プロローグ
この物語はフィクションです。
登場する団体・人物などの名称はすべて架空のものです。
作中には暴力的・中傷的な表現が含まれております。
そのような描写の苦手な方はご注意ください。
日の光が街をオレンジ色に包む。
セピア調に塗り替えられた街をセーラー服姿の少女が歩いていた。
部活用の大きなカバンを抱えており、
日に焼けた健康的な肌からはじわりと汗が滲んでいた。
少女にとってそんな事は気にならない様子でうつむきながら歩を進めている。
足取りは重く、表情には陰りがある。
何か物思い耽っているようだったが、
急に空を見上げると瞳を閉じて深く深呼吸をした。
その瞬間、少女は何とも言えない強烈な違和感に胸を押さえた。
知らない街で迷子になった時の心細さ、狭い部屋に閉じ込められた時の圧迫感、
そして暗闇の中に何かが潜んでいるような恐怖感。
それらの感情が合わさって、津波のように一気に押し寄せて少女の心を掻き毟った。
少女は恐る恐る閉じていた瞳を開く。
紅い、紅い、紅い、アカイ、アカイ、アカイ、
アカイ、アカイ、アカイ、アカイ・・・。
どす黒く濁った太陽を除いて空も地面も周りの建物も
ありとあらゆるものが紅く染まっていた。
それらの紅はまるで生物のように蠢いており、臓物を連想させる。
急に強烈な異臭を感じて少女は激しく嘔吐した。
湿気を帯びた重い空気が体を舐めるようにまとわりついてくる。
背後に強烈な視線を感じて体が凍りついた。
全身から汗が噴き出る。奥歯が細かく噛み合わさって
危険の警笛となって脳内に鳴り響く。
振り向いてはいけないと頭では訴えているが体がそれを許さない。
少女の意思とは真逆に体はゆっくりと後ろへと向き返る。
目の前の巨大な闇に成す術も無く少女は飲み込まれていった。
初投稿になります。
書くペースが遅いので投稿が不定期になりますが
暖かく見守って頂けましたら幸いです。
本作品に対するご意見・感想がありましたらお待ちしております。