悪役令嬢は、悪役だから悪役令嬢なのだ。
悪役令嬢、というキャラクタータイプがある。
文字通り悪役として扱われる令嬢で、ヒロインを邪魔し、いじめて、恋の障害となるキャラクターたちのことを指す。
しかし最近は、『悪役令嬢に転生した主人公が、ヒロインを押し退けて幸せになる』という物語が流行り、その意味もだいぶ変わってきた。
その流れに乗ったのか。
ついには悪役令嬢が主人公のゲームまで作られるようになった。
悪役であるから悪役令嬢なのに、メインヒロインとして主役を張ったのだ。
それも、主人公の悪役令嬢は五人いる。
そして、敵として扱われるのは、ただ一人の負け役である『正ヒロイン』だけ。
彼女は貧民からのあがりなので、結末は基本的にひどい目に合う。
唯一の救いといえば、各キャラクターたちのBAD END扱いである、友情ENDのみ。
それ以外は、幽閉など序の口。
公開処刑されたり、醜い上級貴族に嫁がされたりと、ろくな目にあわない。
そして俺、いや私は、そんな負け役である『正ヒロイン』に転生した、哀れな元プレイヤー。
悪役令嬢は、悪役だから悪役令嬢なのだ。
そんな彼女らには、絶対負けない。
必ず生き残って、幸せになってやるんだ。