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思いの外上手くいかない理想の異世界生活!  作者: ミカル快斗
第一章 各々の思惑が始まる一日目
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第九話 旋風の女神セウン 〜女神セウン編〜


〜旋風の女神セウンの視点〜


――――時空が乱れた天界――――【現在時刻、不明】



 『娯楽の女神ソアボ』が天界から姿を消した事によって、神の威光を失った”天界の時空”は乱れに乱れていた……。


 最早、この天界の時空の乱れを正せるのは、ソアボと同じ力を持った”女神”か”男神”だけ。


 そして、今まさに、”一人の女神”が天界の危機を察知し、天界へと足を踏み入れたのだった。


 〈えっ!? な、何よ……これッ!? 天界の仕事を任されていた筈のソアボは何処に消えたと言うの……ッ!?〉


 彼女の名は、『セウン』。

 ”旋風の女神”と言った異名を持つ風を司る神だ。


 〈わ、私のスキル【旋風の危機察知】の御蔭で、天界が大変な事になってるのに、いち早く気が付けた所までは良かったんだけど……。 此処まで荒れ果てているだなんて……〉


 〈と、兎にも角にも! いち早く天界の時空を正さなきゃ……!〉


 「―――”時よ安定せよ”――――……ッ」


 と、旋風の女神セウンが声を発すると、徐々に天界の時空の乱れは治まり始めた。


 「ふぅっ……。 一先ずはこれで一安心ね……っ!」


 〈だけど、これは飽く迄、”時間稼ぎ”に過ぎないわ……〉


 〈天界の時空の乱れを正常に機能させる為には、必ず”一人以上”の女神か、男神が天界に居続けないと駄目だからね……〉


 そして、真っ暗な天界を歩き続けているセウンが、念の為に異世界へと通じている”ワープゲート”が無事かどうかの確認作業の為に扉の前に立つと、そのワープゲートが今まさに”活動”している最中と言う事に気付く……。


 〈……あれ? 異世界へのワープゲートが開いている……?〉


 〈はっ! ま、まさか……ッ!? もしかして、ソアボったら天界の仕事が嫌になって異世界に逃げ出したって言うの……!? じょ、冗談じゃないわよ……っ!〉


 セウンは、思わずクラクラと目眩に襲われながらも必死に持ち堪える……。


 「ま、参ったわね……。 ソアボが居なくなってから、私が来る迄の間に一体、”何人もの人間”が天界の乱れに巻き込まれてしまったのやら……」


 〈……一先ず私が来たから、今の所は天界の乱れは治まっているけど……。 でも……〉


 〈再び私が地上に降りちゃうと、ま〜た天界の時空が乱れに乱れちゃうのよね……。 そうなったら、また被害者が増える一方……〉


 すると、セウンは首をブンブンと横に振りながら、決意を新たにする。


 〈駄目……ッ! それだけは、女神である私が絶対に食い止めなきゃいけない……っ!〉


 「で、でもっ! 地上に居続けられないとなると、地上に居る”彼氏”と離れ離れになっちゃう……。 あぁ〜、もうっ!」


 セウンは頭を抱えると、下界に残している彼氏の顔を思い返していた……。


 「うぅ〜っ。 げ、下界に残している”人間の彼氏”になんて説明したら良いの……? 実は、私は女神様で今の乱れている天界を守らなきゃいけないから、貴方の世界には居られません……って?」


 〈はぁ……。 急に、そんな事を言われたって信じる筈無いわよね……〉


 〈で、でもっ! 心苦しいけど、別れ話を切り出すしか私に残された道は無いから……。 だから、辛いけどゴメンね……”タクヤ”〉


 旋風の女神セウンは、下界に残している何も事情を知らない彼氏に対して、突然の別れ話を切り出す事に決めた。


 何故なら、自分が天界に居続けなければ、天界の時空の乱れに巻き込まれてしまう被害者が増え続けて仕舞うからだ。


 せめて、他の神様達が天界の異変に気付いて助けに来てくれれば良いのだが、然しながら今迄もソアボが”たった一人”で汗水流しながら天界の仕事を全うしていた頃でさえも、一切誰も天界に訪れなかった事実が有るので、他の神が来ると言ったそのセウンの考えは”希望的観測”でしか無かったのだ。


 「うぅ〜……。 まさかこんな形で、恋人に別れ話を切り出す事になるなんてぇ〜ッ! 心の準備なんか全っ然出来てないってのにぃ〜ッ!」


 セウンは歯軋りをしながら悔しそうに大粒の涙を流す……。


 こんな事態に陥るのなら、もっと天界で一人で頑張っているソアボに対して優しく接するべきだったと……。


 そもそも、たまには天界に戻ってソアボの仕事を手伝うべきだったと、ひたすらに後悔した。


 そう、セウンは今迄、ソアボに対して”自分の担当分”の天界での面倒臭い仕事を全て押し付けていたのだ。


 「うぅ〜、こんな事ならサボってなんかいないで、たまには天界の仕事をやっときゃ良かったぁ〜……ッ!」


 〈……だけど今は、悔いている場合じゃないわ……。 私は、私に出来る事を、必死にやるだけよ……ッ!〉


 涙を拭ったセウンは、おもむろに顔を見上げる。

 

 〈よしっ! 私、”覚悟”を決めたわッ! 今から数分の間だけ下界に降りるだけなら、天界の乱れに余り影響しない筈よ……ッ!〉


 〈詰まり、タクヤに別れの挨拶に行く時間だけなら残っていると言う事……! 待っててねタクヤ……ッ!〉


 かくして、旋風の女神セウンは下界に残している恋人、タクヤに最後の別れの挨拶をしに向かうのだった……。



【現在位置】

【一旦時空の乱れが治まった天界】


【現在の日時】

【不明】



【旋風の女神セウン】

【状態】:哀しい

【装備】:(ミドリ)の羽衣 翠の指輪と腕輪 女神の袋

【道具】:女神の袋に色々入ってます

【スキル】:旋風の危機察知【効果】:危険な状態の場所をいち早く察知する事が出来る。危機を察知したら旋風の如く速さでその場所に移動する事が出来る。

【思考】

1:私は皆の為に天界を守らなくてはいけないの……。 だから本当にゴメンなさい。 タクヤ……。

2:ソアボも……今の今まで放って置いて本当にゴメンね……。

3:と言うか何故、此の期に及んでも私以外の神様達は誰も天界に来ないのよ……ッ!?

【基本方針】:天界を守る。タクヤに別れを告げる。ソアボに謝りたい。

※天界に永住する事を心に決めました。

ご感想お待ちしております…!

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