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月が君を探すから。  作者: 式波せいた
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第1話 有明の月の下で


夜の暗闇の中、月はただ彼女だけを照らしていた


ーーーーーーーーーーーーーーー



その日の朝はテレビの音で目が覚めた。


「あら、おはよう。ごめんね、起こしちゃった?」


「ううん。ちょうど今起きたところ」


リビングでテレビを見ていた母が僕に気がついた。ふとテレビを見ると、毎朝見るニュースキャスターが何やら慌ただしげに速報を報道していた。どうやら何かがあったらしい。


「何かあったの?」


「なんか、かぐやちゃんが行方不明らしいのよ。無事だといいけどぉ、」


「かぐやちゃん?」


「ほら、あなたと同い年の竹から生まれた子よ、忘れちゃったの?」


そうだ、最近名前を聞かないからすっかり忘れていた。


この世界ではたまに不思議な事がおきる。ちょうど17年前、僕が生まれた年に光る竹が見つかった。そして驚くべきことにその竹の中から1人の女の子が出てきたのだ。最初こそ信じられなかったけれど、100年以上前には桃から生まれた子、体のサイズが1寸ばかりだった子がいたのだ、竹から女の子が生まれるという話も有り得なくはない。


その女の子は「光輝く竹から生まれた」ということから、

「竹野かぐや」

と名付けられ、政府に預けられた。昔こそ、神の子として、様々なメディアに出演していたが、最近は見かけなくなっていた。

そして今、そんな竹野さんが行方不明らしい。


「そんなことより、ほら、あなたは学校の準備しなさい」


「はーい、」


僕はかぐや失踪のニュースを横目に身支度を始めた。







「よっすーー!つきひ!」


「うん、おはよう」


学校に着くと、朝とは思えないぐらい元気な声と共に肩を叩かれた。彼の名前は出雲しゅうと。僕の数少ない友達だ。


「おい、おい、見たか?朝のニュース」


「竹野さんの件?」


「そうそれそれ、かぐちゃん。久しぶりにテレビで見たと思ったら行方不明って、、心配だよなー」


「無事に見つかるといいね」


「だな。あ、かぐちゃんといえば、つきひ、あの噂覚えてるか?」


「何?」


「学校の近くに竹林あるだろ?実はあそこにある竹からかぐちゃんが生まれたんじゃないかって噂。俺らが小学生の時めっちゃ言われてたじゃん」


「あー、そういえばあったね、そんな噂」


「でも、親に聞いても分からないって言われるからなー。結局噂にすぎないのか、って、あっ!予鈴なってる!急げつきひ!」


「やば!忘れてた!」


話すのに夢中になっていた僕らは、1時間目は化学の授業で、移動教室だということをすっかり忘れていた。いつの間にか誰も居なくなった教室をあとに1階の実験教室へと駆け下りた。







「つきひ!また明日な!」


「うん、また明日ね」


帰宅部の僕とは違い、バレー部のキャプテンとして部活動に日々熱中しているしゅうとは素直に凄いと思う。陸上部の準備運動の声を背に、1人校門へと向かった。


そして僕は家とは反対の方向へと足を運んだ。






「お、変わらず圧巻だな」


そう呟いた僕の目の前には、まるで月に届きそうなほど高く伸びた竹が何本も何本も生えている。そう、噂のあった竹林だ。

久しぶりに見た竹林に懐かしい思い出が蘇ってくる。よく小学生の頃はしゅうとやクラスの友達と噂を耳にいれ、光り輝く竹を探したものだ。


ボロボロのロープを跨ぎ中へと進んで行った。


「確かこの辺に、、、、」


そして小学生の時、僕らは竹林の中に小さな神社があるのを見つけ、そこを秘密基地として遊んでいたのだ。今朝、噂を聞いてその秘密基地を思い出した僕は、秘密基地が気になり竹林に足を運んだのだ。


「あった!って、、ん?」


そこには手入れのされていない、当時のままの苔むした神社があった。

しかし、その傍らに神社の老いた雰囲気とは場違いな、同い年ぐらいの女の子の姿があった。


「なんで、ここに人が、」


その瞬間、木漏れ日が彼女を一点に照らし始める。

その神々しい光景はまるでおとぎ話の世界に迷い込んだようだった。



気づけば、木漏れ日によって光輝く彼女の姿に僕は見とれてしまっていた。焦って女の子を確認するが、女の子は横になったまま動いていない。

どうやら寝ているようで、僕には気づいていないみたいだ。


関わりたくない気持ちもあったが、一応人道的に声をかけた


「あのー、大丈夫ですか?」


「んー、、、?」

「って、なんでこんな所に人が?!」


「いや、こっちのセリフ」


「どうしよう!見つかっちゃったー!」


慌てる彼女は、凛と整った顔立ちで美しく、今朝テレビで見たばかりの顔だった。


「もしかして君って、、」




有明の月の下、2人は出会った。



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