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第8章 拉致

一方、タースは新たな計画を実行に移そうとしていた。


タースの心の中「……まだ事故に見せかけた現場を作る必要がある。次はあいつを誘き寄せる形にする」


彼はさらに、現場での捜査を円滑にするための変装について考えた。


タースの心の中「普通に警察の服を着て現場に紛れ込めばいい。あいつが俺の素の姿を確認する術はもうない。爆発でデータが全て消えたからな…しかし警察としてシスリアへの接触は無謀…」


だが、それだけでは不十分だと感じた。


タースの心の中「……さらに新しい刑事を利用し、シスリアの注意をそちらに向けさせる。もし成功すれば、彼女の推理を混乱させることができる…」


タースは冷静に自分の計画を整理していた。


タースの心の中「……以前、ソルツ刑事の部下"タイタン"としてシスリアたちに接触した。その結果、タイタンという存在は怪しまれている……だが、それが逆に使える…」


タースは計画の鍵として、"タイタン"の名前を再び利用することを決めた。


タースはまず刑事デイビッドに"タイタン"として接触した。


タース「いやぁ…あそこの署は一回行きましたが…コーヒーマシーンがねぇ?」



タース「えぇ…警察官としては当然です」



全て侵入した際に見つけた情報を言う…これで信憑性は増すだろう


デイビッドとの会話では、自分をタイタンと名乗り、信頼を得るために警察に関する知識を駆使して巧みに話を進めた。


タース「デイビッドさん、実は優秀な探偵がいましてね……シスリアさんと言うんですが、あなたにぜひ紹介したいんです…勿論俺からの証拠をお土産として持っていても構いません…」


タース「彼女には私も助かりましたしね…はっきり言いますが…彼女はあまりコミュニケーションを取らない…が…デイビットさん…あなたなら可能に思える…」


デイビッドは一瞬疑問を抱くが、タイタンとしてのタースの話術に納得し、シスリアへの接触に同意する。


デイビッド「なるほどな、そんな優秀な探偵がいるなら会ってみたい…」


これでタースの計画は第一段階をクリアした。


マサトへのメール…タイタンからの連絡


タースはタイタンとして、マサトにメールを送る。


「久しぶりです。タイタンです。

マサトさん、そしてシスリアさん。今度僕の知り合いの刑事、デイビッドが伺います。

勿論、証拠を持って行きますのでよろしくお願いします。」


このメールの狙いは明白だった。

怪しまれている"タイタン"の名前を利用し、デイビッドという存在に疑念を抱かせることだった。


タースがデイビッドに"タイタン"として接触した理由は簡単だった。


「もしシスリアがタイタンという名前をデイビッドの前で口にした場合、デイビッドが"タイタンとは誰か"と疑問を抱く」


その結果、計画が破綻するリスクがあった。

だからこそ、デイビッドとはタイタンとしての自分を通じて仲良くなり、万が一の状況に備えたのだ。


タースの心の中――計画の確信


タースの心の中「……これでシスリアは、デイビッドという"本物の刑事"にさえ疑念を抱くだろう」



タイタンからのメール…再びの疑念


シスリアはマサトから見せられたタイタンのメールをじっと見つめていた。


シスリアの心の中「……タイタン……またあなたですか」


そのメールには「デイビッド」という刑事を紹介する旨が書かれていたが、シスリアには別の考えが浮かんでいた。


シスリアの心の中「もしタイタンが以前ソルツ刑事として接触してきたTS…または仲間だとしたら……」


彼女はその可能性を捨てきれず、警戒心をさらに強める。


一方、マサトはメールを見て陽気に喜んでいた。


マサト「また協力者ですね! うっひょお! これで事件解決もスピードアップっすよ!」


シスリアはマサトの言葉をスルーしつつも、慎重に判断を下した。


シスリア「……怪しいとは思いますが、会わないわけにはいきませんね」


翌日、約束通りデイビッドという刑事がシスリアとマサトの前に現れた。

背の高い男性で、整った顔立ちと落ち着いた雰囲気を持っている。


デイビッド「はじめまして、デイビッドです…タイタンさんからあなた方のことを聞いています」


シスリアは冷静に彼を観察する。


シスリアの心の中「……ソルツ刑事がもしTSだったとしたら、変装のプロ……雰囲気が少し違うだけでも、TSの可能性はある」


彼女は頭の中でデイビッドの動きや話し方を細かく分析しながら、警戒心を解かない。


マサトの陽気な自己紹介


マサトはデイビッドに対して陽気に自己紹介を始めた。


マサト「どうもどうも! 日本から来たマサトです! いやぁ、刑事さんが協力してくれるなんて心強いっすね!」


その明るさにデイビッドは少し面食らったようだったが、柔らかな笑みを浮かべた。


デイビッド「あなたがマサトさんですね…シスリアさんと一緒に事件を追っていると聞いています」


シスリアの冷静な観察


一方、シスリアはデイビッドの言葉や仕草を一つひとつ見逃さないようにしていた。

だが、彼女の中には一つの疑念が残っていた。


シスリアの心の中「……このデイビッドという人物、本当にタイタンの言う通りの刑事なの…? それとも…」


シスリアは話しながら、彼の背後にある可能性を探るため、さらに深い質問を投げかける準備を始めた。


タースの心の中――計画進行中


その頃、遠くから事の成り行きを見守っていたタースは内心で笑みを浮かべていた。


タースの心の中「さあ、シスリア。お前がどこまで俺の計画に気付けるか……見ものだ」


彼はシスリアとデイビッドが接触する様子を観察しながら、次の手を打つタイミングをうかがっていた。


シスリアはデイビッドに質問を投げかけた。


シスリア「ソルツ刑事はご存知でしょうか? 前に一緒に捜査をしていた刑事なのですが……」


デイビッドは少し首をかしげた。


デイビッド「ソルツ刑事……? いや、知らないなぁ……」


シスリアの心の中「……もしこの人がソルツ刑事の次の変装だとしたら、嘘をついている可能性がある……でも…また変装してくるなんてあり得ない…」


だが、タースの計画はすでに成功していた。

ソルツ刑事として接触していた際、タースはメガネやコートの襟、帽子といったアイテムを使い、特徴を覚えにくくする工夫をしていた。さらに、デイビッドを選んだ理由も、タース自身と背丈や顔立ちが似ているためだった。


その為シスリアは考えられるパターンが多すぎて、完全に真実にたどり着くことができなかった。


タースの次の計画――ソルツ刑事を利用した陽動


一方、タースは新たな計画を頭の中で練り上げていた。


タースの心の中「次はソルツ刑事を完全に捨てる……だが、それを陽動として最大限に利用する」


タースの次の計画はこうだ:


1. 事故現場を作る

タースは新たに事故に見せかけた現場を作り、そこにソルツ刑事として着ていた衣装を持っていく…警察に変装して…


2. 警察に紛れ込む

警察官に変装して現場に紛れ込み、シスリアが見ていない間にバカなマサトに衣装を渡す。


3. 衣装に盗聴器を仕込む

ソルツ刑事の衣装には事前に盗聴器を仕込んでおき、シスリアたちが衣装を回収することを想定していた。


4. マイクと録音機を使った陽動

時計台の近くに、録音機とマイクを設置する。録音機には「今から犯行に及ぶ」と繰り返す音声を仕込み、それを12時5分前から流す。時計台の鐘の音も意図的にヒントとして使う…それは場所が時計台と分からせるため…


5. シスリアたちが陽動に気を取られている間に事務所に潜入

シスリアたちが録音機の特定に夢中になる時間を利用し、シスリアの事務所に潜入。必要な物を盗む、あるいは新たに仕掛けを設置する。


タースの心の中「シスリアの性格だ……録音機が流す音声に夢中になり、これを切ることはしないだろう」


タースは計画を完璧に仕上げたと確信していた。


タースの心の中「これで奴らの注意を完全に引きつける。そして俺は、その隙に次のステップに進むだけだ……」


次の日――計画の開始


時計台の近くに設置された録音機とマイク

午前11時55分、録音機がセットされ、準備は整った。

「今から犯行に及ぶ……場所を特定してみろ……」

12時になると時計台の鐘の音が鳴り響き、さらに録音内容の説得力が増す。


一時間前…


新たな事故現場…デイビッドからの情報


その日、デイビッドからシスリアに新たな事故現場の情報が入った。


デイビッド「また事故のような現場が見つかりました。調べる価値があるかもしれん」


シスリアとマサトは、デイビッドと共にその現場に向かうことにした。


現場に到着すると、やはりこれまでの事故と同様の状況が広がっていた。

一見すると、完全に偶発的な事故に見えるが、シスリアはその背後にある可能性を探るべく、注意深く現場を観察していた。


シスリアの心の中「また同じパターン……これが偶然だとは思えません」


だが、その捜査中に背後で小さな動きがあったことに、シスリアは気付いていなかった。


タースの行動…マサトへの接触


その間、タースは警察官に変装し、現場に紛れ込んでいた。

手にはソルツ刑事として使用していた衣装と手帳を持っている。


タースの心の中「やはりな…ここではシスリアと一緒に捜査してた時の情報がいかせた…やつはマサトを放って捜査する…」


彼はシスリアが捜査に集中している隙を見計らい、マサトに近づいた。


タース「……君がマサトさんだね。事故現場で刑事らしき衣装が見つかった。これを預かってくれるか?」


突然の接触に、マサトは少し驚いたが、刑事だと名乗る男の言葉に疑いを抱く様子はなかった。


マサト「え、俺がですか? わかりました! 任せてください!」


タースは素早く衣装と手帳を渡し、礼を述べるとすぐにその場を去った。

マサトはその後、衣装と手帳のことをシスリアに報告した。


シスリアの事務所へ


事故現場から帰った後、シスリアはマサトから渡されたソルツ刑事の衣装と手帳を注意深く調べることにした。


シスリアの心の中「ソルツ刑事の衣装……一見するとただのものだが、何か仕掛けがあるはず」


だが、衣装を調べている途中で突然音声が流れ出した。

その音声は、途切れることなく繰り返し再生されている。


「今から犯行に及ぶ……場所を特定してみろ……」


事務所での特定作業に繋がる


音声を聞いたシスリアは、すぐに音源の特定を始めた。

彼女の冷静な推理が試される中、タースの計画は着々と進行していた。


一方、タースは遠くからその状況を見守りながら微笑む。


タースの心の中「さあ、シスリア……この陽動にどれだけ引っかかるか見せてもらおう」


鐘の音を聞いたシスリアは、音声が発信されている場所を即座に特定した。


シスリア「……時計台近く…」


マサト「行きましょう!」


シスリアとマサトは事務所を出て急いで向かう


一方その頃、タースはシスリアの事務所に潜入していた。

手際よく分かりにくい場所に ガス、盗聴器、カメラ を仕掛けていく。

その様子は冷静そのものだった。


タースの心の中「シスリアたちが戻る前にすべてを終える……」


だが、仕掛けを終えようとしたその瞬間、背後でドアの音がした。


タース「……!」


振り向くと、そこには冷静な表情で立つシスリアの姿があった。


シスリアは冷静にタースに言い放った。


シスリア「やはり……陽動でしたか」


タースは一瞬驚いたものの、すぐに警察官の格好をしている自分の姿を確認し、冷静を装った。

この格好ならば素性がバレることはないだが、予想外の接触であることには変わりなかった。


タース「現場には……」と口を開くタースに対し、シスリアは言い返す。


シスリア「マサト君だけに行かせました…もしあなたが本当に事故を起こそうとしているなら、まずいですからね」


タースは内心の動揺を隠しながらも、余裕のある態度を保つ。


タース「勘というものは……だが、俺は手際が良い。お前が出てから5分もあれば、色んな物を仕掛けるには十分だった」


そう言って後ろを振り向いたタース。

その瞬間、シスリアは警戒し、机の引き出しから銃を取り出し、タースに向けた。


シスリア「つまり、何が言いたいんですか?」


シスリアは冷たく言い放つ。


だが、その言葉を口にした直後、シスリアは異変を感じ始めた。

視界がぼやけ、体に力が入らなくなっていく。手にしていた銃も力なく地面に落ちた。


シスリア「……っ……」


タースはすでにガスマスクを着けており、振り向いた彼の目には勝利の確信があった。


タースの心の中「後で使う予定だったが、マサトがいないならちょうど良い……。少しずつ出せば気付かれることもないものだ」


シスリア「…触ら…な…いで……」


彼はゆっくりとシスリアに近づき、意識が朦朧としている彼女を拘束した


タースはシスリアを拘束すると、そのまま彼女を自分の車に乗せ、基地へと向かった。

車内で彼は冷静に次の計画を考え始める。


タースの心の中「……シスリアを直接手に入れた。これで俺の計画はさらに優位になる」


続く

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