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祝われたはずの俺

掲載日:2026/04/12

「誕生日おめでとう〜!」

お祝いされると嬉しいですよね。(*´ω`*)

ろうそくを消して、ケーキを食べて…

少年も誕生日をお祝いされている様子ですよ!

  「ほい、これプレゼント!」

俺は誕生日プレゼントを持ってきてくれたおじさんにお礼を言った。

「ありがとう!」

今日俺の家で誕生日パーティーをやる予定で両親はもちろん、おじいちゃんやおばあちゃんの他、友達。そして滅多に帰ってこないおじさんまで来てくれることになったのだ。


みんなでごちそうを食べたりケーキを食べたりクラッカーを鳴らしたりと、ワイワイ騒いだ後のプレゼントだ。


おじさんの後は友達 そして両親からも、プレゼントをもらえて俺は嬉しかった。


パーティーが終わると、家族は片付けを始める。

「今日は誕生日なんだし、片付けは任せて自分の部屋に戻ってもらったプレゼント開けてみてもいいよ。」


お母さんに言われて毎日が誕生日ならいいのに、なんて思いながら俺は部屋に戻った。


 床にドカッと座り込み、丁寧にもらったプレゼントを見ていく。

お菓子の詰め合わせや、プラモデル、欲しかった漫画のセットなど

面白いものがたくさんあった。


その中に青いラッピングのプレゼントがあった。

大きさはゲームソフトぐらいで、俺は目を輝かせてラッピングを剥がした。


予想は的中で、中身はゲームソフトだった。

だけど、俺が欲しかったものではなく見たことも聞いたこともないゲームだ。

描かれているのは可愛らしいイラストだけど、なんとなく不気味だ。


(…誰がくれたんだろう?)

とりあえず、ゲームを始めて見ることにした。


ピロリンッ


軽やかな音がしてゲームが始まる。出てきたのは今の俺にそっくりな姿をした勇者だった。

(冒険するゲームなのかな?)


森の中を歩いて行く勇者、近くに小さなモンスターがいた。


「コイツを倒すのか。」

アイテムを確認してみるとそこには鋭い剣があった。

モンスターに近づくと、早速バトルが開始される。


剣で何度か攻撃すると、モンスターはあっけなく倒れて金貨が数枚手に入った。


「へぇ~なんか面白そうじゃん」

ここから俺は、しばらくゲームに夢中になっていた。


少ししてから母親に呼ばれて 俺は部屋から出た。

「友達が遊びに来てるよ〜」

さっき誕生日パーティーをやっただけでは物足りないのか、改めて 遊びの誘いが来たらしい。

俺は玄関へと向かった。


「よぉ!遊ぼうぜ〜あ、あとさ!今日誕生日だろ?おめでと〜」

野球グローブを抱えた友達が日に焼けた顔でニッと笑う。

「いや、おめでとうってさっきも言ってくれたじゃんかよ!ありがとな!」

俺が笑って友達を小突くと、友達はキョトンとして言った。

「え?俺今日1回もお前と会ってないけど?」


そんなはずはない、友達は今日の誕生日パーティーにも参加していた。

プレゼントに、野球バットをくれたんだ。

これらを説明してもまだ不思議そうな顔をする友達に俺はもらったばかりのバットを見せた。

「ほら!これ!」

すると友達は目を丸くして言った。

「すげぇ!これ軟式野球界で最高って言われてるやつ!どこで買ったんだよ?本物?!」

まるで自分があげていないみたいな反応に俺は驚いた。


(なんか変だな…)

そう思ったけれどその日は気にせず、野球をしにいつもの公園に遊びに行った。


 次の日、俺はまた貰ったゲームに勤しんでいた。

「コインもだんだん貯まってきたし、新しい武器も買っちゃおうかな〜」

武器屋へと顔を出し金色の剣を買った。


そろそろ中ボスだという時にトイレに行きたくなってしまい、俺は渋々部屋を出た。


トイレに行って戻る途中、昨日 残ったケーキの皿をじっと見ているお母さんを見かけた。

「何してるの?」

俺の声をかけると、お母さんは俺の方を見て眉を寄せた。

「冷蔵庫に見覚えのないケーキが入ってたの。誰が買ったんだろ?」

ケーキを買ってきたのはお母さんで、それは昨日の誕生日パーティーで残った物だ。

「何言ってんのさ、買ったのはお母さんでしょ?それは昨日残っちゃったから冷蔵庫に入れておこう ってなったんじゃん」

俺が苦笑いで説明すると、お母さんは困った顔で

「私…ケーキなんて買ったっけ…?」

と、ケーキの皿をテーブルに置くと歩いて行ってしまった。


 俺の頭の中に昨日訪ねてきた友達の姿が浮かび上がった。

(なんだこの現象…)

奇妙に思って 俺はそそくさと部屋に戻った。


 ゲームの中ボスをクリアした後も順調に敵を倒して、ついに魔王が現れる。

このゲームは結構面白いから、ほぼ丸2日食べること以外はゲームに費やした結果 ここまで辿り着くことができた。

「っしゃ!やってやるよ!」

俺は今まで買い揃えてきた武器を巧みに使い、魔王に攻撃を仕掛けた。


しかし、流石魔王だ。他の敵とは比べ物にならないぐらい強い。


今まで順調に進んでいったが、コイツ倒すのには苦労しそうだ。


俺は今まで培ってきた経験を活かし、なんとか耐えていたが状況はマズかった。

そろそろやられてしまう。


すると画面にアイテムボックスが現れた。

そこには 必殺技と、使うには、今所持している全コインが必要ですという表示が書かれていた。


「どうせここでクライマックスなんだ 全コインぐらい どうってことない!」

俺は魔王に向けて 必殺技を放った。


断末魔と共に 魔王の体は崩れ落ちた。


「よし!勝った!」

大喜びで俺は床で大の字になった。


あまりにも ゲームに熱中しすぎたせいか、お腹も空いたし 喉も乾いている。

(昨日 残っていたあのケーキ食べようかな。)


俺が下へ行くと、お母さんがいた。

「お母さん 冷蔵庫にあるケーキ 食べていい?」


その途端、お母さんが俺を見て悲鳴を上げた。


「あなた誰?!」

お母さんの 言ってる意味が分からず、俺は聞き返した。

「何言ってるの 俺はお母さんの息子でしょ?」

悲鳴を聞きつけて、お父さんもやって来る。


「おい誰だよ!どうやって家に入った?!」


明らかに様子がおかしい2人が恐ろしくて俺は家を飛び出した。


全力で友達の家へと向かう、とにかく誰かにこのことを説明したかったのだ。

チャイムを押すと、いつもの日焼けした肌をした友達が姿を現した。

「ごめん急に!なんか お父さんとお母さんの様子がおかしくてさ!」


息も絶え絶えになって言うと、友達はキョトンとした目をして言った。


「…ごめん どこかで会ったことあったっけ?」


嘘だろ…?友達まで俺のことを忘れている…?


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

叫び声をあげてまた俺は走り出した。


行く当てもなくただただ走ることしかできなかったのだ。



 さて、少年が出て行った部屋に残されたゲーム画面には「クリア!」の文字が表示され、その下に小さく「メモリーコインは0です。」と、書かれていた。

最後まで読んでくださりありがとうございます!

ゲームの中で支払っていたコインの正体は…(;一_一)

次の作品も読んで下さると嬉しいです!

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