ち上がらせた。
タース「さあ、ここから出よう」
…
タースはシスリアを助け出した後、あらかじめ借りておいた簡素な部屋へと彼女を連れ込んだ。
部屋は最低限の家具しかないが、快適に見せるよう整えられていた。
シスリアを椅子に座らせたタースは、冷静な口調で語りかける。
タース「さて……君が何故あそこに閉じ込められていたのか、そこが問題だ…」
シスリアは疲れた表情を浮かべながらタースを見つめた。
シスリア「……分からないんです。どうしてあんな場所に……私、何も覚えていなくて……」
タースは優しい表情を装いながら、ゆっくりと彼女の手に手錠をかけた。
タース「念のためだ。もしかしたら君が大罪を犯した人物かもしれない…救い出したのはいいが、安全のため確認が取れるまでこうしておく」
その言葉に、シスリアの表情は動揺に変わった。
シスリア「待ってください! 私はそんなことしていませんっ…! 絶対に…!」
タースは冷静な声で彼女を宥める。
タース「分かっている。ただ、君が記憶を失っている以上、念には念を入れるべきだ。それに、あの檻よりはマシだろう?」
シスリアは感情を爆発させるように否定し続けた。
シスリア「私は何もしていません! 私を信じてください!」
だが、タースはその言葉に耳を傾けるふりをしながら、内心では次の計画を進めていた。
タースは内心で冷静に計画を再確認する。
タースの心の中「この状況を利用する。俺は彼女をこの数日間で恋に落とす。信頼と感情を操作すれば、簡単に俺の計画に乗るはずだ」
タースの心の中「彼女は地頭が良い。つまり、俺が起こした事故のトリックを“最近こういう事件があったんだ”と話せば、彼女の推理を聞き出せる。そこからトリックの改善点を見つけ、次の計画をより完璧なものにする……」
タースの心の中「そして、利用価値が尽きた時……彼女も事故に見せかけて始末する」
タースの中で計画は固まりつつあった。
彼は冷静に次の行動を選んだ。
タースは一息つくと、シスリアに優しい声で話しかけた。
タース「君を疑っているわけじゃない。ただ、記憶を取り戻すまでは慎重に行動したいだけだ。君を守るためでもある」
その言葉に、シスリアは少し落ち着きを取り戻したようだった。
シスリア「……私、本当に覚えていないんです……どうすれば……」
タースは椅子を引き寄せ、シスリアの目をじっと見つめた。
タース「ゆっくりでいい…まずは俺が君を助けたという事実を覚えておいてくれ。それだけで十分だ…」
その言葉に、シスリアは少しずつタースに対する信頼を抱き始めたようだった。
1日目…身の回りの世話で信頼を得る
タースは、手錠をかけられたままのシスリアの身の回りの世話をすべて引き受けた。
彼女の食事を用意し、飲み物を差し出し、できる限り優しく接する。
タース「何か不自由なことがあれば言ってくれ。君が困らないようにしたいんだ」
シスリアは初めのうちはタースを疑う目で見ていたが、次第にその献身的な態度に心を開き始めた。
シスリア「……ありがとうございます。でも、本当にこんなことしなくても……」
タースは微笑みながら答えた。
タース「気にするな。俺は君が少しでも快適に過ごせるようにしたいだけだ」
その言葉に、シスリアは小さくうなずいた。
手錠に縛られた状態でも、彼の態度にわずかな安堵を覚え始めていた。
2日目…否定する彼女を肯定して信頼を深める
翌日、タースはさらに信頼を得るために、シスリアの否定的な発言をすべて肯定し、彼女を支えるような態度を取った。
シスリア「……私、本当に何も覚えていないんです。どうしてこんなことになったのか……」
タースは優しく彼女の目を見つめた。
タース「それでいいんだ。無理に思い出そうとしなくていい。君が何をしていたのかなんて関係ない。俺は今の君を信じてる」
その言葉に、シスリアは目を潤ませた。
シスリア「……私、信じてくれるんですか?」
タースは力強くうなずいた。
タース「もちろんだ。君を疑う理由なんてない。むしろ、君がどうしてこんな目に遭ったのか知りたいくらいだ」
この一言で、シスリアはさらに心を許し始めた。
3日目…手錠を外し、本格的に一緒に過ごす
3日目、タースはついにシスリアの手錠を外した。
タース「もう君を縛る必要はない。俺は君を信じてるし、君も俺を信じてくれると思うからな」
シスリアは解放された手を見つめ、感動したようにタースを見上げた。
シスリア「……ありがとうございます…本当に…ありがとうございます…」
この日から、タースはさらに接触を増やし、彼女と共に過ごす時間を大切にした。
タース「君の家がまだ分からないから、しばらくここで過ごしてほしい…でも、ここが嫌なら新しい場所を探すこともできる」
シスリアは少し考えた後、静かに答えた。
シスリア「いえ……ここで大丈夫です。……あなたと一緒なら……」
タースの心の中
タースの心の中「完璧だ。この数日間で信頼と感情を完全に手に入れた。シスリアは今、俺以外の選択肢を考える余裕もなくなっている」
タースの心の中「次は……彼女をさらに深く巻き込む。俺が提示する“事件”を彼女に推理させ、その知恵を利用してトリックを改善する。そして……最終的に彼女も排除する」
タースの心の中「今はとりあえず…もうこの人と一緒に過ごせば良い…とでも思わせる…」
…
タースは自分を「スティーブ」と名乗り、シスリアとの日常を本格的に築き始めた。
彼女の信頼をさらに深めるため、自然体で振る舞い、普通の生活を演出していく。
タース「今日は映画でも見ないか?」
タース「君の好みが分からないけど、きっとこれなら気に入ると思う」
シスリアは少し戸惑いながらも、タースの提案を受け入れた。
シスリア「……いいですね、久しぶりに落ち着いた時間を過ごせそうです」
…
二人はリビングで映画を見ながら、穏やかな時間を共有した。
タースは何気なくシスリアの好みに合わせた作品を選び、彼女の反応を見ながら会話を弾ませた。
タース「どう? このシーン、面白いだろう?」
シスリア「はい……でも、ちょっと意外でした。こういう作品も好きなんですね」
シスリアが笑顔を見せるたび、タースは内心で計画が順調に進んでいることを確信した。
タースの心の中「いいぞ……彼女はもう俺を完全に信頼している。あと少しだ」
料理を通じてさらに距離を縮める
次の日、タースは料理を提案した。
タース「今日は一緒に料理を作らないか? 君の好みも知りたいし、楽しい時間になるだろう」
シスリアは少し驚いたようだったが、すぐに同意した。
シスリア「……いいですね。私、あまり料理は得意じゃないんですけど」
タースは軽く笑いながら答えた。
タース「大丈夫。俺がちゃんと教えるから安心してくれ」
二人はキッチンに立ち、一緒に料理を作り始めた。
タースはシスリアに簡単な作業を任せ、徐々に彼女の自信を引き出すよう心掛けた。
タース「ほら、上手くできただろう?」
シスリア「……本当ですね。私でもできるなんて……なんだか楽しいです」
シスリアは、まるで新しい自分を発見したかのように笑顔を浮かべていた。
タースはシスリアとの時間を楽しむふりをしながら、次の一手を冷静に計算していた。
タースの心の中「いいぞ……このまま信頼と感情を完全に手に入れる。そして彼女の頭脳を利用して次の“事件”を仕立てるヒントを得るんだ」
彼はさらなる信頼を得るため、シスリアとの日常を丁寧に積み重ねていくことを決意した。
マサトは、シスリアが何日も事務所に戻ってこないことに強い不信感を抱き始めていた。
マサトの心の中「シスリアさんがこんなに長く帰ってこないなんて、絶対におかしい……。7日間捜査に没頭することはあったけど、今回は違う……何が起きてる?」
彼は事務所の机の上に置かれたシスリアの整理された書類や写真を見つめながら考えを巡らせる。
マサトの心の中「もし何かあったなら、俺が動かなきゃ……でも、どこから手をつければ……」
マサトは決意を固め、シスリアの行方を探すために動き始めることを決めた。
…
一方、シスリアの新しい日常
一方、シスリアはタース(スティーブ)が外出している間、家事をこなしながら彼のことを考えていた。
キッチンで皿を洗いながら、ふと手を止めて彼の姿を思い浮かべる。
シスリアの心の中「……スティーブさんは、本当に優しい人…私を助けてくれて、ここまで面倒を見てくれるなんて……」
彼女はまだ完全に安心しているわけではないが、徐々にタースに対して感謝と信頼の気持ちを深めつつあった。
シスリアの心の中「……私がここにいる理由が分からないけど、少なくとも彼がいてくれてよかった…」
タースは外出先で次の計画の準備を進めていた。
彼の心には確かな自信があった。
タースの心の中「シスリアはもう俺を疑っていない…次は俺の計画をさらに進めるための準備だ……。マサトが何かを始めても構わない…むしろ、俺の陽動の駒として利用できる」
タースは新しい“事件”を作り出すための素材や情報を集めつつ、シスリアとの信頼関係をさらに深める手段を練っていた。
数日が経ち、シスリアはタース(スティーブ)への信頼と感情をさらに深めていた。
タースが外出から帰ってくると、彼女は駆け寄り、恥ずかしそうにモジモジしながらも「おかえり」と声をかけるまでになっていた。
シスリアの心の中「……スティーブさんがいてくれるから…私はここにいられる…彼が戻ってくると安心する……」
その姿を見て、タースは内心で確信を深めていた。
タースの心の中「バカが……俺の計画通りだ。こうなれば、利用するのは簡単だ。もうほとんど俺の勝ちだ……」
一方、マサトは隣町にいるタースの存在には気づかず、シスリアの事務所で手がかりを探し続けていた。
しかし、シスリアの机を漁っても特に有力な情報は見つからない。
マサトの心の中「一体どこに行っちゃったんだ、シスリアさん……? これじゃあ、手がかりゼロだ……」
事務所から外に出て、近隣で目撃情報を集めようとしたものの、誰も彼女の行方を知らなかった。
失望して事務所に戻ったマサトは、シスリアの机の下に何かが落ちていることに気づいた。
それは、シスリアが愛用していた銃だった。
マサト「……なんで、こんなところに……?」
マサトは銃を手に取り、その意味を考えた。
マサトの心の中「シスリアさんが自分でここに置いたのか? それとも、何かあった証拠なのか……?」
銃が放置されている状況に違和感を覚えたマサトは、さらに調べる必要があると感じた。
続く