白い花
久しぶりなので、下手です^^;
私は怒りを感じていた。
一流大学を卒業し、その後の屈辱や、挫折を味わいながらも努力を続けた結果、医療、物理学、化学どれを取っても素晴らしい、私は世界中に名を知られている科学者になっていたが、人々は表と裏で別の行動をする。
表面、つまり私の前では私を純粋な尊敬の目で見つめる。
だが、裏で私のことを軽蔑の目で見、私をみて顔をしかめる。
何故だかは知っているのだが私にはどうしようもない。
それは私の顔に問題があるわけだが、私の顔は眉毛から口まで顔の全てのパーツがぐちゃぐちゃに合わさっているのだ。顔には動くことのできる3本の細い穴と、2本の線しかないといった感じである。
生命維持には影響はないのだが、やはり世間体での問題が生じる。
みなは私を気味悪がり、心の分かりやすいどこかで私を罵倒しているのだ。
さすがにそれが分かり始めた小学生ごろに一度、整形外科でレントゲンを撮り治療を試みたのだが、それは骨格からのものであり、直すのは世界中どこを探してもいないらしい。
母はその言葉を信じず、いや心では分かっていたのだろうが認めたくなかったのだろう。世界中の医者に治療の依頼をしてみた。
ほとんど断られ、たまに
「一回お来しになってみてください。どうにかしてみます」
と、希望の返事が返ってくるが、目の前で私を見て、医者は全員前言撤回するのだ。
私はだから科学者になって、私を私自身が治し、私を罵倒してきたやつらに私を本気で尊敬させてやろうと、日々研究していた。
しかし、なかなか方法は思いつかなかった。
ある夜。私は人気の少ない所で、顔を覆う私の目の位置に穴を開けたマスクを外し、少し雑草の生えている茶緑の地面にねそうべってみる。
延々と続く暗黒に点々と光り輝く星を見て私はいつの間にか泣いていた。
そこに精神も身体も吸い込まれたような気がして私に今まで考えたことのないあたらいい発想が湧き上がった。
「私をみんなに合わせるのではなく俺が全員を同じにしてやればいいんだ」
私は何故かその思いつきの目標に異様に努力した。
その私の努力には屈辱も挫折もない。
あれがダメなら次はこれと、次々に試しただ目的を果たすためにあのときの夜空に取り付かれたように私は研究を続けた。
そしてでき上がったのだった。
あの夜の幻想でしかなかった機械が。
そのマシンの性能と、私の願いを込めそれを
『平等の関門』
と名づけた。
私は早速、表面だけのコネを使い、宣伝を依頼し、この発明品の稼動に必要不可欠な大規模の公園をほぼ全財産の半分をかけて購入した。小さな国くらいあるかもしれない。
さすがに世界的な科学者の発明とだけあってそれを拒む者は居なかった。
「3xxx年、5月8日の正午。y国のxy地方のyy公園にに集まってください」
5月8日の正午、高い壁で覆われたyy公園の前に多くの人々が集まった。予想よりも遥かに多くさすがの私も少しばかり驚いた。
騒がしいしている中、
「え~」
と音響拡大期に向かい大きく声を鳴らし、場を沈め説明を始める。
「この度は私の発明の発表のためにお忙しい中お集まりありがとうございます。では、早速この機械の説明をさせていただきます。この機械の名は『平等の関門』。その名の通り、平等にするための門型の機械でございます。これをくぐった人間は...」
と説明の途中で集まっているやつらに上からヘリコプターで睡眠薬をかけた。
やつらは驚いた様子だったが次第にバタバタと倒れていった。
私はそれを前に作った数百台のロボットを使い門をくぐらせた。
数日後、
「あなたの発明を見に行った、私の夫ガ帰ってきませんわ」
「あんたの発明を取材しに行ったうちの記者が帰ってこないんだけど」
などと、あの最初の機械の被験者になった関係者からの電話が鳴り響いた。私はやつら全員に
「あなた方の大切な人は私の発明で自由になり、憎しみも偏見も何もない私の公園の中で自由に暮らしていますよ」
といってやった。
すると面白いもんだ。
やつらはだまされたように、怒りと期待を胸に『平等の関門』へと向かうのだ。
そして、そいつらを追って新しいやつらがまた行く。
そうして、多くの人々は『平等の関門』をくぐった。
おかげでそいつ等の財産を使い、公園を更に広げることもできた。
そして、もはや皆が『平等の関門』を恐れ近寄らなくなったとき、私は機を見計らって全世界に何千万台というロボットを送り込んだ。
プログラムは
「人を見つけたら捕獲」
このロボットの活躍でいまや、あと数十人の残し、全人類がもはや、各地方ずつにおかれた『平等の関門』をくぐっていた。
そして、数日後。残りの数十人もアップデートされたロボットたちに捕まり、私の目の前でロボットに抱かれ『平等の関門』をくぐって行った。
やっと終わった...。
これで、人類は幸せなのだ。
私の様に人に差別される人が居なくなったわけだ。
これでいい。
これでいい。
これでいい。
そして私は最後の人類としてその門をゆっくりとくぐった。
私は門の中で全てがリセットされ、新しい私になった。
そして、その私はゆらゆらと足を踏み入れる。
白く、毛も何もない、ツルツルとしたのっぺら坊の人類がただただ迷い歩く私の楽園に。
そこには白い花があった。
もっとも、辺りの白い景色と同化して、その花の存在なんて誰も気づきはしないのだが。