第四章☆マイロボットコンテスト
「優勝は、風祭風花さんのマイロボット、ハナ!」
発表された瞬間、会場にどよめきが走った。
「八百長だー」
「スポンサーが風祭財閥」
やいのやいの。
風花は冷たい汗が流れるのを感じた。
「日頃思ってることぶちまけてきたら?」
隣にいた竜星がそっと耳打ちした。
「そうーそうね!」
風花は壇上に上がり、マイクに向かって叫んだ。
「うるさい!!!」
キーンン。ハウリング。みんな耳をふさいで黙った。
「私は自分の優勝に異議を唱えるわ!あきらかに実力不足なのに誰か手を回したわね!」
「風花!」
舞台裏から風花の母親が出てきた。
「お前が喜ぶと思って決めたのよ?」
「こんなんじゃ喜べないよ!もう一回審査のやり直しを求めます!今度は私抜きで!」
どわーっ!!!
会場がわいた。
「俺にもまだチャンスがある!」
竜星がわくわくしながら、戻ってきた風花を誇らしげに見た。
「さっすが!」
「当たり前でしょ?」
風花は会場の目立つところに展示してある動かないセバスチャンを見て、あれは荒井さんの最高傑作だから、初代チャンピオンなんだ、あれも私が誇れるマイロボット。と嬉しそうに微笑んだ。
セバスチャンのコアはネックレスにして首からかけている。なんて誇らしいんだろう?
「セバスチャンが動いたら、きっと、『成長されましたね風花お嬢様!』って言うだろうな」
竜星がそう言ったので、風花は鼻高々だった。
「でも、いつかハナも実力でチャンピオンにしてみせるから覚えといて!」
「すげーなー負けそう」
竜星は改めて風花を誇れる友人として認めた。
「優勝は神坂尚樹さんのマイロボット、サン!」
今度は讃える声で一杯になった。
「こうでなくちゃ」
「特別賞、竹島竜星さんのマイロボット、ボイル!」
「ええええええ!?」
講評では、まだ拙い部分が多いが、将来性が見込める、とのことだった。
「風花さん!セバスチャン連れて帰ってやってください」
「荒井さん!」
「風花さんの勇姿をおさめたVをセバスチャンにインプットしましたから、セバスチャンも知ってますよ」
荒井さんがウインクした。
ショウケースを開けてもらって、コアをセバスチャンに差し込むと、すぐにセバスチャンが起動した。
「お嬢様…」
「何?セバスチャン」
「なんてもったいないことを!お母さまが嘆いてらっしゃいますうううう!」
そーよね。あなたはそーいう仕様だったわ。
風花は期待した眼差しはどこえやら、いつものジト目になった。
「セバスチャン、あなたは動いてないほうがいいわ!」
「わーお嬢様!なになさいます?!」
ぎゃあぎゃあ。
「まあその。結局のところ良かったんじゃない?」
竜星が苦笑していた。