第五話 おっさんモンスターパレードにあう。
結局自分のスキルなのにどんなスキルかわかんねぇし!
固有スキル?雑草魂?アホか!なんの意味が有るんだ!つか、こんなのどうせ何も使えないスキルに決まってる!あんのジジィ!ぶっ殺してやる!と、もちろん俺は思うんだ。だがしかし俺は優しいからなスキルがどんなものか分かるまで保留にしてやる。
泣きながら去ったミウを見て俺は考えた、仲間をみつけようと。
だってこのままだったらろくにレベリングすら出来ないし。強くないし。角うさぎだってかれないし…俺は早速泣き去ったミウを呼び戻す。
「おい、ミウ。」
「今日はやることいっぱいあるな〜、忙しいなぁ…あぁ忙しい。」
「お前、俺を無視するなゃ。」
ずいっとミウの顔の前に手を伸ばしミウの小さい顔を鷲掴みする。
「痛い痛い痛い!わかった!分かりましたから!話してください!」
「ったく、無視するなんて酷いじゃねぇか。」
「そんな事いってもヒロシさんの質問って分からない事だらけなんですよ。私だってこの世の全て知ってる訳じゃないんですよ?」
「そんな事言わなくても分かるわ。でだ?」
「はい?なんですか?」
「仲間募集ってどうしたらいい?」
「あぁ、仲間募集ですね?それなら。」
ミウは後ろにある掲示板の横にあるコルクボードを指差し説明を続ける。
「あのコルクボードに書類を貼って募集します。ただ、来るか来ないかは保証出来ませんよ?」
「まぁ、ものは試しだ、頼むよ。」
「承知致しました、仲間募集の依頼を受けさせていただきます。」
こうして俺はあとの事をミウに頼み、近くにある超初心者向けのダンジョンに向かう事にした。ダンジョンは村からすぐ近くにあり、徒歩15分位で着いた。アナグラが入り口とか、マジファンタジーだな。ダンジョンの入り口の階段を下がり地下1階に降り立つ。すげーな、森だし明るいし、空あるし。こりゃどうなってんだ?まぁ、かるーく探索でもしますかね?そんな事を考えていると横の茂みがガサガサ揺れた。
「来やがったな!」
俺は双剣を構え戦闘態勢に入る。出てきたのは小さいネズミだった。村を出る前にスキル屋に寄り鑑定のスキルを手に入ておいて正解だった。正直このスキルって異世界においてマジで神だよね。便利すぎ、生活に欠かせないって、ミウが言っていたのもよく分かる。俺は迫って来るネズミをかわすと片手の剣で首元に剣を振り下ろす。ネズミと言っても中型犬くらいの大きさがある為狙うのは簡単だった。
「くらえ!この野郎!」
「ヂュヂュー!」
ネズミは苦しそうに暴れだすが、俺はすかさずもう片方の剣を剣の上から交差する様に振り下ろす。ザシュッという音と共にネズミの断末魔が聞こえて首が転がる。
「え、えぐい…まぁ仕方ないよな日本じゃないんだし、こうやらないと稼げないんだからな。」
横たわるネズミを手に入れた鑑定スキルで見てみる。
名前:かじりネズミ
特徴:進化した前歯は鋭く、時には鉄さえも切り裂くと言う噂。繁殖力が強く、見つけた場合はすぐに駆除する様にギルドから指定されている。
モンスターランク:F
目の前によくある半透明なボードが現れ、かじりネズミの説明が現れる。
「すげーな、異世界。」
とここで俺は気が付く、かじりネズミは倒せたがなぜ角うさぎは倒せなかった?どうゆいことだ?自分に鑑定をかけると今までのステータスが表示される。
「変わらんなぁ…なんでいきなり倒せるようになったんだ?わからん。まぁウサギは子供が狩って行ったわけだけど…」
考え事をしていると前方から3人の冒険者がこっちに向かって走ってくる。小便でも漏れそうなのか?ちょーダッシュしてる。
「おいあんた!さっさと逃げろ!モンパレだ!」
「え?あ?」
「時間がねぇんだよ!早く逃げろ!さっきの冒険者の女みたいになるぞ!俺は行くからな!」
「おいちょっと!」
「あんたも死にたくなきゃさっさと逃げるんだな!」
3人は少し話すとダッシュで出口に向かって走っていく。
モンパレ…モンスターパレードの事だよな?っていうか残された冒険者が居るとか、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ!どうする?逃げるならまだ間に合うはずだ…でも。
俺は気が付くとダッシュで冒険者たちが来た方に向かって走り出していた。
「何してんだ俺!逃げなきゃ死ぬぞ!」
自分に言い聞かせる様に呟くが、先にいる冒険者が気になりとにかく走っていた。前方からモンスターのうねる様な鳴き声が聞こえドーム状に広がる空間に出る。数百はいるだろうと思われるモンスターの真ん中に冒険者らしき人影が2人みえた。
「おい!あんた達!大丈夫か?!早く逃げろ!」
俺の声に反応したモンスターが俺に向かって突進してくる、その数はもう数え切れない。俺は覚悟を決めてモンスターを撃退する。やはり何かおかしい、地上ではこんな風にモンスターを倒せなかったのに、むしろ回避したのに攻撃を受けていた。囲まれているにも関わらずモンスターの動きが手に取るように分かる。俺が初級魔法や双剣で数を減らしながら冒険者の近くまで行くと2人はギリギリの状態だった。こんな時は異世界に来たヤツらだと大概奇跡的な力で助けるんだよな。俺には…雑草しかねぇ!早まったかも!とりあえずさっき買ったポーションを2人に渡し、モンスターの注意を引きながらその場から離れる。
「こっちだ!」
2人に向かうモンスターにはそこら辺にある石を投げて注意を引き付ける、もう何びき倒したか分からない。どんなモンスターがいたかも分からない。だが、まだ動く。そんなふうに思いながら2人から離れ見ていると、2人とも回復したようでモンスターを倒しながら俺に近寄ってくる。
「ありがとう!もうダメだと思った!」
「お礼なんていいからこの状況何とかするぞ!」
「わかったのです!魔法つかうのです!」
1人は若い女剣士、もう1人も若い女魔法使いだ。魔法使いが詠唱すると地面に魔法陣が現れ、光ったと思った瞬間に巨大な火柱が上がる。そしてモンスター達を焼き尽くすのだった。
「すっげー!」
目の前に現れた巨大火柱をみて口からそんな言葉しか出なかった。
数分後火柱は消え去りモンスターの死体だけが残された。
「ありがとう!本当にたすかった!」
「たすかったのです!」
「いや、たまたまだよ。それにしてもさっきの魔法凄かったな。あ、自己紹介忘れてたな。俺はヒロシだ。」
「私はユーリ、で、こっちのちっこい魔法使いがエミラーシアみんなはシアって呼んでるわ。本当にありがとう、ねえヒロシは凄腕冒険者なんでしょ?私には分かるわ。」
「え?あ、いや、俺まだ冒険者になりたてなんだ…」
「え?」
ユーリは顔を赤してプルプルしながら両手で顔を隠した。シアはユーリの耳元で、私には分かるわ。と何度も連呼している。はぁ、とりあえず2人とも無事で俺も無事だったからいっか…周りを見渡すとモンスターの残骸。これどうするん?
「これどうしよっか?ヒロシさんだけじゃ持って帰れそうにないよね?」
「私たちも手伝うのです。」
「え?いや、たいがいはさっきの魔法で倒したんだから君たちの分もあるんだし、俺一人だなんてそんなのは」
「だめなのです。私たちはヒロシさんに命を救われたのです。結果魔法が使えただけであってヒロシさんが来なければ私たちは殺されてたのです。」
「いや、それはたまたまで。」
「いや、シアの言うとおりだよヒロシさん。私たちはヒロシさんに救われただけでも儲けものなんだから。」
そう言われると断りづらいよな。とりあえずアイテムボックスを開きそこら辺にある残骸をすべてしまう。一瞬で消えた残骸を見て二人が驚いていた。
「は!?あの量が一瞬で無くなったんですけど!?」
「ふぇ!?なのです!?」
「ちょっとヒロシさん!?これどういうこと?!」
「え?アイテムボックスにいれただけだけど・・・どしたの?!」
「あのね、アイテムボックスは普通の量でも人間二人分ぐらいだよ?!もちろん生き物は入れられないけど。」
「そそうなのか?いや、俺もよくわかってないから。スキル屋で買えって言われて買っただけだし。」
「ま、まぁこれならお得だったのです。モンスター数百匹も入れれるアイテムボックスなんて聞いたことないのです。」
「たしかにね。それにしてもつかれたー。今日は帰りましょ?ヒロシさんも一緒に行きませんか?」
「そうだな、帰るか。」
こうしてダンジョン一日目は終わりを迎えた。モンパレのお陰かレベルも16まで上がっていたのはうれしかった。あと、二人にアイテムボックスのことは絶対に人に言ったらダメと言われたのでその辺も気を付けないとな。そういやぁ仲間募集は集まってくれたかな・・・まぁ明日もう一度ギルドに行ってみるかな。
がんばります!