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十二話 霧須磨の言うとおり 恥ずかしいなら、言わなきゃ良いのに


「エリス、すまなかった」


 最初から、言葉に並んでいたコトだ。


 想像できなかった、ソレは、あまりにも。


「私、エロエルフだから、気にしなくて良いよ!」


 申し訳なさそうに笑う、エリスの顔。


 この顔を、もっと、良いモノにしようとしてきた。


 先生方の気持ちの一部を、霧斗は、噛みしめた。


 エリスの、言葉通りなのだろう。


 いくら言葉を、こねくり回しても、事実は変わらない。


 キャラが、全てを覆い隠していたから、気づけなかった。


 言い訳だろう。


 肌で、感じられれば。


 エルフが、置かれた状況が。


 エルフという生き物が、引き起こす問題は。


 恐ろしいほど、根が深い。


「私が、深入りして良い話ではないわ」

 霧須磨の、言葉通りだ。


 エルフでなくても。


 風営法にとらわれず、おカネで、性を買う形は消えない。



 パパ活、ママ活、港区女子、売春の数々。


 買う男の責任のように、言われる全て。


 そんなことをしなくても良い、社会を。


 若く、容姿が良ければ金になる。


 世界的に、性は売り物になっている、だからこそ。


 問題は、そんな、マクロな話では、ないだろう。


「それで、いつ、橒戸君は、その気になってくれる?」


 霧斗の目に、美しい彼女が、恐ろしく見えてしまった。


 この話の流れですら、利用しようとしている。


 同情でもなんでも、結びつくなら、躊躇しない。 



 迷いなく、行動に表し続ける、エリスが、とても。


 問題は、カネだろうか?


 環境なのだろうか?


 否定しても、明日の家賃を、誰かが、払ってくれるわけではない。


 否定しても、食べ物が、沸いてくるわけじゃない。


 なら、解決すれば良いのか?


「私、魅力ないかなぁ?」


 違う。


 言われる全てを解決しても、なくなりは、しないだろう。


 女性が、性を売ることに、大きなメリットが、ある限り。


 形を変え、場所を変え、見え方を変え。


 残り続けてしまうのだろう。


「それは、違うよ。エリスは、スゴい、カワイイし。

 その、魅力的だと思う」


 容姿の良い女性・男性は、馬鹿だという。


 そんな、バカを生み出したのは、きっと。


 容姿が特別良くもない、街歩く、全ての人だ。


 コノ問題に、性別など、関係ないのだろう。


「でもな、エリス」


「うん、聞かせて」


「オレは、純愛が、好きみたいなんだ」


 許してしまったからだ。


 夢想してしまったからだ。


 それこそ、本能的に。


 容姿という武器を。


 性と言う価値を。


 どこかで、肯定しているから。


 肯定して欲しい人も、いるから。


 なくなるコトなど、ありえない。


「純愛って…」


 言い訳でしかないだろう。


 逃げ、でしか、ないのだろう。


 あるかどうかすら、怪しいモノ。


 そうなれば、良いと思えるモノ。


 なら、願望でしかない。


 理想の押しつけでしか、ないのだろう。


 話し合ったところで。


 幽霊が、いるのか、いないのか、話し合うようなモノだ。


「恥ずかしいなら、言わなきゃ良いのに」


「なんでイヤなのか、オレにも分からない」


「分からないなら__」


「分からないなら、忘れてしまえ。

 たぶん、そう言う話なんだとは、思う」


「なら、受け入れてくれる?」


 コレから、探すのも、一つの手かもしれない。


 エリスと、付き合っているウチに、見えてくるのかもしれない。


 だが、霧斗は、どうしようもなく。


「オレは、そんな時間があるなら、引きこもりたいな」


「私は、どうしたらイイの?」


「オレが、その気になるために?」


「何でも、できる気がするよ。橒戸君になら」


 もう、コレは、告白だと。

 エリスに、自覚は、あるのだろうか?


 たとえ、そうするのが、エルフだとしても。


 目の奥底で、怖く見える彼女の意思は、ドコまでも、真剣だった。


 子供を産むのが、義務だとしても。


 できるだけ、望む形にしたい。


 目から、そんな思いを、受け取れてしまう、が。


(向き合っちゃ、ダメなのは、分かるんだよな)


 日頃から、昔から、鍛えられてしまっている。


 兄としての立場あってこその、今がある。


 お世話になっている、橒戸家に。


 模型で成功し、経済的な負担をさせず。


 こうして高校に通えるように、努力してしまったから。


 エリスと、コウして、話せていて。


 エリスが、強硬手段に出ないのも。


 今の関係が、あるからだと、分かってしまうから。


 今の立ち位置で、思うことを、デキることを、していくだけだ、と。


 近い関係になれば、相手を救えると言うのは、ただの思い込みだと。


 霧斗には、思えてしまうから。


「なんでもデキるなら、木の加工は、どうなんだ?」


「木の、加工…」


 もう、見慣れた落胆だった。


 コノ落胆に、反応してはならない。


 同情すら、示しては、ならない。


 デキることは。


 ただ、ただ、水に流していくこと、だけだ。


 あくまでも、スルースタイルを貫く。


 それこそが、霧斗が望んだ毎日に繋がる、唯一の方法だった。 


 霧斗は、ノートを指さし。


「この形にするには、ドウしたら、良いと思う?」


「もう、どんな下着なら、納得するの!?」


 霧斗は、やけになった、エリスに下着を投げつけられ。


「コレは、ラッキースケベになるんだろうか?」


 ソレは、この小説序盤から抱える、疑問である。

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