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プレイヤーキラー  作者: 狗
欲望と野望
2/75

港町スカライト



 どうやら着陸したようだ。


ブザー音が鳴る。


 この空港のみパルスの影響を受けない、降下の時パルスバリアがここのみ開いた。

この船を奪って脱出という案は、着陸とともに消えた。

宇宙船は、とけて水になる液体金属のみ空港に入れる。

着陸はできるが、着陸後動力は止まりただの水となる。



「ブリテン星に到着しました、皆さま楽しいセカンドライフをどうぞ」



 エコノミーの客は片道切符の移住者が大半を占める。

それが続々降りていく。

ファーストクラスは別の出口からおり、豪華な部屋で説明を受ける。

3Fくらいの建物で大理石でできたホテルのロビーに似た部屋。



 下を見下ろすと空港の近くに馬車がとまっている。

どうやら本物の中世らしいな、空港内との温度差が上から一目瞭然だ。

説明に従い、電子器具などの回収の係員と探知機を通り降りてゆく。


 ファーストクラスの特典で馬と、片手の平で掴める袋一杯の金貨100枚をもらう。

1枚の大きさは、博物館で見た銅硬貨くらい。

電子化されているお金が当たり前の世界だったので、かなりの違和感だ。

骨董品や美術品の様な金貨だが、この国で馬が金貨100枚だ。

金に価値はあまりないらしく、銀貨や銅貨も存在しない。

持ち歩きが不便そうだが銀行があるとか。



 説明によると、近くにスカライトという港町があるらしい。

行き方はバス的な馬車についていけばいい。

馬車は金貨一枚で馬と乗れるらしいが、せっかくなので節約する。



 ファーストクラスの連中は皆馬車にのり、エコノミーは歩いている。

馬車や人を追えば、たしかにスカライトにはつきそうだ。



 森を歩くと青い門と人だかりができている。

町同士を移動するゲートというものらしい。

町の中には行けず、目的の町から1キロほど離れた場所に転移できる。

にしても腹が減った。



  慣れない馬に乗りながら、町に向かっていると後ろから話しかけられる。

馬に乗ったカウボーイにしか見えない30代の男がそこにいた。

外見は爽やかな伊達男だが、宇宙船から来たという事はアバターかもしれない。



「お兄さんファーストクラスにいたよね! 隣の部屋だったんだ」



「その厳ついアバターとか、軍服なんて相当レアでしょ。凄いなー」



 ファーストクラスの客という事は、想像通りゲームアバターだな。

なんせ金持ちで、スキルってのを持っている相手だ。

なんかちょろそうな感じの話し方からして、鴨に出来そうだ。

俺は後ろを見ながら、自分にできる最高の笑みで答える。



「初心者さんかー色々教えてあげるよ。こんな顔だけど小心者でね」



「この服株主特典で手に入れたけど、趣味じゃなくてね」



 俺の身長は190で筋肉ダルマな髭生やしたおっさんだ。

しかも逃亡時の宇宙連合の軍服を着たままで、アバターではなく生身だ。

目をキラキラしたカーボーイは軍服を見ている。

見た目はダンディないい男だが、中身はボンボンのガキの様だ。



「あ、僕のキャラ名はロビンていいます! 忠実度こんな高いアバター凄い! よくできてるなー」



 そりゃ本物だからな忠実度高いよな。

にしても人を疑う事を知らない、ちょろそうな奴だ。

見た目と中身のギャップが笑いそうになるのを堪える。



「株主って事はエトロアーム社の株主、大富豪じゃないですか!」



 一瞬理解できなかったが、このゲームの会社の名前だ。

そうなのか株の価値なんて、債券相手の会社の物くらいしか調べない。

それでもこのエトロアーム社ってのは有名で、俺でも聞いたことがある。



「現実の金は困ってないな、よかったらアバター初期の100ゴールドで交換しようか」



 10分後鼻歌を歌ったカーボーイ風の男ロビンは、軍服を着ていた。

ついてきそうだったので適当な事いって撒いた。これで200ゴールドか。


 カーボーイのださい服を俺好みに仕立て直す。

カーボーイたるフリフリの装飾も全て剥ぎ取り、茶色い皮のなかなかいい服になった。

皮鎧自体は相当硬い、ただの革なら引きちぎれるのだが装飾だけすぐにとれた。


 街への道で、原住民というかこの星の人間にも遭遇した。

どうも過半数以上の人間は、羊毛製品を着ている。

現代の衣類に例えると大きいTシャツのようなチュニックと簡単な形のズボン。

女はワンピースか、チュニックのような上着とスカートの組合せだ。

この星で生まれて育った人間だろう。


 馬に乗れるだけで、この世界では中流階級以上の様だ。

星に来る人間は冒険者と言われ、身分のカーストから特別な身分とされている。

王族>貴族>市民>奴隷 の枠組みに入らない冒険者


 そんな事を考えていると町についた。

町は塀や柵などなく、のどかな牧草地にそのままある。

セキュリティは皆無だが、ガード圏内という安全地帯らしい。


 そこで人を攻撃し殺意あると判断されるとガードに殺される、ずいぶん恐ろしい。

ガードという名の閃光が一瞬で飛んできて、隠れてもシステムアリスのおかげで悪事が働けない。

殺意のない普通の派手な喧嘩だと、どこぞの牢屋へ一定時間強制転送。

ずいぶん住みにくい街だな。

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