第3章:ハニーはお好き?トラップは?
第3章:ハニーはお好き?トラップは?
タースは基地に戻ると、静かに椅子に腰掛け、次なる作戦を考え始めた。
タースの心の中「……今回は少し変になるかもしれんが、まぁ良い。次は奴の"考察の邪魔"をする。タイタンの名前が使えなくなった今、別人として接触する必要がある」
彼は不敵に笑いながら、自らの考えを整理する。
タースの心の中「だが、もう警察手帳の偽造は無理だ……なら、"一般人"として奴に近づく…ソルツのように完璧な変装は必要ない…素の姿で接触する…」
タース…TSとして知られる殺し屋 は顔を知られていない。変装どころか、素で行動しても問題はないのだ…それと…もうバリエーションがない…
タースの心の中「しかし、"一般人"として振る舞う以上、ソルツ刑事のように堂々と動くことはできない。だが、それでも"確実に"興味を引く方法がある」
タースの口元に冷酷な笑みが浮かぶ。
タースの心の中「…ナンパだ」
タースの計画…"記憶の片隅に残る"ナンパ男
タースの計画はシンプルだ。
1. シスリアがいつも行くカフェ付近で、他の女性をナンパする姿を見せる。
2. シスリアに"ナンパする男"として認識させる。
3. その後、直接シスリアにナンパを仕掛ける…知的なナンパならば、シスリアも1ミリの興味は持つだろう。
さらに…この日の好都合な条件…
マサトの存在だ。
マサトのような単純なタイプなら、目の前でナンパが行われればシスリアに 「見てよ、あれ!」 と話題を振るに違いない…つまり…シスリアは俺のナンパを確実に目視する!
…
翌日――シスリアとマサト、カフェにて
次の日、シスリアはマサトと共にいつものカフェにいた。冷静沈着なシスリアだが、今日も甘いパンケーキ に目を輝かせている。
シスリア「……やっぱり、ここのパンケーキは絶品ですね…」
シスリアが小さく笑みを浮かべながらフォークを動かす。その姿にマサトは慣れっこだ。
マサト「シスリアさん…冷静すぎて怖い時あるけど、パンケーキの前だけは普通の女の子だよな」
シスリアは冷ややかな眼光でマサトを一瞥するが、すぐにパンケーキに目を戻す。
その頃、タースはカフェの扉を静かに開けた。そして、シスリアとマサトが座る席から見える位置に座っている女性に"自然"に声をかけ始める。
タース「ねえ、こんなところで一人なんて勿体ないな。一緒にコーヒーでもどう?」
女性は驚きながら苦笑いするが、タースは適度に軽い口調で続ける。
タース「いや、断られたら帰るつもりだったけど……もしかして、今笑った? 笑顔が見れたから、俺の勝ちかな」
シスリアがその様子に気づく前に…。
マサト「おい、シスリア… あれ見て、あの男…うわー…」
案の定、マサトがシスリアの肩を叩き、目を向けさせた。
シスリアは一瞬、タース…いや、"ナンパ男"を冷静に見つめる。彼女の目は何の興味も示していないように見えるが、その鋭い洞察力の裏には僅かな観察が生まれていた。
シスリア「……ただのナンパ男…でしょうか?」
マサト「ああいうのまだいるんだなぁ…」
しかし、シスリアはそれ以上の関心を示さず、再びパンケーキへと視線を戻した。
タースは女性との会話を適度に切り上げ、自然にカフェを後にした。その背後でシスリアが僅かに気配を感じ取っていることを確信しながら。
タースの心の中「これでいい。俺はただの"ナンパ男"としてシスリアの記憶に残った。次は…直接接触だ」
タースは冷たい笑みを浮かべ、次の作戦に向けて静かに歩き出す。
タースの心の中「探偵よ、お前の目の前に立つ俺が"何者"なのか……気づくことはあるまい」
探偵と殺し屋の戦いは、表の平静さとは裏腹に、静かに駒が進められていく。
次なる一手は、タースがシスリアに直接"ナンパ"を仕掛ける…真実に近づく者とそれを妨害する者の攻防が、ますます激化する。
夜――シスリアの接触を狙うタース
その夜、タースはシスリアの事務所近くの通りで、冷静に待機していた。周囲の気配に目を光らせ、やがてシスリアが姿を現すのを確認する。
タースの心の中「……いたな」
だが、タースはすぐには声をかけない。慎重さが彼の鉄則だ。まずはシスリアの前を歩いている女性たちに"試し"を仕掛ける。
タース「あの、少しお時間いいですか?…あ、やっぱり無理か、すみませんね」
彼はどこか軽い口調で女性たちに声をかけるが、その態度には一切の魅力も知性も感じられない。むしろ、ただの"面倒な男"に見えるように振る舞った。
タースの心の中「もし受け入れられたら余計な手間になる……ここは安全策だ」
数人に声をかけ、適度にシスリアの注意を引く。シスリアはその様子を遠目に冷静に見つめていた。
タース…シスリアへの接触
そして、その後――タースはシスリアの正面に立ち、自然な笑みを浮かべながら声をかけた。
タース「こんばんは、こんな夜に一人ですか?」
シスリアは冷たい目でタースを一瞥するが、タースは一切動じない。その態度には先ほどの"ナンパ男"の軽薄さは微塵もない。むしろ知的で穏やかな雰囲気すら漂わせていた。
タース「急に声をかけて申し訳ない。君のように知的に見える女性に話しかけるのは、勇気がいりますね…同じタイプは貴重だ…」
シスリアは表情を変えずに答える。
シスリア「……私に何かご用ですか?」
タース「そう堅くならないでほしい。実は、近くにいいバーがあって…一杯どうですか?もちろん、無理にとは言いません」
タースの言葉には、無理強いする態度は一切なかった。それが逆にシスリアの中に微かな興味を生む。
シスリア「バー……?」
タースの狙い…バーという選択
タースはこの一手を完璧に仕込んでいた。
タースの心の中「シスリアはお酒を飲むタイプかは分からない。だが、飲むなら"判断能力"の低下を狙える可能性がある」
さらに彼が選んだバーは、事前に見つけておいた "スイーツが充実しているバー" だった。
タースの心の中「シスリアは甘いものに目がない……このバーなら"飲まない"にしても、スイーツ目当てで滞在してくれるだろう」
バーという大人の雰囲気が、自然と"親密度"を上げる空間を作り出す。これはあくまで"接触の第一歩"だが、タースはその一歩を確実に進めようとしていた。
シスリアの反応
シスリアは一瞬、タースの言葉を吟味するように目を細めた。彼の知的で自然な態度には、先ほどの軽薄なナンパ男の影がまるでない。
シスリア「……お酒は飲まない主義ですが」
タース「なら、スイーツでもどうです?意外とこのバー、評判がいいんですよ」
タースの提案に、シスリアは少し考え込む。
シスリアの心の中「この男、ただのナンパ男ではない……でも…敵意や危険な気配は感じない…どちらにせよ…何かわかる可能性があるなら…ここで拒否する理由はない」
シスリア「……わかりました。少しだけ、お付き合いしましょう」
タースは穏やかに微笑み、シスリアと共にバーへと向かった。
タース「ところで…お名前は?」
…
バー
バーに着くと、柔らかな照明と落ち着いた雰囲気が二人を包んだ。タースはシスリアを自然に席へ案内し、メニューを手渡す。
タース「ここ、スイーツがなかなか評判なんです。お酒を飲まないなら、コーヒーと一緒にどうです?」
シスリアはメニューを眺めながら、少し目を輝かせた。
シスリア「……パンケーキ、ありますね」
タースは内心、確信を得た。
タースの心の中「ふふ、やはりか。これで"自然な接触"は成功だ」
しかし、シスリアは油断していない。彼女はバーに着いてからも、タースの態度や言動を冷静に観察し続けていた…
タースの心の中
タースはシスリアの様子を見つめながら、心の中で次の手を練る。
タースの心の中「今はまだ第一段階だ……俺はただの"ナンパ男"として記憶される。それでいい…焦る必要はない」
彼はスムーズに会話を進めながら、シスリアの警戒心を少しずつ削ぎ落とすように振る舞った。
探偵と殺し屋の距離は、今夜さらに縮まる…
タースの狡猾な接触は、シスリアにどのような影響を与えるのか。
一見穏やかな夜のバーで、静かな心理戦が再び動き始めていた
落ち着いた音楽と柔らかな照明が漂うバーの一角。シスリアとタースは向かい合って座っていた。タースは冷静な笑みを浮かべつつ、シスリアの様子を観察している。
そして…
シスリア「……シロップを追加でください」
タース「え?」
タースは一瞬驚いた顔を見せたが、すぐに表情を戻す。見ると、シスリアは目の前のパンケーキに異常な量のシロップをかけていた。さらに、その勢いは止まらず、店員が持ってきたシロップを深皿に流し込み、パンケーキがほとんど"浸って"いる状態になった。
タースの心の中「……深い皿で頼んでいた理由はこれか……」
タースは心の中で呟きつつ、興味深そうに口を開いた。
タース「……甘いものがお好きなんですね。シロップ、そこまでかける人は初めて見ましたよ」
シスリアは淡々とした顔でパンケーキを頬張りながら答える。
シスリア「甘いものは疲れを取るので、効率的です。シロップは……多ければ多いほどいいですね」
タースはその言葉に小さく笑いながら、冷静に話題を展開した。
タース「なるほど、面白いですね…では…ついでに聞いてもいいですか?そんなシスリアさんが好きな本や映画…とか…」
シスリアはフォークを置き、少し考え込むように目を細めた。
シスリア「……本は推理小説が多いですね。読みながら"答え"を予想するのが好きです。映画なら、展開が読みにくいものが好みです」
タース「推理小説ですか……やはり、頭を使うものが好きなんですね」
タースは興味を持ったふりをしながら、冷静にシスリアの言葉を頭の中に刻んでいく。
その一方で、彼の心には別の狙いが潜んでいた。
タースの心の中「今の目的は、表向き"ナンパ男"としてシスリアと仲良くなること。そして、捜査の邪魔をするための"時間を奪う"こと……」
彼女が答えを探るその時間を、少しずつ削いでいく。
シスリアの反応…タースの観察
シスリアは質問に一つ一つ丁寧に答えながらも、パンケーキを切る手を止めない。その姿には冷静さと、彼女特有の"甘いものに対する愛"が垣間見えた。
タースは続けて、彼女の様子を観察しながらさらに言葉を紡ぐ。
タース「推理小説が好きなんですね。僕も時々読みますよ…例えば、トリックや伏線が巧妙なものが特に面白い」
シスリア「……そうですか」
シスリアは少しだけ視線を上げ、タースを見つめた。
シスリア「では、どんな作品を読まれたのですか?」
タースは一瞬、間を置いたが、すぐに知的な笑みを浮かべて返答した。
タース「"無限の迷宮"――ご存知ですか? 複雑な伏線が絡み合い、最後に全てが繋がる見事な作品です…しかし…もし推理をしながら進めたのなら…伏線と共に物語の事件解決をすることが出来る…ついてくる言葉も少し興味をそそられますよ」
シスリアは微かに頷いた。
シスリア「……なるほど、少し面白そうですね」
タースは内心で微笑む。
タースの心の中「悪くない反応だ。今夜の"接触"は成功している」
タースの目標…連絡先交換
バーの空間が心地よく満ちていく中、タースはそろそろ"次の一手"を打つことを決意した。
タース「シスリアさん、正直……あなたのような方とお話しできて、楽しかったですよ。僕も知的な会話は好きでしてね」
シスリアはパンケーキの最後の一切れを口に運びながら、冷静に返した。
シスリア「……そうですか」
タースは自然にスマートフォンを取り出し、知的な表情のまま続けた。
タース「よければ、またこういったお話をしたいですね。連絡先を交換しませんか?」
シスリアは一瞬、タースを見つめた。彼女の中に小さな警戒心が浮かんだものの――。
シスリアの心の中「ただのナンパ男……。少し変わった男だけど…敵意は感じない…彼が何者かを知る材料にもなる……」
そう考え、シスリアは静かに頷いた。
シスリア「……分かりました。ただし、必要な時だけにしましょう」
タースは穏やかな笑みを浮かべながら、心の中で勝利を確信する。
タースの心の中「……いいだろう。それで十分だ」
タース「はい…勿論です」
タースの心の中
タースはスマートフォンにシスリアの連絡先を保存しながら、内心で笑みを浮かべた。
タースの心の中「第一段階は完了だ……。これで俺は"ただのナンパ男"として、シスリアの生活に入り込むことができた」
彼の目的は"親密度を上げ、捜査を混乱させる"こと。そして…
タースの心の中「この関係が深まれば、次の作戦への道筋も見えてくる……」
次の日…
朝の冷たい風が通りを駆け抜ける中、シスリアはカフェへ向かう途中で立ち寄った古本屋の扉を静かに開けた。店内には年季の入った本が並び、時間が止まったかのような静けさが漂っている。
シスリアの指先が棚をなぞり、一冊の本で止まる。
『無限の迷宮』
ナンパ男が以前、バーで口にした推理小説だ。シスリアの目がわずかに細められる。
シスリアの心の中「……これは、偶然でしょうか?」
彼女はその本を手に取り、レジへ向かった。
タース…予期せぬニュース
その頃、タースは基地に戻り、次なる作戦を考えていた。ナンパ男として次にどう動くべきか…そう考えていると、壁に取り付けたモニターからニュースが流れ出した。
ニュース「今朝、市内の北区で新たな殺人事件が発生しました。警察は連続殺人事件の可能性も視野に入れ、捜査を進めています」
タースの動きが一瞬止まる。
タース「……何?」
タースの心の中に僅かな苛立ちが芽生えた。
タースの心の中「自分以外にも……? ふざけた真似を……」
この街では"タース"の存在は都市伝説のように語られている。"事故"に見せかける完璧な殺し屋――その影響もあり、同業者の活動はほとんどなかった。だが、今回の事件はタースにとって"面倒な存在"だった。
シスリアの動きを封じ、捜査を撹乱するのがタースの目的だ。だが、新たな事件が発生すれば、シスリアはそちらに目を向けてしまう。
タースの心の中「……シスリアがそっちの事件を追うとなれば、始末するのが先延ばしになるな」
タースは静かに目を閉じ、冷静に策を練る。
タースの心の中「……そうだ。ならば"ソルツ刑事"として、シスリアとこの殺人犯を追いかける。先に捕まえてしまえばいい」
彼の口元に冷たい笑みが浮かぶ。
タースの心の中「勝負は一旦休戦……といったところか」
夜…シスリアの事務所
夜、シスリアは事務所の椅子に座り、バーでの出来事を思い返しつつ、一冊の本を静かに開いた。
『無限の迷宮』
そのタイトルが目に飛び込んできた瞬間、彼女の目は少しだけ鋭く光る。ページをめくる指先はいつもよりゆっくりだ。
その様子を見ていたマサトが、首を傾げながら声をかけた。
マサト「……あれ? シスリアさん…それ何の本ですか?」
シスリアは顔を上げずに答える。
シスリアの「……推理小説です。タイトルは『無限の迷宮』」
マサトは不思議そうに呟いた。
マサト「ふーん…新しい本なんて珍しいですね…誰かに紹介されたとかですか?」
その一言に、シスリアの手が止まる。
シスリアの心の中「……そうですね」
彼女の目は本を見つめながら、再び考え込んでいた。
シスリアの心の中「あの男――"ただのナンパ男"ではない。何かがある」
…
タースの準備――休戦の裏側
一方、タースは基地で準備を進めていた。ニュースの殺人事件に関する資料を集め、"ソルツ刑事"としての完璧な準備を整えていく。
タースの心の中「シスリア、次は"協力者"として動くぞ…だが…これも俺の掌の上だ」
彼の視線は冷徹に光り、今後の動きが頭の中で組み立てられていく。
探偵と殺し屋の一時的な"休戦"――しかしその裏には、さらなる駆け引きが隠されている。
タースの目的は一つ、シスリアの行動を読み切り、捜査の先を奪うこと。そして、その隙を見て…
"オールアクシデント"の舞台は、さらに深い闇へと足を踏み入れようとしていた…
夜の事務所に静寂が広がる中、シスリアは机に向かい、ページをゆっくりとめくっていた。手にしているのは『無限の迷宮』――その内容は複雑に絡み合った伏線と謎が魅力の推理小説だ。
シスリア「……なるほど、ここで繋がるのですか」
"夜の愉快な痕跡は遺体すらも寝に見える"
シスリアは冷静に物語を読み解きながらも、時間の感覚を忘れていた。一晩中、1ページ1ページを丁寧に読み進め、いつの間にか夜が明けていた。
朝…シスリアへの電話
外が明るくなり始めた頃――事務所に一本の電話が鳴り響いた。シスリアは珍しく目をこすり、寝不足でぼんやりとした表情で目を覚ます。
シスリア「……はい…シスリア探偵事務所です」
相変わらずの冷静な口調だが、その声にはどこか眠気が漂っている。
タース「シスリアさん、ニュースはご覧になりましたか?」
聞き慣れた"ソルツ刑事"…タースの声だ。
シスリアは一瞬の間を置き、素直に答える。
シスリア「……いいえ。ニュースは見ていませんが」
その返答に、タースは内心少し驚いた。
タースの心の中「まさか……あの女、こんな時にニュースを見逃すとは…」
だが、表には出さず冷静に続ける。
タース「実は、今朝、新たな事件が起きましてね。殺人事件です。現場の状況が少し気になりまして」
シスリア「……殺人事件?」
シスリアの目がわずかに鋭くなる。タースは冷静を装いながら話を進めた。
タース「ええ。しかも……最近の"事故"とは違って、明確に"事件"と言えるものです。ですが…」
タースは言葉を切り、少し含みを持たせた。
タース「……関連性があるかもしれないのです。以前の事故と…」
シスリアは僅かに眉をひそめた。
シスリア「それは違います。事故と事件…性質が違いすぎます」
タースはシスリアの否定に内心ほくそ笑む。
タースの心の中「ふっ…勿論そう来るだろう…だが、俺はここで優先順位を動かす…」
タース「シスリアさん、今、私たちが優先すべきはこの"新しい事件"だと思いませんか?」
シスリア「……なぜですか?」
タース「最近の事故…正直、少し"本当の事故"に見えます。だからこそ、今はこの殺人事件に集中するべきです」
タースの心の中「それは事実だ…今の俺は"TS"として動いていないからな…お前は素手に勘で気付けているだろう…」
シスリアは無言で考え込んだが、タースはさらに追い打ちをかけるように言った。
タース「もしよろしければ、シスリアさん。私と一緒にこの事件を捜査しませんか?」
シスリアの反応
シスリアは少しの間、電話越しに沈黙した。寝不足でぼんやりした頭を働かせながらも、彼女は冷静に考えを巡らせる。
シスリアの心の中「ソルツ刑事…彼がこうまで言うのは何故…?」
しかし、事件が発生している以上、探偵として無視するわけにはいかない。
シスリア「……わかりました。事件の現場に向かいましょう」
その返事を聞き、タースは表向き穏やかに微笑んだ。
タース「ありがとうございます…では、後ほど現場でお会いしましょう」
電話を切ったタースは、冷たい笑みを浮かべながら椅子に深く座り込む。
タースの心の中「シスリア……少し"お預け"だが、これでいい…少し一緒に遊ぼうじゃないか…そして…俺…いや…俺達でその"犯人"を見つけ出してやる」
彼にとってこの殺人事件の犯人は、"面倒な存在"でしかない。だが、この事件を利用してシスリアと共に動くことで、さらに彼女の行動を監視し、計画を練る時間を稼ぐことができる。
タースの心の中「一旦、休戦だが、次の戦いはすぐに始まる」
シスリアとタースの一時的な協力関係が生まれつつあるが、その裏ではそれぞれの思惑が渦巻いている。
タースの次なる動きは――そして、シスリアは"真実"へとどこまで近づけるのか。
物語は静かに、そして着実に新たな局面へと進んでいく。