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初めて好きになった貴方…  作者: 皇ひびき
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3

 冒険者として生きてきた彼らには、料理といったスキルはないのだろう。個人的には、経験値の差であって、料理に才は関係ないと思っているんだけど。


 軽く現地調達の食事を済ませ、3回のローテーションで、夜の見張りを決めそれぞれの時間を過ごし朝を迎える。



 朝、軽く朝食を作ろうとすると、心做しか期待に満ちた目で見られてる様な……。アテナまで……?


「はぁ……」


 溜息を1つつき、「わかりました。朝食用のパンと材料費は頂きますよ……」


「お姉ちゃん大好きっ!」


 そう言い、スパロウが腰に抱きつく弟がいたらこんな気持ちだろうか…。可愛い…。後方で「なっ!」とか「ズルいぞ…!」とか呻くような言葉が聞こえたけれど、気にしない。


「今日は何を作ってくれますの?」


 興味津々といった様子で、マジェスティがきいてくる。


「そうですねぇ…」


 私は考えながら、手を動かす。昨日の残りのスープにミルクを入れて火にかけ直す。あとは……、パンを薄く切ってから、軽く炙って果実を煮詰め甘いクリームを塗る。甘いのが苦手な人の為に、ミルクを発酵させて出来たチーズを乗せて、炙ったものを用意する。


 あとは卵を、ミルクを煮詰めて、油を煮出したバターを底の浅い鍋に落とし、鳥の卵とミルク、塩と香辛料を混ぜた卵液を流し入れる。ジュワジュワと小気味いい音を立て、卵液に火が通っていく。フォークの様な食器を手に取り、混ぜ合わせる。半熟の所で皿に小分けに分けていく。


 赤い野菜に香辛料を入れ

、煮詰めたものを色づけにかける。


 パンは、大きな器に乗せ好きなのを食べてもらう。


「ダンジョンに向かっているなど、嘘の様じゃの」


 嬉しそうにゴンが、チーズの乗ったパンを食べながら言う。


「卵がふわふわで美味しいですわ! チーズの乗ったパンに乗せたら更に美味しくなりそうですわ!」


「悪くないんじゃない。ありがとう…」


 お礼の部分は囁くように小さな声になっているけど、アテナも甘いパンをお気に召したようだ。


「美味い…。料理が上手いとか意外だな…」


 ヘルメスも遠巻きではあるけれど、声をかけてくれた。



「もっと前から言ってくれれば、もっと食糧買ってきたのに……」


「現地で調達すれば食べれるモンスターのお肉とか、きのことか木の実とかいろいろとれるよ! ゴンのオジサンとか捌けるし」


「食べれる敵を倒せたら、ワシが捌いてやろう。得意なんじゃ」


 ニッコニッコと音が聞こえそうな程に、笑顔のスパロウが言う。


 現地調達で彼らのご飯当番が決まった瞬間だった。


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