第10章 マサトターン
第10章 マサトターン
マサトの直感…あの日の違和感
マサトは、シスリアがいなくなったあの日のことを思い返していた。
彼が事務所に帰った時、シスリアはすでにいなかった。
マサトの心の中「あの時、確か……事務所に入った瞬間、ガスみたいな匂いがしたんだ……あれが何かの手掛かりになるのか……?」
彼はその匂いを思い出し、シスリアが自ら姿を消したのではなく、何者かに連れ去られた可能性を強く感じた。
しかし、それ以上の具体的な証拠がない中、マサトはどう動けばいいのか分からず、苛立ちを感じていた。
一方、シスリアは完全にタース(スティーブ)に魅了されていた。
彼女はタースと過ごす時間を心から楽しみ、彼の存在に安心感を覚えていた。
シスリア「スティーブさん、今日も外出されるんですか?」
タース「少しだけな。でも、すぐ戻るよ」
その言葉に、シスリアは嬉しそうに微笑んだ。
シスリア「……気をつけてくださいね。私、帰りを待ってますから…」
その姿を見たタースは内心で薄く笑った。
タースの心の中「完全に俺の掌の上だな。もう利用する前に告白でもされれば楽なものだが……。だが、このまま利用せずに片付けるのも悪くない」
タースはさらに計画を進めるために、シスリアの次の行動を誘導する算段を練り始めた。
タースの迷い…片付けるか、利用するか
タースの中には、一つの選択肢が浮かんでいた。
タース「世界一の探偵と認めていいくらい賢い……だからこそ、利用すべきだと思ったが、逆にこいつを片付ける理由でもある」
彼は自分の中で天秤を揺らしながらも、次の行動のタイミングを冷静に計っていた。
マサトの発見…車に残された手掛かり
マサトは周辺の防犯カメラを徹底的に調べ上げていた。
その中で、事務所の前に止まっていた1台の車に目が留まった。
マサト「これは……!」
車自体は一見普通のものだったが、リアバンパーに貼られたマグネットステッカーに見覚えがあった。
それは、事務所にあったシスリアのメモ用紙に描かれていた小さな模様と一致していたのだ。
マサトの心の中「シスリアさん……助けを求めてたんだ。いや、違う……これを事務所に入る前に車につけておいたんだ!」
その瞬間、マサトは確信した。
マサトの心の中「この車の見た目……ナンバーさえ一致すれば…!」
マサトは車両のナンバーを防犯カメラから確認し、それを元に情報を洗い出すことを決意する。
一方、スティーブ(タース)とシスリアの生活はさらに進展していた。
二人は今や、一緒に寝るほど親密な仲となっていた。
シスリアはタースに全幅の信頼を寄せ、彼との未来を夢見ていた。
シスリア「スティーブさん、これからもずっと一緒になるんですかね…?」
タースは微笑みを浮かべながら、優しく彼女の髪を撫でた。
タース「ああ…かもな…」
だが、その心の中は冷酷な計算で満ちていた。
タースの心の中:
「あと数日だ……こいつを始末する。絶望に染まった顔を拝みながらな。利用するよりも、その瞬間を楽しむ方が価値がある」
シスリアの将来への夢
一方のシスリアは、そんなタースの内心に気づくことなく、将来のことを呑気に考えていた。
シスリア「スティーブさんともっと一緒にいろんな場所に行ってみたいな……旅行とか、海とか……」
彼女は小さな幸せを夢見ながら、タースとの生活に満足しているようだった。
そのまま…シスリアはタース(スティーブ)に向き合い、思い切った表情を浮かべていた。
普段の彼女からは想像もできないほど緊張した様子で、手をギュッと握りしめている。
シスリア「……スティーブさん、少しだけお話したいことがあるんです」
タースはいつもの優しい笑顔を装いながら、椅子に腰掛けた。
タース「もちろん…何でも話してくれ」
シスリアは大きく息を吸い込み、真っ直ぐにタースを見つめた。
シスリア「私……スティーブさんのことが好きです。一緒に過ごす時間が、とても幸せで……これからも、ずっと一緒にいたいんです……」
その言葉に、タースは表面上の驚きと戸惑いを装いながら、心の中で冷静に次の一手を考えた。
タースの心の中「……告白か。これでさらに彼女を操りやすくなる…今すぐ始末する必要もないかもしれない……利用価値はまだある…か…」
タースは優しく微笑み、シスリアの手を取った。
タース「ありがとう……君の気持ち、すごく嬉しいよ…俺も、君と一緒にいる時間が大好きだ」
その言葉に、シスリアの顔がパッと明るくなった。
一方、マサトは事務所で徹夜を続け、ついに車のナンバーを特定することに成功した。
マサトの心の中「……これだ! この車がシスリアさんの手掛かりになる!」
さらに隣町での目撃情報を集めた結果、その車が最近停車していた場所の情報を掴むことができた。
マサトの心の中「ここまで来た……シスリアさん、俺が絶対に助ける……!」
マサトはすぐに隣町への移動を決意し、荷物をまとめて準備を整えた。
マサトはついにシスリアが囚われている可能性のある家を特定した。
そこには、あの特定した車が止まっており、誰かがこの家を使用していることが明らかだった。
だが、マサトはすぐに乗り込むような無謀な行動を取らなかった。
彼は慎重に考え、一つのアイデアを試してみることにした。
マサト「シスリアさんがこの家にいるなら……これで反応を見てみるか」
マサトは写真をパズルに加工したものを手紙に入れ、それを家に送る計画を立てた。
そのパズルは完成するとパンケーキの絵柄になるもので、シスリアにしか分からないメッセージが込められていた。
マサト「これがシスリアさんの手に渡れば、きっと何か反応があるはずだ……」
マサトはその手紙をポストに投函し、シスリアの反応を待つことにした。
一方、タースは最近感じる違和感について考え込んでいた。
タースの心の中「最近、聞き覚えのあるエンジン音が近くで何度か聞こえた……まさか……マサトが動いているのか?」
彼はその可能性を否定しきれなかったが、逆にそれを好機と捉えた。
タースの心の中「もしマサトがここまで来ているなら、利用できるかもしれない。シスリアを囮にすれば一石二鳥だが……失敗した場合、二人に逃げられる危険もある。だが……俺の作戦なら……」
タースは慎重に計画を練り直し、次の行動に備えた。
その時、何も知らないシスリアが笑顔でタース(スティーブ)に話しかけてきた。
シスリア「スティーブさん、何を考えてるんですか?」
彼女の無邪気な声に、タースは表情を和らげて振り向いた。
タース「いや、ちょっとしたことをね。君のことも少し考えてたよ」
その言葉に、シスリアは嬉しそうに微笑んだ。
シスリア「……私も…考えてましたっ…スティーブさんと一緒にいられる時間が本当に好きです」
タースの心の中では冷酷な計算が続いていたが、その表情には微塵も出さなかった。
タースの心の中「バカめ……俺が何を考えているかも知らずに」
マサトはシスリアが囚われている家に手紙を送るだけではなく、その周辺の家々にも同じ手紙を送ることを思いついた。
「木を隠すなら森」…つまり、シスリア宛の手紙を紛れ込ませることで、タースが怪しむことなくシスリアの手に届く可能性を高める作戦だ。
マサトの心の中「これなら、タースがポストを確認しても、どこに本命があるか分からないはずだ。珍しく俺、冴えてるかも……!」
タースの疑念「手紙の意図」
その頃、タースも異変に気づいていた。
最近、この地域で複数の家に同じような手紙が送られてくるという現象が起きていたのだ。
タースの心の中「ん……?なんだこれ……?」
不審に思ったタースは、自分の家のポストも確認した。
そこにはマサトが送った手紙があった。
タースの心の中「……これは一体どういうことだ?」
タースは冷静に手紙を開封し、その中に入っていたパズルを見た。
それがパンケーキの絵柄になることに気づいた瞬間、彼は全てを察した。
タースの心の中「なるほどな……マサトめ、シスリアに向けたメッセージを仕掛けてきたか……。だが甘いな。俺がこれをシスリアに渡すと思っているのか?」
タースは手紙を握りしめながら、冷酷に微笑んだ。
タースの心の中「マサト、確かに巧妙なやり方だ……だが俺の前では無駄だ」
タースはすぐにその手紙を燃やそうと考えたが、思いとどまった。
タースの心の中「いや、逆にこれを利用する手がある……」
彼はパズルを完成させ、シスリアに見せることで彼女の反応を観察する計画を立てた。
もしシスリアがこの絵柄に特別な反応を示した場合…それを否定して…記憶を思い出す機会をなくす…
タースの心の中「もし記憶が戻り始めているなら、それも含めて支配する…その方が推理力は…だが、記憶が戻らないなら、それはそれで問題ない。計画は続行できる」
タースは、事故に見せかけた新たな犯罪計画を実行するために家を出た。
しかし、シスリアを一人で放っておくわけにはいかないと考え、監視カメラを仕掛けていた。
カメラの映像はタースの携帯にリアルタイムで送信され、訪問者があればすぐに気付けるようになっていた。
タースの心の中「もし誰かがシスリアに接触しようとするなら、すぐに対処する……だが、ここを訪れる者などいないはずだ」
その頃、マサトはタースの家を遠くから監視していた。
彼はタースが家を出るのを確認し、ついに自分の本当の作戦を実行に移す。
マサトの心の中「ここからが僕の勝負だ……!シスリアさん、絶対に助ける!」
マサトはタースの隣の家を利用することにした。
隣家のポストに手紙を入れ、さらにその家のインターホンを押して対応を促した。
手紙には、シスリアの家宛の住所を書き記していた。
隣家の住人「あら…これは……お隣さんに届けなければならないわね…」
その住人は、不思議に思いながらも手紙を持ってタースの家に向かい、インターホンを押した。
すると、監視カメラの映像に、隣人がシスリアと接触している様子が映し出された。
事故現場に向かう途中、タースの携帯に監視カメラの通知が届いた。
映像を確認すると、隣人がシスリアに手紙を見せているだけのように見えた。
タースの心の中「……隣人がインターホンを押している?一体何の用事だ……?」
一見すると無害なやり取りに見えたが、タースの頭には一抹の疑念がよぎった。
タースの心の中「何か裏があるのか……?いや、考えすぎかもしれない」
隣人が手紙を手渡した瞬間、シスリアはその内容を確認した。
手紙にはマサトの隠された意図が込められていた
シスリアは一瞬、不思議そうな表情を浮かべたが、特に疑う様子はなかった。
隣人もその場を離れる準備をしていたが、何か違和感を感じたシスリアの視線がカメラに向いた。
シスリアは手紙を不思議そうに見つめていた。
手紙の内容は一見普通だったが、最後の一文に書かれた「マサト…パンケーキ…シロップ…見た」という言葉が引っかかる。
その言葉に誘われるように、シスリアは手紙をじっくりと観察し始める。
すると、何かが透けて見えるような気がした。
シスリア「……?」
手紙の紙質が微妙に違うことに気づき、シスリアは慎重にそれをめくってみる。
すると、間に挟まれていたのは2枚の写真だった。
そう…マサトの計画…それは…
一見ただの紙に見えるものに手紙を書いた…が…その紙ともう一枚の紙を重ね…その間にシスリアの写真と自身の写真を挟んでおいた…勿論プリント用紙なので触っただけでは気付きにくい…しかし…マサト…パンケーキ…シロップ…見た…そう書くことでシスリアは凝視するだろうと考えた…つまり…写真に気付くことを予想したのだ…パンケーキだけではメッセージが伝わりにくいかと…念のため写真をいれたのだ
その写真には、記憶を失う前のシスリアとマサトが映っていた。
シスリアはそれを見た瞬間、心に強烈な違和感と何かを思い出しそうになる感覚が襲ってきた。
シスリアの心の中「……これは……私……?」
彼女の手が震え、目がじっと写真を見つめる。
特に、自分がパンケーキにシロップをかけている写真に目が止まった。
その瞬間、微かな記憶の断片が脳裏に浮かぶ。
シスリアの心の中「この人……マサト……? どうして、私……こんな写真を……?」
シスリアの頭の中で何かが引っかかり始める。
今までスティーブ(タース)と過ごしていた日々に、違和感が生じ始めた。
彼女は写真をぎゅっと握りしめながら、深く考え込んだ。
シスリアの心の中「私……この写真の時、少し笑ってる…でも、どうして覚えてないの?」
そして写真の裏には…
念のため…ここに…(マサトの家の住所)
マサトは念のため住所を自身の家の住所にしておいた…事務所がバレるとだれが行動してるかを把握されてしまうからだ…既に気付かれているが…
その様子は、タースが仕掛けたカメラに全て映っていた。
シスリアが写真を見て動揺している様子を見て、タースは強烈な警戒心を抱く。
タースの心の中「写真……? どういうことだ……? 隣人が持ってきた手紙に仕込まれていたのか……?…あれは…ダメだ…潰れて読めないな…」
彼はすぐに家に戻るべきか悩んだが、動揺を隠して計画を優先する必要があると考えた。
タースの心の中「まだだ……慌てるな。もしシスリアが何かを思い出し始めたとしても、俺の計画を修正すればいい」
続く




