ー 始まりの書 ー 第2話
今回は、連れ去られてたアリアのお話です。
謎の男に連れ去られたアリアは、上位魔族が好んで住むエジプシャ大陸に連れて来られた。
「アリア様、お目覚めになりましたか?」
「うーん、貴方は、誰?」
「私は、レヴィと申します」
レヴィという魔族の男は、フードで顔を隠していたが、抱き抱えられたアリアには、黒髪でため息が出るほどの美しい顔が見えた。
「私を何処に連れて行くの?」
「 ... 」
「貴方の叔父のルシファー様の所にお連れします」
「叔父様⁇ 会いたくない! カインは、何処? カインに会いたい」
「ダメです。ルシファー様に会わないとカインに会えませんよ」
(私に叔父様いたの? ここ魔族の領地だよね。公爵様って魔族だよね。怖いよー)
アリアは、いつの間にか眠ってしまって目が覚めたら 中世のお城のような一室のベッドで横たわっていた。誰も居ないのを確認してから 起き上がってまわりを見渡し
(うわー なんて広いメルフェンチックな部屋なの。叔父様の趣味かなぁ? 魔族だよね⁉︎)
ルシファー公爵は、大魔王の次に強い権力を持ち この世界で一番気候が良い大陸を治め、大草原と美しい湖の近くの館で住んでいた。
コンコン
「アリア様、お目覚めですか? 」
「 うーん。まだ、眠い」
「失礼します」
ガチャ
「私は、アリア様のお世話をさせて頂きますリリアと申します」
「 ... 」
「ルシファー様がお待ちです。お着替えをお持ちしましたので 支度をしましょう」
「有難う。リリア」
アリアは、真赤で黒の縁取りのあるまるでフランス人形が着るようなドレスを着せられ ルシファー公爵のいる部屋に案内された。そこは、公爵の書斎で趣味の良い調度品が置かれていた。
ソファーに腰掛けているルシファー公爵は、金色の長い髪を後ろで束ね 女性のような美しい顔でアリアをじっと見つめて、
「アリア、こっちに来なさい」
アリアは、ためらいながら近づき 丁寧にお辞儀をして
「叔父様、初めまして ...」
アリアの挨拶が終わる前にもっと近くだと言わんばかりにルシファーに腕をとられ膝の上に座らされた。
ルシファーは、アリアの銀色に光る髪の一束を持ち
「マリアンと同じ髪の色だな。顔も良く似ている」
「お母様を知っているの?」
「あゝ、良く知っている」
「お父様は、何も教えてくれないの。お母様は、どんな人だったの?」
「強くて、美しい女だった。ーー お前は、俺の側にずっといろ」
アリアは、その言葉に驚き ルシファーの手を振り払って飛び降りたが、直ぐに捕まってしまい引き戻された。そして、首を絞められ
「お前も逃げるのか? 逃げたら殺す」
「ごめ、んなさい」
(恐い! 助けてー。 まじで、殺される‼︎ )
アリアは、苦しくて涙が溢れた。そして、もう二度とあの住み慣れた館には帰れない事を悟った。 リリアに抱かれて部屋に戻ったアリアは、ベッドの上で 優しかったジョシュアール、侍女のエバ、執事のセバス達の事やカインともう一緒に居られない事が悲しくて泣き続けた。その夜は、月明かりもなく シーンと静まり返った暗闇がアリアを包んでいた。
次回は、カイン達のお話です。