逃亡の先 0話世界観説明
時は未来。
人類は長年の研究の末、富裕層は不老不死を手に入れた。
その事により、星には人類が増え80億人を突破。
増えた人類の貧富の差は激しく、金で買う厳しい身分の差ができた。
不老不死が買えない貧民層は、火星へ強制移住された。
上位富裕層は冥王星をリゾート星としめざした。
地球からスペースシャトル(時速6000キロ)で102年かかる。
星間飛行する長い年月、MMORPGをしながら。
仮想空間への接続機器を使い、完全なるバーチャルリアリティ世界に入れる。
一回死ねばキャラクターは消えるところまでリアルだ。
人類が増え、テクノロジーが開発されても犯罪は消えない。
不老不死から重犯罪者は流刑の様に、刑務所としての星に閉じ込めた。
犯罪者は馬鹿なもので、閉じ込められた星の中犯罪者同士で争った。
この星にはどんな国の権力も、届かない上に近づけない。
付近の宇宙を飛ぶ飛行物は、最新鋭の設備に撃滅される。
つまり資材搬入も無しで、唯一犯罪者を送る特別な移送装置のみ通れる。
その移送装置も降下専用一方通行で、着陸すると10分で溶けて水に代わる。
そんな犯罪者が殺しあう荒野の星。
バッカニアーズ・ダイ
犯罪者は元の国籍や組織が派閥を作り、それが国になり常に争っていた。
そんな救いようのない組織……国の一つ。
過激武力組織BOF
そこのグループの悪逆非道のボスとして君臨した男。
名前は無く人には狸と呼ばれていた。
その男はある方法で、脱出不可能なこの星から仲間を連れて脱出したのだ。
そのボスはまだ捕まっていなかった。
ずるがしこく、陽気な喋りと冷酷さを持っている大柄な男である。
戦いは先陣を切る武勇と、自分や仲間の利の為なら卑劣な事に躊躇がなかった。
何より独自の思考と、口のうまさが彼の地位を確固たるものにした。
だかその狸も、今まさに未曽有の危機に瀕していた。
仲間の半分は捕まり、宇宙国連特殊警察部隊に追われていた。
最新鋭の戦艦10機に追われ、高速小型宇宙船で逃げる。
近隣星からも捕縛する為戦艦が続き、包囲網は完全に完成されていた。
レーザー砲の雨の中、華麗な宇宙船操舵術でよけながら進む狸。
ロックオンされれば、デコイを放ち代わりに撃墜される。
もうデコイが尽きる、デコイが尽きれば操縦の腕は関係なく撃墜だ。
「っち、今回はやべーかもしれねえな」
苦虫を潰すような髭面の、狸と呼ばれる男。
国連軍の基地から、レーザーの材料を盗む予定で白い国連軍の服をきている。
隆起した筋肉、ジッパーが胸の途中まで空き出ている胸毛。
完全不良軍人のような見た目だ。
それもそのはず、この男亡国の軍人からマフィア化したマフィアの王様。
俗にいう国際的犯罪者ってやつだ。つまり俺だな。
そんな中、サイレンが船内に鳴り響き満身創痍の機体からアナウンスが流れる。
目の前には青く輝く惑星。
ナビには中立惑星ブリテン星、武装解除警告が鳴り響く。
かなり癖の強い星で、武装をもって近づくと極太レーザーで塵される。
だが逆に顔が緩む。
「俺の勝負運はまだあったようだな」
俺は、武装をデコイに使い切り離す。
ソーラーレーザーもミサイルもデコイ代わりに撃墜された。
このブリテン星は良くも悪くも有名な星で、星が意志をもち統治している。
国連軍でも交渉は一切通じづ、冥王星へ向かう人類の富裕層や上層部などのVIPとの関わりも深い。
ブリテン星の地上降下ステーションに急接近し、警告の中下船する。
追っていた警察のレーザー砲がやみ、俺を追うのを辞めた様だ。
駐船場からステーション内の廊下を走って進む。
国連軍から連絡がいったのか、警備員が6名ほどが単発電磁パルス麻酔銃で撃ってくる。
「ここを通すな! 一般フロアへの侵入を阻止するんだ!」
「雑魚はどけやぁ!」
ドアをけ破り盾にしながらを、真っ白い廊下を進んでいく。
実戦経験のない兵士は、障害物に隠れて腰の引けた単発撃ち。
数名を殴り飛ばすと、顎が砕けた同僚を見るや否や中へ逃げて行った。
入り口を突破し、天井の高い宇宙空港ステーションに入る。
周りの一般人が、兵士の銃を持った俺を見て叫び声をあげる。
それを突き飛ばしながら、電光掲示板で一番早い降下船乗り口を探す。
あと5分で出発する船がある。
「しめた、もうでるぞ!」
急いで走る容姿端麗な男を銃で脅し、降下チケットを奪う。
入り口でレーザー電池を抜き、銃を投げ捨てる。
船に入るや否やドアが閉まり出発が始まる。
美人のスチュワーデスが驚いてこっちを見ている。
ブリテン星に行くなら、PCや無線は使えない。
出発直前は全部OFFにしているはず、おそらくばれてはいない。
だが悪人面が、出港ぎりぎりに入ってきたら警戒するだろう。
ここは人質にとらせてもらおう。
ピンクのショートヘアーを揺らし、こちらに近づいてくる。
「お客様! もう出発ですよベルトをお締めください!」
かわいらしい18歳くらいだろうか、スチュワーデスが笑いながら敬礼している。
……あ、おれ軍服着てたからか。
怖い顔でも国連軍の兵士なら怪しまれない。魔法の服だ。
俺はにっこり笑って、奪ったチケットを出す。
「おぅ、悪かったなお嬢ちゃん、席がえーと」
お嬢さんはチケットをみて一瞬驚く。
が営業スマイルに戻る。
「ファーストクラスの冒険者様ですね! ブリテンへようこそ」
案内されるまま個室へ移動する。
高そうなウォータベットのソファーに腰掛ける。
パンフレットを眺め、内容を見る。
どうやらもうすでに疑似体に意識を移動した人間。
つまり冥王星に向かう時間つぶしのゲームがこのチケットの持ち主らしい。
だからあんな顔してたのか。
こんな髭面の悪人選ばないよな普通。
中世ヨーロッパが舞台の剣と魔法の世界。
世界最高ゲームタイトル ブリテン物語。
その世界ですべての町を支配し、王となった者。
その栄誉は星一つと、好きな人間100人までの移住権がもらえる。
全宇宙人類連盟発行で、犯罪者も一回無実になる代物だ。
だがこの100年一回も統一された事はない。
選ばれた富裕層だけが、生身以外でゲームとして遊ぶことが許される星。
生身で行って死んだらおしまいだ。
1億人の富裕層がプレイするモンスタータイトル、ブリテン物語。
夢と剣と魔法や冒険の世界、本当のリアルさを売りにしていた。
現実とまったく変わらない仮想空間は、富裕層にメガヒットを繰り出す。
このゲームコンティニューは何百万もかかり、キャラ作成からやり直し。
それでも人気でプレイヤーは増える一方だ。
それもそのはず、実際は仮想空間ではないのだ。
これは皆暗黙の了解なのだが。
ブリテン物語はブリテン星で現実に起きている話なのだ。
しかもここでの殺人は、国際協定に違反しない。
事の始まりは、ある男が大気のある星を発見し買い取った。
そこにDNA研究所を作る。そしてその男は天才だった。
火星から人間を新しい人生のキャッチフレーズで、人を募集し人間農場を作る。
条件は中世ヨーロッパの魔法の国になりきるだけで、家がもらえた。
2世3世と世代交代していくなか、人々はこの世界を本当の世界と思い込む。
地下ではDNAを利用したモンスターの作成や人身販売。
それを国際連合が星を突き止め首謀者をバッカニアーズ星送りにした。
しかし星は発見者の物で没収はできない。
首謀者は拘束される間に封印を起動。
星の領星権開放を宣言した。
この世界の8つの町を支配し、王となった者の脳に星の全てを譲ると。
おそらく条件型惑星システムのダウンロードだろう。
封印は星の中心のマグマの中
天才の考えた、星の権利を持つAIを備えた電磁パルス装置アリスだ。
これがPC・銃・レーザー・レーダーを判断し使えなくする。
軍事的行動を察知すると対空対地問わず、宇宙宙域は極太レーザーで消滅。
地上では見た目は兵士だが、瞬間移動を使える最強のサイボーグの衛兵が殺した。
そのサイボーグの固さはアダマンタイトを超え、どんなモンスターも銃も効かない。
現在はそういったシステムに守られ。
様々な人間や亜人、モンスターが生息する星になってしまった。
つまり生活している人間はNPC
ではなく本物の人間なのだ。
思考もその世界で育っているので、世界観も完璧だ。
領星開放に目を付けた宇宙の大手ゲーム会社。
仮想空間と歌い、そこで生み出した様々な赤ん坊の因子。
それにプレイヤーが顔や見た目を選んだ情報を、DNAに書き込んでクローンを作る。
その因子から急激成長によりプレイヤーの選んだ外見に近づける。
もちろん赤ちゃんもOKだ。
それに意識を映し、痛覚のみ50分の1にカットして送り込む。
生物なのでダウンロードさえ終えれば星に問題なくたどり着ける。
ペットなど人間以外が宇宙から入るとAI滅される。
つまり人以外はダウンロードして星に入るなり、滅される。
死んでもダウンロードなので、元の肉体は問題ない。
しかしたどり着いた瞬間に滅されてはもったいないのだ。
1秒もプレイできないコンティニューは、無駄金だ。
パルス圏内に入るため、TVなんかはない。
この船も計算された引力で落下するみたいだ。
半重力もないアナログで、片道切符スチュワーデスも疑似体の移転者だ。
髪がピンクでかわいいわけだよな。
もちろん警察も追えない。
追いに来たら、逮捕してもこの世界から出られない。
「おあつらえ向きの世界じゃねーか」
女を犯そうが、人を殺そうがつかまらない。
ただ、町の中には衛兵がいて一瞬で転送され生命を奪われる。
マニュアル本を掴み下品な笑いをあげる。
平行世界っていう2つの同じ世界が、ゲートで移動できるらしい。
トラメル世界とカオス世界ファルッカという2つの平行世界に分かれている。
地理も地形も全て同じだが、カオス世界は町に衛兵がいない。
カオスは他のプレイヤーから攻撃されたり持ち物を盗まれるといったリスクがある世界でもある。
そのため大半のプレイヤーや人間は、カオスでの活動を避ける傾向が顕著である。
トラメルに比べて人口が少ない。
トラメルと比べて大地が荒れ果てているのが特徴的だ。
(樹木に葉が茂っていない。骨が転がっている。血痕や墓石が至る所に点在するなど)
一方で戦闘に長けたプレイヤーは、ファルッカを拠点として活動している。
あえてこのファセットに乗り込み、独学では難しい対人戦の技術を、ここで活動する殺人ギルドや自警団(PKK。プレイヤーキラーキラー)ギルドなどに所属して学ぶプレイヤーも多い。
「まぁ、富裕層とかぼっちゃんちょろいし大丈夫だろう。にしても助かった」
ソファーに深々と腰を下ろし、高そうなワインをぐびっと飲む。
椅子の横にある、高級品である煙草をふかし笑った。
到着を待ちながら深い睡魔に誘われる。