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パンデミック 〜学生たちの闘い〜  作者: 不死裂@秦槐
2/2

ゾンビ


目の前に現れたのは先生……ではなく、先生の形をした怪物だった。一見、先生に見えるソレは、青白い肌、死んだような目をしていた。さらに、異常に肥大した犬歯を持ち映画に出てくるような”ゾンビ”のように動いていた。


「どぅぁぁあああ!?!?」


歩が大声で叫んだ。

目の前にいた怪物は、歩の叫び声に反応したのか首をゴキゴキと回してこちらを見つめる。俺たちに対する明らかなる殺気を感じた。

これはやばい。おそらくだが、噛まれたらヤツみたいになるかもしれない。横を見てみると、真柄と歩は青ざめた顔で先生の形をした怪物を見つめていた。

この際、声量は関係ない。とりあえず二人には我に帰ってもらって中学校棟にまで走ってもらうしかない。


「おい!!!二人とも!!!逃げるぞ!!」


俺が大声で叫ぶと、二人は我に帰ったように「お、おお!」と言って走り出した。

だが、二人と同時に先生の形をした怪物も俺たちに向かって走り出した。

俺も二人の後を追うように走る。後ろを振り向くとヤツが追ってきていた。スピードこそ遅いものの、走ってくる姿は恐怖そのものだった。


「なんなんだあれ!?」


真柄が一番前を走りながら聞いてくる。


「多分だがゾンビだ!仮にそうだとしたら噛まれたらヤツらみたいになるぞ!」


「ゾンビ!?映画とかアニメとかだけのやつじゃねぇのか!?」


「そんなもん知らねぇよ!まだ仮定だからそうだって決まったわけじゃねぇ!」


ヤツについての言い合いをしながら中学校棟に着く。どうやらまだ、中学校の教員たちには情報が回ってきていないらしい。普通に授業をしていた。


「真柄!お前は職員室に行って現状の報告!できれば先生たちに高校に行くように伝えて!歩は3年生の先輩と一年に警戒するよう伝えて!俺は教室に戻って全員に説明をする!」


「「おう!」」


二人と別れた後、階段を一気に駆け上がり教室のドアを開ける。勢いよく開けたので、話し声が止み視線が俺一点に注がれた。


「どうだった?悠希?」


委員長の日向が最初に質問をぶつけてきた。


「……それがな、信じてもらえないだろうが先生は死んでた。いや、死んでその死体が動いていたからゾンビになってたって言った方が正しいか。」


「……何言ってるの?ゾンビなんて映画とかアニメとかの話でしょ?オタク拗らせたらそんなこと言っちゃうわけ?」


清水はどうやら信じていないらしい。いや、清水だけではない。クラス全員が俺の言葉を疑っていた。


「いや、これはマジだ。真柄と歩も俺と同じように見ているからな。それでも信じないってやつは一回高校棟に行ってみろ。死んでも責任はとらねぇけどな」


「じゃあ、嘘だったら土下座してよ?自分の嘘でみんなを困らせました。ごめんなさい。ってね。」


「ああ、いいぞ。その代わり、俺がマジだったらお前ら全員は強制的にヤツら戦ってもらう。ついでに俺と歩が戦闘の指揮をとるけど問題ないな?」


「別に構わないわよ?だってゾンビなんているわけもないんだから。」


清水がそう言い切った瞬間、全校に非常事態のベルが鳴った。本来は地震や火災の時に使われるはずだが……

そう考えていると、放送が流れ始めた。


『緊急放送です。緊急放送です。落ち着いて静かに聞いてください。青白い肌、死んだような目、異常に肥大した犬歯を持つものが現れました。今後、その見た目を持ったものをゾンビと呼びます。この現象は世界共通です。全世界にゾンビが現れました。教員は未感染者の救出に向かってください。生徒の皆さんは先生が戻るまで中学校棟で待機してください。』


放送が終わると静寂が教室を包んだ。誰もが信じられないという顔をしている。実際、俺も半分夢なんじゃないかと疑っている。


「おい!お前ら大丈夫か!?」


その静寂を破ったのはクラスの奴らでも、俺でもなく歩と真柄だった。


「あぁ。一応全員無事だ。」


その言葉を聞くと二人はホッとして席についた。

俺は自分の席には向かわずに、清水の机の前に向かう。


「な?俺が正しかったろ?約束通り全員強制的に戦ってもらう。あと、今から指揮権は俺と歩に移行したから。従ってもらうよ。」


「わかってるわよ……」


清水は不満そうにつぶやく。歩の方を見ると何が起きているかわからずにオロオロとしていた。

あいつオロオロしてる方がおもろいな。一応説明だけしておくか。


「あ、一応現状が理解できていない人達に説明すると、ゾンビがいるかいないで賭けて俺が勝ったから、全員強制的に戦闘させるのと俺と歩に指揮権もらえたから。歩もいいだろ?それで。」


「あ、あぁ大体わかった……別に構わんけど……ん?でも、実際戦闘なんてする機会あんの?」


まあ、そう考えるだろうな。今から避難するのに戦闘なんて必要ないと考えるのは自然だ。だが、それは俺の思っている作戦ではない。


「ああ、あるぞ。なぜなら、俺たちは今から避難するのではなくここに立て篭もり、応戦をする。」


クラスがざわめくのがわかった。まあ無理もない。今から安全なところに向かうのではなく、未知の生物と戦うって言われてるんだからな。


「何故わざわざ危険を犯すようなことをするんだ?安全なところに避難した方がいいじゃないか。」


日向が全員の意見を代表するかのように質問する。


「理由は二つ。 一つは、さっきの放送で全世界で同じようなことが起きてるって言ってただろ?つまり、日本にも同じ現象が多々あるということだ。避難先にもしゾンビがいたらどうする?全滅するだろ?それを防ぐためだ。」


「……なるほど。二つ目はなに?」


「二つ目だが……何故高校で発生したこの現象が中学校にはなかったのか。そう考えた俺はなんらかの条件があって発生していると考えている。例えば人数とかな。高校は600人以上いるのに対して、俺たちは全校生徒が約80人。仮に300人以上で一人感染するとしたら、避難所に行ったら発生する可能性が上がる。これはあくまで可能性の中の一つだから正解ではないがな。」


「たしかに……高校で発生しているのにこっちでは誰一人として感染していないのは不自然だ。」


矢野は俺の発言を肯定するように頷きながら喋る。

俺たちが意見を交わしていると、副担任の先生が教室に入ってきた。


「君たち!早くここから逃げるよ!ゾンビっぽいのが高校で大量発生してるんだ!早くいくよ!」


先生が慌て気味で喋る。その表情は恐怖に染まっていた。


「いや、先生。私たちは行きません。行くなら先生一人で行ってください。」


そう答えたのは真柄でも、歩でもなく、俺でもなく、清水だった。

先生は意外な返事だったのか少し戸惑った後、ハハッと笑ってから続けた。


「し、清水さん?何を言っているんですか?僕は君たちを安全な所に行かせると言っているんですよ?真面目な貴方ならわかってくれるはずなのですが……」


「いえ、先生。私は貴方が思っているほど真面目ではありません。ごめんなさい。貴方の知っている真面目でいい子ちゃんな清水さんはゾンビに食べられました。」


清水が皮肉を効かせながらズバッと言うと、先生は流石に折れたのか「で、では1年生と3年生だけ連れて行きますね。」と呟き、教室を出て行った。


清水はホッとため息をつくと同時に「内申が…内申がぁ…」

と嘆いていた。俺たちに進学する高校はないのに…


「じゃあ、そういうことで。武器は清水たちは弓道部だから弓矢を。真柄は金属バットありったけ。俺は剣道部だから木刀を。あ、あと真剣とかもあるから持ってくる。じゃ、各自武器の調達に入って。」


と俺は指示を出した。


指示が出され始めて全員が動き始める。割といい連携が取れそうだなこのクラスは。

俺も剣道部の道場に向かおうとした時、歩が「おーい」と話しかけてきた。


「ん?どした歩?今から道場に行くんだけど一緒に行く?」


「いや〜、実はね〜、理科室にある薬品を取りに行きたいんだけど…一緒に来て欲しいなって♡」


「キッモ…でもなんで?たしかに複数人行動は大事だけどさ。一人でいけるだろ。」


「ほーんお前、俺とゾンビが接敵した時勝てるって言うんだ〜?」


あ、たしかに。

こいつ運動できねぇから襲われたら一瞬でやられるか。


「……ごめんやっぱり一緒に行くわ。その代わり先に道場で武装させろよ。」


「お前今俺が運動できないって思ったろ。まぁ、あってるけど」


なんでバレてるんだ!?こいつ……宇宙人との交信がどうとか言ってたけどやっぱり人間じゃねぇな。


「お前人間じゃねぇだろ。俺の考えてたことがわかったから絶対人間じゃないな。」


「は?なんでだよ。日本生まれ、日本育ち、親も祖父母も日本人の在日ブラジル人だよ。つーか、少し間があった時点で単純なお前の考えてることなんて予想できるわ!」


「そんなことより早く行くぞ!道場も理科室もいつ占領されるかわかんねぇからな!」


強引に話題を変えて走り出す。後ろから歩がボソっと「無理矢理そらすなや」って言ったっぽい。まぁ、無視するんだけど。

俺たちは今後の作戦や、行動などを考えながら剣道部道場に向かった。

幸いにも、道場はまだ占領されていないらしく、木刀や真剣はあっさり手に入った。

刀は長く、柄は菊の模様を持っている。

この形の刀……どっかで見たことがあるけど……まぁいいや。


「ヒエっ…これマジモンの刀かよ。銃刀法どうなってんだ。」


歩がやや引き気味に言う。まぁ、マジモンの刀なんて学校にあったら誰でも引くわな。


「顧問が言うにはマジモンだって。ちなみに銃刀法は多分だけど国に申請してる……はず。」


「はずってなんだよw まぁいい。よし、次理科室へGo!」


「いや、あのー、このまま15本の木刀と一本の刀をもって行けと?」


「は?なぜそうなる、後から拾えばいいじゃん。拾いやすいところに置いといて。」


「天才かよ。」


「お前が馬鹿すぎんだよ戦闘狂。行くぞ!時間がない!」


歩はそう言うとスタスタと歩き始める。

え、めっちゃ先に行くじゃん。なんのために俺に護衛を頼んだんだよ。

俺は真剣だけを握って歩の後を追う。

少し歩いたところで人陰が見える。一瞬生存者かと思ったが明らかに様子が人間のソレじゃない。

歩は気がついていないのか、ズンズン前に進んでいく。


「おい!歩!正面!敵影確認!距離20!戻ってこい歩!」


「は?20って何?メートル?ヤード?っておいおいおいマジかよ!?」


ゾンビに歩が陸上選手みたいな走り方で戻ってくる。

別にその走り方をしたからめっちゃ足が早くなるとかはないんだぞ……早くなりたかったら運動しろよ。

にしてもこの量かぁ……多分高校生は全滅かなぁ……

目視だけで20はいるな……弓道部に援護してもらわないと全部は無理そう……


「おい歩!一回退却!この量だと俺だけで片付けられない!武器だけ持って逃げるぞ!」


「おっけ!剣道ポ○モン!俺を守れ!」


歩が俺の所に戻ってくると、両手に15本の木刀と真剣を持って中学校まで逃げる。

あいつらの足は遅いが一回でもこけたら追いつかれそうなほどに距離は近い。

木刀の重さに耐えながら、中学校に逃げ込む。

3キロ以上あるものを持って走ったので、教室に着いたときには俺も歩もぐったりとしていた。

教室の入り口の近くにいた金田に「正面玄関にバリケードを作っておいて」と指示を出す。

金田と入れ違いで教室に入ると、すでに弓道部と野球部は武器を持って待っていた。


「おう、どうだったよ。こっちは人数分とはいかねぇが2年生の半分は戦えるぞ。」


真柄がニヤリと笑って聞いてくる。野球部はバットが結構あったのだろう。クラスの半数がバットを持っていた。


「んーこっちは薬品は手に入らなかったけど、木刀15本と真剣1本は手に入ったかな〜」


「じゃあ、あとは作戦だな。入り口には約30体のゾンビがいるぜ。流石に正面突破は無理だろ。今、金田達が見張ってるがいつガラスが割られるかはわかんねぇ。」


「とりあえず、正面玄関には一階のホールの長椅子とか使ってバリケードを作って。出来るだけ奴らの進行を防ぎたい。」


「了解。野球部!集合!」


真柄が大声で召集をかける。さすがキャプテン。リーダーシップはあるな。

俺も主将だけどあんなリーダーシップなんてねぇんだよなぁ。


「おーい剣道部ー集合〜」


一応剣道部に召集をかける。これでも主将だからな。らしいことしておかないと……

召集をかけると俺と同じくらいの背丈の男子が2人集まってきた。

2年剣道部は俺を含め3人。杉原龍太郎と近藤亮二だ。

二人は持ってきた木刀をじっと見つめた。


「「で、俺らに何をして欲しいんだ?」」


2人揃って聞いてきた。

双子かお前らは。息ぴったりすぎだろ。

俺は少し咳払いした後、ゆっくりと答える。


「剣道部を中心とした出雲抜刀隊を結成しようと思う。お前たちは2番隊と3番隊のリーダーになってもらう。することは、木刀15本を使って前線をあげること。後、残酷だとは思うが仲間が噛まれたら問答無用で殺せ。」


「お、おい!前線を上げることは分かったがなんで仲間を殺すんだよ!噛まれたら前線から下げたらいいだろ!」


亮二が不満げに言う。それも無理はない。クラスメイトを、それ以前に生身の人間を殺せって言ってるんだしな。だが、これは変えられない。


「いや、ダメだ。仮に前線から下げて中学校で治療中の時にゾンビになったらどうする?内部から崩壊させられかねない。これは仕方のないことだ。まぁ、5人ずつ集めて部隊を作っておいて。」


「で、でも……」


「でもじゃねぇ!今がダメなんだったらお前らはこいつらの護衛でもしてろ!龍太郎の3番隊と俺ら1番隊で倒しにいく!」


つい、声を荒げてしまう。

亮二が不満げにぶつぶつと言う横で、龍太郎は納得したように頷いていた。

亮二はチッと舌打ちをするとズカズカと自分の席へ戻っていった。

龍太郎も俺を見て頷いた後、亮二の後を追うように走っていく。

うーん……龍太郎は納得してくれたっぽいけど……亮二の説得はもう少し時間がかかりそうだなぁ……

チラリと歩の方を見るとやれやれといった表情で亮二の背中を見つめていた。

亮二は小4の頃からあんな性格だったよな。まぁそのおかげで助けられた時もあったけれども。

そう。俺と亮二は小学校時代の友人だ。初めての出会いは塾の模試のテスト。向こうから話しかけられた時はビックリしたが、人見知りだった俺にとっては嬉しかったなぁ……

おっとこんな悠長に思い出に浸ってる場合じゃなかった。

窓から外を覗くとすでに周囲を数十体のゾンビが囲っていた。

話し声に反応したのか、窓の真下にゾロゾロと集まってきていた。奴らは唸っていて言葉は何も発していない。目は見えていないのか、壁にぶつかっては唸ってを繰り返している。なんとも間抜けな光景だ。

だが、これ以上ほっとくと完全に包囲されかねない。奴らが大量にここに集まる前にこいつらを殺さないと……

俺も奴らみたいに「うーん…」と唸りながら考えていると、歩が全員に召集をかけてきた。


「どうした?何か問題でも起きたか?説明するんだったら手伝うけど。」


「うんにゃ、今回はお前も俺の話を聞いて欲しい。とりあえず、1番前の中央の席に座って。」


「了解」


「特等席やでぇ(ボソッ)」


珍しいな。普段は説明なんてしたがらず、授業中ぐっすり寝てるあの歩が自分から進んで説明しようだなんて。

俺は歩に指定されたところへ座る。周りは俺が招集した出雲抜刀隊の1番隊のメンバーが座っていた。俺の左右に亮二と龍太郎が座っている。

周りを見渡していると歩が教壇に立ち、ゆっくりと作戦の説明を始めた。


「ゴホン!」

「えーっと、今こうやって全員に話を聞いてもらってるのは他でもない。ゾンビのことだ。高校はすでに地獄と化している。しかも厄介なことに世界共通でこんな状況らしい。そんな中俺たち2年生はここに籠城し、ゾンビの情報をできる限り集める。頃合いを見て学校を離れ、自衛隊駐屯地に向かう。で、4トントラックでも奪ったあと、俺の知り合いがいる広島の呉に行こうと思う。」


「まて、4トントラック奪うって犯罪なんじゃないか?そもそもなんで駐屯地なんだよ。学校が持ってるバスでもよくないか?」


「悠希くん発言するときは手を挙げる!質問の答えだが、そもそも今は法が動いてない、というか人がいない。罪悪感は捨てろ。学校のバスも考えたが、バスが高校の敷地にあるので乗る前にみんな死ぬ。つまり駐屯地じゃないとダメだ。もう1時間奴らを確認してくらい経つが、正面玄関には大量にゾンビがいる。今も入り口にバリケードを作ってなんとか足止めしている状態なんだ。ここでさえこんな状態なのに、首都部になったらどのくらい生き残ってるかわからねぇ。」


「お前、まさか自衛隊から銃を奪うっていうんじゃないんだろうな?」


「だから手を挙げる!現状、俺たちの今の武装はあまりにも弱い。殴り合いの喧嘩をしたことない奴らが大半で、戦える奴も木刀しか持ってない。遠距離武器を持つゾンビが現れたら?もっと速いゾンビが出てきたら?俺たちは確実に死ぬだろう。でも自衛隊の銃はどうだ?引き金を引くだけで文化部でも自分の身を守れる。だから自衛隊の銃を拝借ってわけ。」


「じゃあ、なんで広島まで行くんだ?別にそこに行く理由はなくないか?」


「いや、アテがあってな。広島の呉は、第二次世界大戦中に戦艦大和が作られていた都市なんだ。まぁ、当然軍事機密の基地とか色々あってその中の一つがその港の地下にある研究施設なんだわ。そこに行ったら核シェルター並みの強度と安全性はあるからそっちに行ったほうがここより絶対いいよねって話。しかもそこ入り口が一つしかないから守りやすい。しかも町にもあちこちに防空壕がある。これ以上安全な都市ある?」


いや、核シェルターがどのくらいの強度かいまいちわかんないんだけれども。まぁ、安全ってことなんだろう。


「質問は以上だな?現在、99%以上の人類がゾンビと化している。おそらく皆が描いていた夢もこの12時をもって諦めざるを得なくなる。当然、死人も出るだろう。しかし、司令部としてできる限りの事は尽くすつもりだ。明日の夜にはここを出る。今回の戦いは情報が命だ。どれだけ少ない被害で人類に有益な情報をどれだけ集めれるかが鍵だ。全員、死なずに自分のやるべき事に取り掛かれ!」


「全員!生きてこの状況を打開して、人類史に最高の1ページを作ろうじゃないか!」


「はぁ……急に真剣に話すじゃんか……」


「いや、俺はいつだって真面目だよ。」


「授業中寝ながら宇宙人と交信してるのが?」


「睡眠学習と言ってくれ。あと、交信なんかしてねぇ。」


「屁理屈言うなし」


「はいはい。いいから。じゃあ、そう言うことで。解散!死ぬなよ」


「なんなんだよ……はぁ……1番隊、3番隊集合!」


そう言うと、周りにいた1番隊のメンバーと龍太郎率いる3番隊のメンバーが俺の元へ集まってきた。

全員が集まったところで俺は作戦を伝える。


「俺たちの初陣はこの校舎の周りにいる敵の掃討作戦だ。校舎の入り口から出たあと、1番隊は東側、3番隊は西側を叩く。掃討し終わったら走って校舎の中へ戻ること。それと、龍太郎には先に言ったが、仲間が噛まれたら迷いなく噛まれたやつを殺してくれ。これ以上ゾンビを増やすわけには行かない。」


噛まれた仲間を殺す部分に反応したのか、3番隊がざわざわとし始めた。

しかし、こればかりはどうすることもできない。


「殺すのは酷いかもしれないが受け入れてほしい。噛まれた仲間がゾンビになると言うことはすなわち敵対すると言うこと。それは命をかけて戦った仲間には失礼だと思うぞ。大丈夫。噛まれなければいいんだ。連携していこう。1番隊が先に行く。3番隊は後ろからついてきて。」


「了解」


そう言うと俺は入り口に向かって階段を降りていく。

入り口まで行くと金田が必死にバリケードを抑えていた。ゾンビは目視しただけでも30体は超えている。しかもそのほとんどが竜堂高校の制服を着ていた。1番隊と3番隊合わせても10人だから一人最低でも3体は殺さなくてはいけない。


「金田、俺が合図したらそのバリケードを崩せ。その間に俺たちが目の前の奴らをぶっ殺す。」


「いや、それはいいんだがお前らだけで本当に戦えるのか?」


「大丈夫。俺は真剣を持ってるし、龍太郎も結構剣術はできてるから。いざとなったらお前も教室に置いてある木刀を持って戦ってくれてもいいんだぜ?」


「いや、結構です。ていうかその刀って……」


「じゃあ行くぞ!」


「喋らせてよ!?」


「んなもんあとでいいだろ!行くぞ!3!2!1!Go!」


合図を出すと金田が作っていたバリケードを崩す。崩れたバリケードの間を通りながら俺たちは外へ走り出した。

更新忘れてまちた……ゴメンナサイ

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