第一章☆風花の執事ロボット
「えー、おほん」
「何?」
「風花お嬢様」
「だから、何?」
ジト目で風花は自分のマイロボットを見据えた。
「付き合う殿方はよくよく考えてお選びくださいとあれほど…」
「「つきあってない!!!」」
風花と竜星の声がハモった。
「セバスチャン、私の部屋にオレンジジュースとチーズケーキ二人分運んで!」
セバスチャンと呼ばれた風花のマイロボットは執事の姿でヒゲを生やしている。
「えー、おほん」
「何?」
「風花お嬢様」
「……」
「宿題はなさったのですか?」
「なさったわよ!」
「そうですか?お手伝いしようかと思っていたのですが…」
「ぐにゅにゅ」
風花の中で葛藤が起きていた。宿題はなさっていない。今は竜星とそのマイロボットのことで頭がいっぱいなのだ。
「あとで荒井さん呼んできて!」
荒井さんとは、セバスチャンのメンテナンス係の人だ。セバスチャンは明らかに狼狽しながらジュースとケーキを用意しにキッチンへ向かった。
「なんで荒井さん呼んだの?」
「竜星のマイロボットに良い燃料分けてあげようと思って」
「そりゃ嬉しいね!」
竜星は喜んだ。
「あーあ、私もも少し融通がきいて、かわいい、マイロボットがいいなー」
「セバスチャンは高級ロボットだぞ」
「知らなーい」
彼らは風花の部屋のある二階へ向かった。階段の手すりに彫刻が施してある。
広い家の隅々まで掃除が行き届いていた。セバスチャンが働いている証拠だ。
風花の部屋はいつもきちんと片づけられている。風花自身がやったのではないので、物がどこにあるかわからないことがままある。その時はセバスチャンに尋ねるしかなかった。
「ありゃ、よーできてるロボットだよなぁ」
いつも竜星はそう思っていた。