0話:イントロダクション
この世界は一年で崩壊する、そう言う運命を繰り返す。
1月1日から始まり、12月31日で終わる世界に未來はない。
しかし、過去は存在し終わることも無い。
我々人類は世界が崩壊すると言う歴史を何十年何百何千年と繰り返している。
崩壊すると言う結果は疎かこの事実に気付く者はまず殆ど居ない。
大体、気づいた所で無意味である。結果、通算約1674週目のこの世界も12月31日の今日。
世界の崩壊と言う一手を辿っているのだから。
何故此処まで知っているのか。
それは、私が世界が崩壊する輪廻のような運命に気づいた、第一人者だからである。
かと言って、私が気づいたのが二週目の時とは限らないので1674週目なのかも怪しい所だ。
それはまず良いとしよう。今話すべきはコレではない。
まだ話していないことが一つある。あ、いや二つか三つあるのだが……
重要なのは一つだ。この世界の現状に気づいた者には幾つか特徴がある。
一つ、現代の科学では説明の出来ない非現実的な現象を起こす力を必ず持っている。
所謂、特殊能力と言うやつだ。
二つ、全員が13歳以上の未成年。
残念ながら私も書類上は未成年、15歳であるが少なくとも1674週目な訳だから
精神年齢は1689歳である。此処まで来ると虚しさしかない。
そして最後に三つ、体に変な模様の痣がある。
よく分からない花の周りを蛇のようなものが尾を喰んで囲んでいる。
これは私の推測だが花が世界を表、その周りを囲む尾を喰んだ蛇が運命を示しているのではないか。
そう思っている。私は崩壊しない未来を見るためにある計画を立てた。
【輪廻破壊計画】
この終わらない輪廻の世界から突破する計画である。
私の名は、霜月燐音。
こんな名前だが男である、実年齢1689歳。書類上は15歳だ。
私は能力を持っているのだがそれが何なのかは分かっていない。
ぶっちゃけ名前に殺意しか感じないので生徒には霜月理事長と呼ばせている。
おっと、まだ言っていなかった。私は輪廻破壊計画のリーダーであり、輪廻学院の理事長である。
1500歳以上ともなれば知識も豊富過ぎて天才と謳われる。
全く、性に合わないので困ったものだ。
この学院は少し特殊でこの世界を知るものしか入っていない。
西暦2403年の現代日本には少子高齢化により破滅した県が多くある。
中でも日本の北側に存在する秋田県は破滅した県第一号であり、私の故郷だ。
この県が破滅したのは悲しい事に15年前…私が生まれた年である。
生まれは秋田県なのだが育ちは宮城県だ。
生まれてすぐに引っ越したのでどんな場所であったか記憶にはないが大事な故郷だ。
この学院はそこに作った。国から秋田県全土を買い取り全てが私達の所有地だ。
関係者以外立ち入れないようになっている。
それもこれも、全てはこの先の未来を見る為に。
今から丁度1674週前と一年前、私は親友である夏坂千雪と喧嘩した。
お互い大の仲良しの男友達である。私は基本引き目な性格だった。
しかし、チユは思春期の男子高校生らしい性格の青年だった。
性格も相性も真逆な私達が仲が良いのが不思議なくらいだ。
2402年の12月30日、覚えていないが何か怒らせてしまった。
今でも、あの日見せたチユの辛い表情が脳裏に焼き付いている。
何故あんなに辛そうな顔で怒っていたのか、今も分からない。
年も明け2403年となり一年を極普通に過ごした。仲直り処かお互い会話もしないまま。
2403年の12月31日、それは僕の誕生日であり年末だ。
その時私はあまり書かない日記を書いていた。
『今日も仲直りが出来なかった。このまま高校も別々になってしまうのは嫌だ。出来る事なら「やりなおしたい」。』
やりなおしたい、それがそもそもの間違いだったのかもしれない。
そのまま私は眠りに着いた。そして正月。
私は驚きを隠せなかった。世界が崩壊する姿を昨日見てしまった。あれは夢なのか。
しかし、今が2403年1月1日と表記されている事実は夢ではなかった。
私がこの世界の異変を理解できたのは11週目の2403年の1月1日だった。
この世界はループしている。私は輪廻の運命を歩いている。
それに気づいている者も居ない、時間は止まることなく流れ続ける。
27週目までなると私は学校には行かなくなり、思考を停止し始めた。
2月4日、同士であるアルカ・トリシーと言う18歳の女性に会うまでは。
私は仲間が居るのだと言う事実を知った瞬間希望の光が差した気がした。
此処から私たちの抵抗は始まるのである。