あいまいな恋
人生の『思春期』の最中である僕には、初めて愛すべき彼女が出来た。
出会いはそう意外性のあるものではなく、別の街からやってきた僕が偶然はいった学校で偶然出会い、偶然同じ学級に入り、丁度僕がこの街に来て一年がたつ頃、彼女が勇気を振り絞りその気持ちを伝えてきてくれたのだった。その子のことを僕も好きであったためその気持ちは思いのほかすぐにつながる事となった。
僕らは毎日会話を楽しみ、心の孤独感を埋めあっていた。しかし、デートと呼ばれるたぐい類の事はしなかった。というよりも出来なかったといった方が適切であろう。両方多忙で、土日の休日でさえ予定が必ず入っていたためだ。長期の休みでも同じ事。だが、そんなことがあっても、他のカップルとの差で多少の劣等感と孤独感はあったものの、一日何百というメールでその悲しい感情もすぐに埋める事が出来た。
そして、一年の月日が流れた。その頃の僕は孤独感で心の深い底の核の部位まで一杯になっていた。僕らはあの日のように一日何百のメールは一ヶ月に一度の会話になってしまい、会うことも変わらず無い。僕と彼女を繋いでいたのは『カップル』としての繋がりだけだったのだから、その自分の中の幻想と現状の差で溢れんばかりのそれが出てきたのだ。別にお互いがお互いを嫌いになったわけではなく、流れる月日が僕らをそうさせたのだろう。
そしてついに、僕らのすれ違いは最高潮の所まで達し、最初は彼女を振り返らせようとしてした行動から発展し、別れ話が浮上した。僕に人間としてもっとも苦しいこのごろが始まった。
別れ話の原因が自分にあっただけに、寝ても覚めても友と話していても
「自分の何処がいけなかったのか」
「彼女の理想の点にいたることが出来なかったのだろうか」
と自らを悔いて攻める毎日だった。
これでも初めての付き合いで一年も続いていたため、僕の彼女に対する感情はただの『好き』というものではなく、家族を思うそれと微妙に違い、微妙に同じ言葉に表すのが相当困難な、本当の愛の感情に昇華していた。そのため、彼女が失われたその日を想像すると、肉親が失われたときと等しいであろう悲しみが溢れ出てくるのだ。もう、すべてのことが手に付かなくなってしまい、唯一の助けはたまにの彼女からの別れ話のメール。悲しいメールであれ、彼女からの大切な言葉には変わりはないのだ。そして、それに答えるのも僕の悲しい幸せ。
僕らはまだ別れていないが、近いうち僕らの関係は完璧に消えるだろう。
お互いの事を知らずに付き合い始めた僕の寂しい恋。僕の中では当分終わりそうに無い。
-あいまいな恋
どうでしたか。
はじめて恋愛ものを書いてみました。
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