1-1:プロローグ
「隆司くーん、おみやげにメロン持ってきたよぉ」
「はぁっ!? メロンは梨花で十分だろ!? つか勝手に人の部屋入ってくんな!」
俺の名前は間宮隆司。どこにでもいる高校1年生だ。……幼馴染がHカップなことを除けば。
「なんで隆司くんはそうやって私のこと避けるのっ!? そんなに私がモテるの気に入らないわけ!?」
「別にお前が誰に告白されようと気にならねーし。で、今度はどいつと付き合うんだよ」
「……付き合わないし。3年生の森本センパイに告られたけど」
「えっ、森本先輩っていったら読者モデルとかやってるイケメンじゃん。何が不満なんだよ」
「……もうっ、そんな鈍感だとカノジョどころか婚期も逃すからね!」
どうして梨花が怒っているのかはわからないが、俺はのちに、このことをマリアナ海溝より深く後悔することとなる。
「ほらっ、おばさんが1階でメロン切ってくれてるから食べよっ」
「おいっ、そんなに腕引っ張るなよっ! ベッドから落ち――」
気づいた時には遅かった。力任せに梨花に引かれた俺の体はフローリングの床に落ち、その反動で梨花が俺に覆いかぶさり、目の前が真っ暗になった。と、共に、柔らかで張りがありながらも、とてつもない重量のある『何か』がのしかかってくる。
(苦しい……! い、息ができない……!)
「や、やだ隆司くん、そんなとこ吸わないでぇ……っ!」
(そんなとこってなんだよ! てかマジで苦しい苦しい死ぬ死ぬ……!)
どんどん意識が遠のいていく。体が冷や汗をかくのとは反対に、頭がカーッと熱くなったかと思うと、俺は意識を失った。