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初めて好きになった貴方…  作者: 皇ひびき
11/13

10

 私がパーティのみんなと一緒に過ごすようになって、半年程過ぎた頃、大型で未踏のダンジョンに潜っていた。コボルトにトロルにゴーストやグールと階層によって、様々な敵が襲ってきた。


 それらを退治し、33階位降りた頃だろうか。私達は結界を張り、体を休めることにする。


 軽く食事を取り、皆結界の中で寛いでいると、ヘルメスが不意に立ち上がった。


「少し周りの様子を見てくる…」


 そうポツリというと、ガーゴイルへと変身して飛んでいってしまった。



 いつものことながら、偵察にと一人で行ってしまうヘルメスが、心配で仕方がない。


 普段なら十分もせずに戻るのに、二十分過ぎても、帰ってくる気配がない。まさか何者かに襲われていないだろうか…。怪我などしてないだろうか…。トラップにかかってしまったりしていないだろうか。


 仲間内でも、いつもとなにかが違うと思ったのか、荷物の整理を始めた。誰ともなく「ヘルメスを探しに行こう……」そう言って先を進むことにした。


 通路の先に、ガーゴイルの姿を認め、一同「無事で良かった」と安心の息をついた。


 けれど、私達に気がついたガーゴイルはこちらへと向かってくる。知性のない瞳を向けて鋭い爪をこちらへと向けてくる。


「な…。ヘルメスではないの?」


「わからない…。この階層でガーゴイルはまだ見かけてないし……」


「襲いかかる火の粉は、振り払わんといかんじゃろ…」


「ヘルメスだったら……、弱った時に元の姿に戻るのかな…。その時にでも謝らなくちゃ…」


 不安そうにダガーに手を触れながら、スパロウが呟く。


「ヘルメスじゃないと、信じて戦うしかないみたいね。あちらさん、無傷であたし達を帰す気ないみたいだし!」


 自身の剣を操りながら、爪を避けつつ、アテナも言う。


 それぞれの武器を手に、攻撃を加え、与えられる攻撃は避けつつどれくらいのダメージを与えたのか…。


「この体力…、普通のガーゴイルにしてはしぶとくはないですか?」


 仲間に当たらないタイミングを狙いながら、ファイアボールを撃ち込むマジェスティが言う。


「もう倒れてても…、おかしくないのに…。嫌な予感しかしねぇ…!」


 斬り込みながら、オイジュスも言う。


『そんなはずない……』


 万が一、ガーゴイルクロークが呪いのアイテムだとしても、お金を積めば生き返らせる事だって……。


 ガクリとガーゴイルが緑の血を流しながら、地面に倒れ伏せる。


 もう用は済んだとでも言いたげに、じわりじわりと緑色の血は、赤く染まり倒れ伏したエルフが姿を現した。


「ヘルメス……? 髪と肌の色が違うよ!」


 困惑した様子のスパロウと黙って頷く仲間達。


 倒れ伏して動かぬ屍と成り果てたそれは、ダークエルフの特徴である褐色の肌色をした遺体だった。


 絶望的な思いで、変貌した彼を一行は見つめた。

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