プロローグ
「今すぐ走るんだダヴィデ!」
ほうれい線が微妙に見える男が暗闇の中で這いつくばりながら俺に言った。
自分が死ぬ日をひたすら待っている死刑囚の様な顔だ。
彼はきっと、何か大切な物を失うことが怖いのだろう。
次に、その男の頭が槍で貫かれる場面が見えた。
不吉な予感がする。
彼の血が俺の目に飛び散り
俺の視野はどんどん赤く染まって行く。
最悪な夢だ。
---
目が覚めた。
木で作られた壁が見える。
やはりさっきのは夢だったのか。
部屋の外から台所の火ががほんの少し入ってくる。
そして俺は、目をこすりながら、布団から起きる。
寝起きしたばかりのせいか、完全にふらふらだ。
俺は扉を開けて、台所に出た。
ここはファンタズマという結構大きな町にある普通の家だ。
歩く度に杉で作られた床の音が聞こえる。
右にある扉の隙間を通じて強い日差しが入ってくる。
そして、左ではある女性が家事をしていた。
俺は寝起きしたばかりで前がよく見えない状態ながらも、その女性に行った。
「おはよう...母さん.....」
そしてその女性は俺に笑顔で答えてくれた。
「おはよう、ダヴィデー!」
この人はクローレ・エロエ
俺のお母さんだ。
素敵な笑顔が特徴で、凄くお喋りで、36歳にも関わらず見た目は凄く若い。
髪は真っ黒で円らな瞳をしている。
彼女は俺に向かって言った。
「父さんは、今日も朝早くからモンスターを討伐しに行ったよ。
今回はかなり怖ーいモンスターをやっつけに行ったらしいね。」
相変わらずお忙しい人だ。
母さんは俺に向かって言った。
「残ったハイネのシチューがあるけど、食べる?」
ハイネか...俺の好物だ。
青い色のキノコのような形をしていて、指を近づけると牙を見せる、気持ち悪い植物だ。
味も言葉にできない程まずいが、俺は好きだ。
触感が絶品だからだ。
俺は母さんに言った。
「残ってるなら、たべるよ」
母さんは、持っていた箒を床に置き
かまどを短い棒切れにかけ、下に火をつけて中身を沸騰させた。
そして、出来たてのシチューを大きなさじですくい、木の皿に移し、俺が座っているところに木のさじと
一緒に持ってきて、食卓に置いた。
俺は質のいい木材で作られたさじを手に取り、ハイネを口の中に入れた。
不味い。
雨に濡れてる土のような味だ。
だが、柔らかい肉のような触感で弾力がある。
俺は朝食を食べ終えて、食卓に皿の上にさじを置き、椅子から立ち上がった。
(気晴らしも兼ねて、散歩でも行ってくるか.....)
服はすでに着てるし、この服装で出かけても問題はなさそうだ。
元々、地下で訓練をするが、今日はあんまり汗をかきたくない。
もうすぐ錆びた扉の取っ手を掴み
扉を開けて
俺は、俺が住んでる町、ファンタズマに出た。
いい天気だ。
大勢の人たちが町を歩きながら話をしていて
色んな色の服を着た子供たちが楽しそうに遊んでいる。
もう少し歩いたら
そのほかにも、馬車や、花、演奏をしている人たち
そして、娼婦が見える.........
駄目だ駄目だ!本能に振り回されてはいけないぞー俺ぇ!
と、俺は娼婦を見詰めながら思った。
高くてレンガで建てられた建物がいっぱいあって
それらが町の美しさをより美しくしてくれる。
だが、少しだけ嫌なところがある。
人たちの目線だ。
俺の種族はバーサーカーという種族だ。
凄く珍しい種族で、人々たちから物凄く嫌われている。
俺の名前はダヴィデ・エロエ、バーサーカー、13歳の男性だ。
この世にはモンスターというものがいる。
人々を傷つけるために造られた生き物だ。
今も沢山の人々が怯え、殺されている。
モンスターの創造主はユグドラシルというところにいるらしい。
そこにいる奴を倒すとモンスターがいなくなるとかなんとか。
しかし、こんなモンスターが嫌われてる世の中、バーサーカーは
平均の大きさのジョッキを水いっぱいにする事ぐらいしかできない一般人と比べて
あり得ない程の魔力を持って生まれて、戦闘にもたけている。
因みにこの世界の魔法の属性は、土、風、火、水だけらしい。
もっと多かったら生活がより便利になっていただろう。
まぁ、この話しは置いといて
だがそれと同時に、紫色の瞳と、猫のような縦長の瞳を持っている。
そのせいで、見た目がモンスターっぽいからと、化け物扱いされてしまう。
思い出すたびに落ち込む。
俺は苦悩から正気に戻り、いつの間にか下を向いて歩いていることに気づいた。
いつの間にか広場に来ていた。
沢山の店があって、ここにも人が凄く多い。
そして、左を見たら、街の掲示板が目の前にいた。
そこに貼られていた紙の内容の中でやけに目立つのがいた。
魔女狩りに関した内容だった。
昨日から魔女裁判のせいで騒がしい
魔女とみなされた人は処刑されると書かれている。
不安だ。
俺はまた下を向いてしまう。
「そろそろ帰るか…」
俺は掲示板を後にし、家に向かった。
少し時間がかかったが、俺は散歩を終え、家の扉を開けて、家に入いろうとした。
しかし…案の定まだ明るい。
仕方ない、今日も訓練からは逃れらないってことか......。
俺は家の中に入り、即床についてある扉を開け、地下に向かった。
暗い。
俺は手から火を出し
棚にあるろうそくに火をつけ、地下を明るくした。
地下は、元々倉庫だったんだが、やっぱり必要がなかったゆえ
他の家を買おうとしていたところ、俺の意地で仕方なく地下に倉庫のある家に住むことになった。
俺は壁についてある木剣を手に取った。
俺は大剣好きだが、最近父さんから、片手剣を練習しろと言われ、仕方なく片手剣の練習をしている。
俺は背に左手を付け、右手に剣を持って
幻想の相手とひたすら戦い始めた。
---
何時間が立った。
いつの間にこんな汗まみれに......
正直、魔法を練習したいが
前、力調節に失敗してしまい
地下の天井に穴をあけてしまった。
今も、上を見上げると、上階が見える。
あんな穴があると、男なら皆一回ぐらい女子のスカートの中を覗くなどの
淫らな行為を企んだりするだろう。
訓練中に気づいたが、父さんが帰ってきたみたいだ。
少し上が騒がしい。
さて、これで少しは暗くなっただろう
俺はろうそくの火を消し
梯子を上り、扉を開けて
上階の床を踏み
扉を閉め、後ろを振り向いた。
そしたら、俺を迎えてくれる、優しい言葉が聞こえてきた。
「お誕生日おめでとう!」
誕生......日...?
そうか....忘れていた...。
そうだった...今日…俺の誕生日だったんだ......。
家の中を火が照らしている。
とても暖かい雰囲気だ。
父さんと母さんの笑顔と凄く似合う。
俺は嬉しそうな声で言った。
「覚えてくれてたのかよ…!……本当にありがとう!」
父さんは笑顔で俺を見て微笑んだ後、自分の部屋から何かを持ってきた。
そして、父さんは俺にそれを渡しながら言う。
「ほら、プレゼントだ。」
これは…大剣?!
すげぇ!ピッカピカだ!
剣身は少し長くてふとい。
鍔は少し独特な形で
普通は対称で一直線だが、これは対称だが少し上に曲がってるがってる。
全体的に黒い色をしていて、中々かっこいい。
「父ちゃん!こんなのどうやって手に入れたんだよ!」
父さんは答えた。
「これは僕たちの血族に代々受け継がれている大剣だ。
大事に使えよ。」
俺は、一瞬疑問気な顔をしたが
前、父さんの部屋にでっかい剣があったことを目にしたことがある。
一回も使ってなかったのか…?
ていうか、代々受け継がれているのに、何故少しも錆びてないんだ?
父さんは俺に言った。
「さて!今日はもう寝ろ!今回は父さんの金が足りないため、豪華な夕食をなしにします!
でも明日は6カ月ぶりに家族みんなでご飯が食べられそうだ!
楽しみに待ってろよ!」
「ええ......」
俺は少しだけ落ち込んだ顔をした。
でも、父さんと一緒に朝食を食べられるって凄く久しぶりで、嬉しい。
それだけでも充分だった。
僕の父さんであるエソシア・エロエは、老いぼれだが母さんより黒い髪をしている。
微妙にほうれい線が見えて、髪は短く、少々わがままそうな顔をしている。
ていうかわがままだ。
でも、父さんは俺の師匠でもあり、尊敬する人物でもある。
とても強く、優しくて、知恵のある人だ。
わがままなのに知恵があって優しい人......というのは他の人に言ったら馬鹿にされるかもしれないが。
父さんには何故かわからない知恵を感じる。
俺はろうそくの火を消そうとする母さんに言った。
「お休み」
母さんはにっこり笑った。
俺は母さんの笑顔を無視するように背を向き
部屋の中に入り、大剣を床に置いて、布団をかぶって、眠った。
「何を言ってるんですか?!僕たちは…!」
なんだ…朝から騒がしい…何かの演劇でもしてんのか…。
俺は朝から眉間にしわが寄り、不気味な気分になってしまった。
俺は布団から起きて、こっそり暗い部屋の外をこっそりのぞいてみた。
何なんだ…。
あれは…
ファンタズマ兵!
俺は素早く扉の閉じ、後ろに隠れて、扉に耳を近づき、会話を盗み聞いた。
何故ファンタズマ兵がここに…
「ったく…イライラさせやがって、おいお前ら!さっさとこの魔女どもを処刑台まで連れていけ!」
何...だと......?
俺は足が震え、腹痛を感じ、全身が緊張していた。
扉の隙間から少しだけ外が見える。
多分......あのはげの奴が兵長だな......
父さんと母さんは体格のでかい兵士四人に掴まっていた。
母は涙ながら言った。
「どうか見逃してください!子供が…息子がいるんです!」
兵長は言う。
「ほぉ、いい情報だな」
兵長は父さんの腕を掴んでいる兵士に言った。
「そこのお前!今すぐ家の中にいる子供をここにひき釣り出せ!」
あいつ本当にいい性格してやがる.....。
兵士は父さんから手を放し、家に入ってきた。
しかし、まずい状況だ。
このままつかまってしまったら、俺は焼かれてしまう。
母さんは必死に抗いながら兵士を止めたが、かえって来るのは強い拳だけだった。
今すぐ魔法を使って、あの兵士たちの股間を貫いてやりたいが…
そうしてしまうとより厄介な状況になってしまう可能性がある。
父さんは、自分を掴んでいたもう一人の兵士の腕をはらい
俺の部屋に入ってこようとする兵士の顔を殴り、止めた。
兵士は歯が二本折れ、宙に飛び散った。
兵長は父さんに向かって言った。
「その辺にしておいた方がいいぞ、男よ。
もしそれ以上暴れたら、この場で即殺すしかなくなるだろう。
せめて、家族全員そろって、生木に縛られたまま遺言遊びでもしながら死んだ方がましだと思うが。」
父さんはその言葉を聞いて、兵士を殴ろうとしていた拳を下した。
そして、何かもを失った賢者の様に
ただそのまま佇む。
そして、兵士が入ってくることに対して何の抵抗もしなかった。
兵士の足音がだんだん近くなるごとに、俺の緊張で体はさらに汗まみれになる。
今走ったら無事逃げられるかもしれない
が、まぁ…俺だけ生きていても寂しいし、一緒に捕ま—
「ダヴィデ!今すぐ大剣を持って走れ!!!!」
父さんは大声で俺に言った。
父上......
やっぱりそうだ。
生き抜かないと......!
俺は急いで暗い部屋から、俺がいつも使う大剣と、昨日貰った大剣、二つを背中に交差してかけて
扉を足で全力で蹴ってぶっ壊し
木の破片を踏みつぶしながらも
走った。
父さんと母さんは、家の中で兵士全員と戦っていた。
兵士たちは、木の棒で殴られてる犬のような顔をしていた。
ていうか、母さんって普通に戦えてたんだな。
俺は今の内に家から出て、街の中を全力で走った。
外には雨が降っている。
ぴちゃぴちゃと音がして
人たちの視線が集中され、緊張感を感じてしまう。
結構離れたところ、いつの間にか、父さんと母さんが、ついてきていた。
俺は少しだけ希望を感じた。
ファンタズマ兵は、残った兵士たちに俺を追えと命令をくださいているみたいだ。
ファンタズマ兵四人が追ってくるのが見える。
父さんと、母さんは俺の近くまで来ていた!
だが、絶望的な展開が起きてしまった。
ファンタズマ兵が投げたやりに、父さんの頭が的中した。
父さんの血が俺の顔に飛び散った。
遠くから見える兵士は邪悪で喜んでいるような笑顔をしていた。
でも、俺に怒る暇なんてない。
それは知ってる。
俺は頭が貫かれている父さんの死体を見て、父さん!と叫ぶ間もなかった。
それは知ってる。
でも、何故か俺は絶望でほんの一瞬佇んだ。
母さんは絶望に浸り佇んでいる俺の手を掴んで、また走り始めた。
だが、ファンタズマ兵の槍が母さんの脹脛を貫いた。
母さんは転び、走れなくなってしまった。
俺はまた一瞬止まってしまった。
母さんは涙目になっていて、まるで沼におぼれた鹿のような目をしていた。
空から降る雨が母さんの目にかかった。
そして、次飛んでくる槍が
母さんの頭を貫いた。
俺はあまりの悲しさで声が出なくなっていた。
そして、次は俺の頭に槍が飛んできていた。
まずい....!早すぎる!
大剣を抜くと遅れてしまう!
素手でとめるしか..!
魔法を出すにはもう遅すぎた。
俺は右手の平で槍を止め
もう片方の手では、右手を貫いて俺の顔に届こうとする槍を掴んだ。
「くふっ......ぅああああああああ!」
くそ......痛い...。
俺は涙を堪えながら、槍が手に刺さった状態で
全力で走って、人たちとぶつかり、悪口を言われながらも、全力で......全力で走った。
走りに走って、街の外に出られた。
少しだけ緊張感が去り
周りを見渡した。
何もない、ただの雑草だけが生えてある平地だった。
虚ろな気持ちになっている俺を虚ろな場所で慰めようとでもしているのだろうか。
俺は顔を上げて天を見上げた。
天は曇っていて、光なんてない.........
ただ雨だけが俺の右手にしみり
より俺を痛めつけた。
昔感じた母さんの髪の感触や、父さんの子供みたいないたずら
両親と過ごした思い出が何回も頭の中をさらにぐちゃぐちゃにする。
「ああ....ああああああああ..........」
一体今から俺はどうやって生きていけばいい......
その瞬間俺の頭には人生で一番バカみたいな策が思い浮かんだ。
「ユグドラシルに向かうんだ...」
きっと、この世の固定観念をぶっ壊そうとしているのだろう。
でも、それでバーサーカーへの嫌悪が途絶えられるのだろうか。
いや、そんなことは不可能だ。
俺は何をやっているんだ?
前髪が雨に濡れて、目の前を塞ごうとする......
「邪魔だ...」
何もかもがむかつく。
俺はユグドラシル向かおうとしているのか…。
「はははっ......くそ......俺は何やってんだ......。」
涙が出てこようとする。
自分がやっていることがどれだけ馬鹿みたいな行動なのかは自覚していた。
俺があいつを倒せれるわけがない。
いや、ユグドラシルに着く前にどっかのモンスターに食われるだろう。
「ははははは!!ったくやっぱりこのこわっぱは通りすがりのネズミよりくそみたいな頭しやがる!!
はははははは!!!」
......寒い…寒いよ......。
お父さん......お母さん............。
土が雨に濡れ、地と足が当たるたびにちゃぷちゃぷと......
音がする....。
俺は歩きながら、槍を抜こうとしていたが
抜くのは意外と痛かった。
だから、刺さったままの槍を手で折った。
歩いても歩いてもその先に見えるのは人が作った道と雑草だけ............
「くそ!どこに行きやがった!」
ああ......後ろからまたファンタズマ兵の声が聞こえる......。
走らないと............。
俺は上手く表情を作ることさえ出来なかった。
ただ、何もかもを失った感情に溺れ
ちぎれた布みたいにボロボロになったまま走るだけだった。
ははははっ...
一体俺は......どうなってしまうんだ..................。
こんにちは。
初投稿です。
僕は韓国の中学生です。
多分誤字と脱字が凄く多いと思います。
出来るだけ減らせるよう頑張ります。(´;ω;`)
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