日没前の町
朝・・・高校生ぐらいであろう少年は芋虫のように布団から這い出すとそのまま玄関に直行、和風の戸に手をかけ外に出た。町を歩きながら少年は過去を思い出していた・・・
朝といえば、母が亡くなった時間だ。母は俺の弟となる子どもを産むべく産婦人科に入院していた。そこで階段から転落したのだそうだ。しかしその婦人科には「妊婦はエレベータを使う」という決めごとがあり、なぜ階段を使おうとしたのかは誰にも解らない。
そういえば7歳になったとき、祖父に武道を教えてもらうことになったのも確か朝だったはずだ。昔から祖父が武道に励んでいる姿を見るのが好きだった。だから教えてくれると言われた時に相当喜んだのを覚えている。
昼・・・少年は雪の降る町を歩いていた。カップルらしき2人組が楽しそうに歩いている。今日は12月24日つまりクリスマスイヴだ。そんな大イベントの日に1人で歩いている少年はとても浮いていた。そんななか、また少年は過去を思い出していた・・・
昼といえば、12歳頃に隣の家に住んでいた家族が殺人事件にあったのが発見された時間がちょうど今の時間だ。発見したのは他でもない自分だ。同級生の友達が住んでいて遊びに行くと前日に約束していた。犯人はいまだ発見どころか特定することもできていない。
夕方・・・少年はよく来る夕陽の綺麗にみえる場所にいた。しかし、空は曇り雪が降っているので夕日は見えなかった。設置されていたベンチに座り少年はまた過去を思い出す・・・
夕方といえば、初めて祖父以外の人間と武道の手合わせをした時間だ。当時まだ小学生だった少年は、道場で剣道を習っていた友達と面なしで手合わせをした。そして事故は起こった。少年が放った突きは友達の目に直撃し、失明をさせてしまった。その時に流れていた血は夕陽の色を借りて、より赤々としていた。
この事故はすぐに広まり、飾り付けられ、少年は転校することになった。
この事故と同時に少年が祖父から教わっていたものは古武道だと知る。しかし、もはや習慣になっていた武道をやめることはできず、祖父に古武道を習い、教本などで大会などで使われる通常の武道を学んだ。