4
ダールヴァのダンジョンに到着し、これから潜る。見た目は普通の洞窟に見え、これから入るダンジョンを前にパーティの仲間は緊張するでもなくご満悦の様子だ。
ダンジョンにつく前にあるやり取りがあった。
『なんで……』
「ダンジョンに入ってからじゃ、取れないものもあるじゃろう?」
「え?」
「ミリアムさんの手料理を、ダンジョンに入ってる間も、食べられるなんて素敵ですわ! わたくし達もマジックバッグを持ってますもの。食べ物を集めて手分けして持って、ダンジョンに入りましょう!」
「これからもミリアムさんの手料理が食べれるなんて! 私は幸せです! 神に感謝しなければ……」
突然と信仰する神に祈りを捧げるネーレウス。
「俺達の為に作るんであって、お前の為じゃない!」
いや…、あなたの為でもないわ…。私は心の中で、オイジュスの言葉にツッコミを入れる。入るパーティを間違えたのだろうか。わちゃわちゃとカオスなやり取りをしている彼らを見少し思った。
「あはは~! 皆面白いでしょう! たまに変な風に暴走しちゃうところあるけど、僕大好きなんだ~」
スパロウは、眩しそうな視線を仲間に向け、「お姉ちゃんにもそうなるといいなぁ」と言葉を継いだ。
ヘルメスは我関せずといった様子だけど、逆らうのは面倒だと思ったのか、「これは食べられるはずだ…」と言って果実を取ってきてくれた。
そんなやり取りの中、ゴンが倒したオークとコカトリスの、肉を捌いて今に至る。
「今からお姉ちゃんのご飯楽しみだよ。今までは肉を捌いても、そのまま焼くだけとかだったから……」
「…そ…、それは美味しくなさそうね…」
素材の味しかしないのか……。栄養は取れるだろうけど、酒場や宿屋の食事と比べたら泣きたくなるわね。
だからパンと干し肉だったのかと今更納得する。
スパロウとそんな会話をしながら、切り開かれた階段の様な空間を、剣を構えつつ一歩ずつ、踏みしめながら降りていく。攻略済らしい階数を突っ切って、未開の階らしい階段を降りきると、正面と左右に扉があった。
「左から行こうか」
リーダーのオイジュスが言うと、ヘルメスは「わかった」と罠の有無を調べる。
「ここには罠はないみたいだ」
そういうヘルメスに、オイジュス、私、ゴン、アテナと戦闘職の私達が先行で扉を開いた。
罠は無いようで、作動しなかった。奥まったところに宝箱が見えるけど、コボルトが10匹ほど部屋を陣取っていた。
なれているのか10匹ものコボルトに動揺などしないで、小さな傷を受けながら、仲間たちは応戦していく。
オイジュスは両手剣を振り回しコボルトを叩き伏せていく。アテナも両手剣で応戦中だ。スパロウは小さな体を活かして、ダガーで戦っている。ネーレウスは仲間の怪我を治しながらメイスで叩く。ゴンは小さな体で斧を振り回し華麗に叩き伏せていく。