第六話 美しい獣耳の女剣士 〜五十嵐隼人編〜
これで、書き溜めしていた分は投稿し終わりました…!
第七話以降も現在執筆中です…!
〜五十嵐隼人の視点〜
――――始まりの大地ストファー、ポラ平原―――【現在時刻、13時8分】
『娯楽の女神ソアボ』と共に異世界にやって来た『五十嵐隼人』、『仁科権兵衛』、『大宮座衛門』の3人は、今迄の人生に置いてまるで見た事の無かった”壮観な景色”を眺めながら、思わずゴクリと唾を呑み込んでいた。
〈こ、此処が”異世界”なのか……っ! まさに、俺が思い描いていた通りのファンタジーな世界観だ……っ!〉
すると、そんな呆気に取られた様子の隼人に向かって、権兵衛がウキウキ気分で声を掛ける。
「お、おい! 見てみろよ隼人ッ! こりゃあ凄ぇなっ! 彼処に見える山のてっぺん辺りに”ドラゴン”みてぇな奴の姿も見えんぞぉ〜……ッ!」
〈うおっ! た、確かにアレはどっからどう見てもドラゴンだな……ッ! うわぁ~、何だかマジでゲームの中にでも迷い込んだかの様な気分になってくるなぁ〜……!〉
と、隼人が目をキラキラと輝かせながら異世界の風景をまじまじと眺めていると、ソアボが嬉しそうにニコッと微笑み掛けて来た。
「ふふっ。 どうっ? 驚いちゃった〜? 君達は、本当にあの異世界に辿り着いたんだよぉ〜っ!」
「あっ、ソアボ様! すみません、なんか勝手に盛り上がっちゃって……!」
「ふふふっ。 いーの、いーの! 私は”皆の喜んでいる顔”が見たかっただけだからっ♪」
〈え? この娘、マジで女神じゃん……。 ヤバい、惚れそう……〉
と、隼人がドキッと動揺している所に、権兵衛がソアボの背中をドカドカと叩きながら浮かれ口調で話し掛けて来た。
「おぉ、ソアボ! オメェ、どうやら本当に女神様って奴だったんだなぁ〜! こ〜んな光景を見ちまった日にゃあ、流石の俺でも信じざるを得ねぇなぁ……っ! ガッハッハ!」
ドカドカッ!
「い、痛い痛いって……! ちょ、ちょっとぉ〜ッ! 権兵衛君ったら、喜んでくれているのは良いんだけど、それにしたって力強く私の背中を叩き過ぎだよ~……ッ!」
〈……仁科先輩ったら、相変わらず凄ぇなぁ……。 やっぱり、”陽キャ”ってのは例え相手があの女神様であろうと所構わず接する事が出来るんだなぁ……〉
と、隼人が羨ましそうに権兵衛の事を見詰めている隣で、座衛門は一人、とある”一点”を眺めていた。
「むむむッ? もしや、あれは”獣耳”か……?」
すると、その座衛門の口から発せられた獣耳と言う単語を聞いた隼人は、首を傾げながら聞き返した。
「え? 突然、何ですか座衛門さん……? 獣耳……ですか?」
「左様ッ! ほら、彼処で御座いまするよ……ッ!」
〈んん? 獣耳だって……? と言う事は、”獣人族”的な種族でも居るのかな……? んーと、どれどれ……?〉
隼人は、座衛門が指を差している方向にゆっくりと視線を移してみると、その場所には確かに可愛らしい風貌をした”一本結び”の獣耳の女性が何者かと戦っている様子が隼人の目に入った。
「あれっ!? あの獣耳の女の人が戦っている相手は……? も、もしかして”モンスター”って奴なんですかね……!? と、取り敢えずこの場は彼女に加勢した方が良いかも知れないですよ……!」
と、隼人が慌てた様子で獣耳の女性の下に駆け寄ろうとした所、直ぐにソアボが隼人の事を呼び止めた。
「あ、待って隼人君っ! あれは、モンスターじゃなくて、”犬鬼族”って種族だよ〜っ! まぁ、犬鬼族は”独自の言語”を話すから、説得は無理だろうから、ここは一つあの獣人族の女の人に任せっ切りで良いと思うよっ!」
「なるほど……。 でも言葉が通じないなら、尚更あの獣耳の女性の方に加勢しましょうよソアボ様! 俺達なら、例え犬鬼族なんかが相手だろうとイケますって!」
「ん〜、多分今の私達じゃ、あの強そうな犬鬼族の人に太刀打ち出来ないから、寧ろ足を引っ張る結果になりそうだけどなぁ〜……」
やる気を見せる隼人とは対照的に、異世界の事情を良く知っている女神ソアボは、少しだけ戦闘に対して消極的だった。
すると、そんなソアボの言葉を聞いた座衛門が、とある一つの提案をした。
「まぁ、ソアボ殿の言う事が本当だとしたら、某達は傍観に徹するしかあるまいなぁ……? 権兵衛殿も、それで宜しいかな?」
「あぁ? んだとテメェ……? あの女を見殺しにする気かぁ? テメェよぉ……?」
権兵衛は、ゴキゴキと指を鳴らす……。
「まぁまぁ、落ち着いて聞いて下され権兵衛殿。 某が御見受けするに、どうやらあの女子は相当な”手練”ですぞ……。 一先ず此処は、彼女の力量を詳しく測る例にも、この場は傍観するのがベストな選択かと……」
すると、ソアボも微笑みながら座衛門の意見に同調する。
「ふふっ。 そう言う事なんだよ権兵衛君に隼人君っ! 此処は、座衛門君の眼力を信じて見ようよっ! ねっ♪」
そんなソアボの発言に対して、権兵衛がやれやれと呆れた様子で溜息を吐いた。
「ケッ、しゃーねぇなぁ〜? にしたって、その座衛門の眼力って奴はそんなに信じられるもんなんかぁ……?」
「まぁ、仁科先輩……。 信じてみましょうよ。 ソアボ様と座衛門さんと獣耳の女の人を!」
半信半疑の権兵衛とは対照的に、隼人はソアボの言葉を信じてみる事にした。
〈まぁ、多分大丈夫だろう! ソアボ様は、俺達よりもこの世界の事を良く知ってる筈だし、座衛門さんも何だか有能っぽい出で立ちをしているし、それにあの獣耳の女の人も普通に強そうだしな……!〉
そして、隼人達は真剣な眼差しで獣耳の彼女と犬鬼族との闘いを静かに見届ける事にした……。
すると、途端に権兵衛が焦った口調で再びソアボに詰め寄る。
「お、おいっ! ソアボ! あの剣を持った獣耳の女は本当に強えんだろうなッ!? 俺は、何だか不安で仕方ねぇよぉ……ッ!?」
「落ち着いて権兵衛君っ! 大丈夫だよっ! あの獣耳の人は恐らく―――」
と、ソアボがそんな一言を呟いたその瞬間だった。
獣耳の女性が手にしている剣が一瞬にして”妖しく光った”。
〈な、何だ……ッ!? け、剣が”紫色”に光ったぞ……ッ!?〉
そして、急に光り輝いた剣を見た犬鬼族の男は、咄嗟に顔を両手で覆った。
「パギュウッ!? ギャウッ、ギャウゥッ!?」
防御の態勢に入った犬鬼族の男に対して、獣人族の女は冷徹な口調でポツリと呟いた……。
「隙だらけだ。 安心しろ。 一応、”峰打ち”にするからな……」
鋭い目付きで剣を構えた獣耳の”女剣士”は、一瞬で犬鬼族の弱点を見抜いた。
「成る程。 お前の弱点は、膝と脇と鼻と頭か。 それじゃあ、一瞬で決着を付けるぞ」
ヒュン……………。
ズパパパパパパッッッ!!!
「パギュッッッ!!??」
それは、刹那の出来事だった……。
獣耳の女剣士が振り下ろしたその剣が、相手に一瞬の隙も与えない程の速さで”一閃の軌道”を描き切る間に、相手の弱点を重点的に連続で斬り裂いていたのだ……。
「……暫くの間、眠っていろ。 安心しろ。 その傷では死にはしない」
「バキュ……ウゥ……ッ」
ドサッッ……。
数多もの剣撃を自身の複数の弱点にモロに食らった犬鬼族の男は、そのまま膝から崩れ落ちる様に其の場に倒れ込むと、グッタリと地面に突っ伏しながら気絶した……。
犬鬼族の男がピクリとも動かなくなったのを確認すると、獣耳の女性は静かに剣を鞘に仕舞った。
「ふぅっ。 余計な時間を食って仕舞ったな。 急がねば」
彼女は、ひと仕事を終えたかの様に其の場を立ち去ろうとする……。
〈えっ!? い、今の一瞬の間に……一体何が起きたんだ……ッ!?〉
「お、おいおい……! い、一体何なんだよ今の剣撃はよぉ……!? 俺の目には……ぜ、全然見えなかったぜぇ……!?」
彼女の闘いの一部始終を眺めていた隼人と権兵衛は呆然としていた。
然し、ソアボだけは、去り行く獣耳の女性の後を慌てて追い掛けると、大きな声を上げながら彼女を引き留めようとする……。
その後、直ぐに座衛門達も慌ててソアボの後を追い始める。
「ね、ねぇ! 其処の獣人族の貴女〜っ! ちょっと待ってくれるかな〜っ!」
すると、ソアボの存在に気が付いた様子の獣人族の女性が、チラッと振り返った。
「む? 一体何者だ? 御主らは……?」
「あ、えっと……! 私達は別に怪しい人物じゃ無いよっ! 少しだけ貴女とお話しがしたくて……っ!」
すると、ソアボに対して怪訝そうな顔を浮かべている獣人族の女性は、そのまま再び歩き出してしまう……。
「すまないが、我は少々急いでいる身でな。 今回は御縁が無かったと言う事で……。 では、さらばだ」
「えぇ〜っ!? そ、そんなぁ〜っ!」
すると、落胆した様子のソアボの後を尾けていた座衛門が、突発的に大きな声を発しながら女剣士の事を呼び止める。
「ちょっと待つで御座いまするよ其処の御方ーーーッッッ!!!」
「!?」
突如として座衛門の野太い怒号を聴いた獣耳の女剣士は、慌てて振り返る。
「な、何だ……? まだ、我に何か用か……?」
すると座衛門は、警戒した様子で此方を見詰めている獣耳の女剣士の”身体”を、まじまじと眺めた。
「こ、これは……ッ! 何たる”曲線美”……ッ!」
「は? 曲線美だと……?」
やがて、満足した様な表情を浮かべた座衛門は、鼻息を荒くしながら、興奮気味に獣耳の女剣士に向かって問い掛けた。
「ふむ……! す、素晴らしやッ! 其方の容姿、其方の立ち振る舞い、其方の強さ、其の愛らしい獣耳に尻尾……ッ! 正しく、美乳剣舞の”桜舞姫”殿の生き写しでは御座いませぬか……ッ!」
〈えぇッ!? 座衛門さんは、このタイミングで一体何を言ってんだよッ!?〉
「む? 美乳剣舞の桜舞姫殿とは、一体誰の事だ? もしや、我が貴様の知り合いに似ていると言う事か……?」
獣耳の女剣士は、若干困惑した様な表情を浮かべながら首を傾げると、座衛門はすかさず獣耳の女剣士に向かって名前を聞き出そうとする。
「左様ッ! そして貴女様に御願い頼みまするッ! 此処を立ち去る前に一つ、貴女様の”御名前”だけでも某に御教え願えませぬか……ッ!?」
「ほぉ? 我の名を知りたいのか……?」
すると、そんな座衛門と獣耳の女剣士とのやり取りを無言で眺めている隼人は、女剣士の顔をジ〜っと見詰めていた……。
〈……まぁ、確かに言われてみれば美乳剣舞の桜舞姫に似ている気はするけどさぁ……。 それにしても、良くあの遠目からその事に気が付いたな座衛門さん……〉
と、隼人が感心していると、獣耳の女剣士は強い口調で座衛門を問い詰めた。
「……名を聞くならば、先ずは貴様から名乗るのが”礼儀”であろうッ! 我の名を聞きたくば、先に名乗ってみせよッ!」
すると、その言葉を待っていたかの様に、座衛門はキリッとした表情で高らかに声を張り上げた!
「ふむ、了解致した……! 心して聞くが良い……ッ! 某の名は、大宮座衛門と申すッ! 某は、やがてこの世界に置いて”ハーレム”を築く漢だ……ッ! しかと、この名を其方の胸に刻み込むのだ……ッ!」
すると、そんな座衛門の野望を聞いた隼人は、思わずドン引きする……。
〈マジかよ……。 このタイミングでそんな事言うかよ普通……?〉
……そして、そのまま両者に暫しの沈黙が訪れる。
……やがて、この静寂を破ったのは、獣耳の女剣士の方からだった……。
「……ハーレムを築くだと? はっ、貴様の様な”冴えない男”がか? 全く、笑わせてくれる……」
すると、すかさず座衛門は言葉を挟み込む。
「因みに某は、其方の事も”ハーレム対象”に入れているぞ……?」
「は? 貴様、もしや我の事を”狙っている”のか?」
意図もしなかった発言に対して、獣耳の女剣士はキョトンとした様な表情を浮かべたものの、その数秒後に不意に吹き出してしまった。
「ふふふっ……。 いや、すまないっ! 嘲笑うのは失礼だな。 ふふっ、然し笑いが止まらぬ……! あははっ! 我の様な女らしさの欠片も無い者をハーレム対象に据えるとはな……! あっはっは!」
〈めっちゃ、引くほど笑われてんじゃん座衛門さん……〉
「笑ってくれて結構! 某の気持ちは揺るがぬぞッ!」
すると、その座衛門の一言を聞いた女剣士は、腹を抱えた状態で自己紹介を行った。
「ほぉ……? ふははっ! 気に入ったぞ座衛門……っ! 良かろう! 我の名を”特別”に教えてやる! 我の名は、『アビウス』だ」
「ほぉ、アビウス……殿」
「ふははっ! 少々名残惜しいが、我は急いでいる身なのでな! もし、御主と再び生きて逢うことが出来たなら、その時にじっくりと腰を据えて話しでもしたいものだな……っ! ふふっ、何故だが解らぬが、御主とは気が合いそうな気がするぞ……。 では、さらばだっ! はっはっはっ!」
彼女は、高笑いを上げながら何処か名残惜しそうに座衛門に別れを告げると、一目散に走り去ろうとする。
「あっ! ちょっと待ってアビウスさん! 折角だから、もう少しだけでも此処に―――」
と、この場から走り去ろうとする彼女の事をソアボが慌てて引き留めようとした所、座衛門が直ぐに制止する……。
「御止め下されソアボ殿。 彼女を引き留める事は某が許さぬぞ?」
「ちょっとー! 何で止めるのよぉ〜! あんな”逸材”を放って置く訳には行かないでしょー!?」
そのソアボの言葉に同調する様に、隼人と権兵衛も加勢する。
「そうですよ! もしあの人が俺達の仲間になってくれたら百人力ですよ……!」
「んあ? それにしたってどうしたんだ一体……? オメェなら率先してアイツの事を仲間に引き入れようとすると思ったんだが、何か”考え”があるのかよ……?」
「ふむ、仕方無いですなぁ……」
すると、皆からの押し問答を押し払うかの様に、座衛門はそっと口を開いて自分の考えを隼人達に向かって伝えた……。
「はぁ……。 宜しいですかな……? 先ず、彼女の様に腕っ節の有る人物が、そもそも某達の様に得体すらも知れぬ人物に対して”協力的な態度”を取るとでも御思いですか……?」
「えっ!? え〜っと、どうでしょうかね……?」
と、隼人が言い淀んでいると、直ぐに座衛門が断言した。
「隼人殿……。 考える迄も無く答えは断然、”否ッ"……で御座いまするよ……ッ!」
「あぁ、はい……。 確かに、そうですね……」
「更に、付け加えるのであれば、見た所あの女子は何処か急いでいる様子であった……。 今まさに、某達に出来る唯一の事は彼女の意思を尊重し、優しい心で見送る事で御座いまするよ……」
と、座衛門からの明らかなる正論を聞いた隼人達は、もはや押し黙る事しか出来なかった。
〈まぁ、確かに座衛門さんの言う通りだよなぁ……〉
〈逆の立場になって考えてみると、自分達の様に突然現れた”怪しい集団”から急に俺達の仲間になってくれないか? と、唐突に誘われても少なくとも首を縦に振れる筈が無いし、寧ろ”警戒”するか……〉
〈ならば、座衛門さんの言う通り……。 此処は一旦、自分達は彼女に対して”敵意が無い”と言う事をアピールしつつ、彼女の旅路が上手く行くように祈って、静かに見送る事の方が彼女の好感度を上げるには手っ取り早いって話か……〉
そんな座衛門の意図を理解したソアボは、残念そうに肩を落とす……。
「はぁ〜。 オッケー。 座衛門君の言う通り、此処は一旦引く事にするよぉ……。 また、何処かで彼女に逢えるかも知れないもんね」
「えぇ、其の通りで御座いまするよソアボ殿……。 某の”経験上”彼女の様に、腕っぷしの有る女子は一度他人を警戒されますると、中々に警戒心を解いて下さらないですからなぁ……。 なので一旦此処は、某の顔に免じて納得して頂けると幸いで御座いまする」
〈……経験上? 座衛門さんって彼女が居なかった筈では……? まぁ、どうせ二次元での経験上って話だろうけども……〉
すると、その座衛門の考えを聞いた権兵衛が、座衛門に対して尊敬の眼差しを向けながら声を掛ける。
「ほぉ〜! なっるほどなぁ〜! いやぁ、それにしても凄いなアンタ! もしかして、話術の達人とか何かなのかッ!? あんな気難しそうな女剣士の姉ちゃんの事も手玉に取ってたみてぇだしよぉ! 何か”コツ”でも有んのかぁ!?」
「ふむぅ? まぁ、強いて言うならば、”恋愛ゲーム”にハマっていた事が功を奏したのでしょうかねぇ?」
「んあ? 恋愛ゲームだとぉ……? んだそりゃ?」
「伝わりませぬか? 例えばエロゲー、若しくはギャルゲー……。 と、言えば伝わりますかな……?」
「んお? 何だそりゃあ?」
すると、エロゲーとギャルゲーと言う単語が権兵衛に上手く伝わっていない事に対して、座衛門は思わず驚きの声を上げた……。
「なぬぅッ!? まさかエロゲー、ギャルゲーを知らぬ人間がこの世に存在して居たとはッ!? まぁ、初心な権兵衛殿にも伝わる様に言うならば……”愛ッ”! とだけ伝えれば、それで充分ですかな?」
「……はぁ? 愛だとぉ?」
「まぁまぁ、そんな事よりも、先ずはアビウス殿の旅路が上手くいく事を祈りましょうぞ。 ほらっ、権兵衛殿達も手を合わせて!」
「んあ?」
座衛門が去りゆくアビウスに向かって、静かに旅の成功を祈っていると、その座衛門達の一連の行動に気が付いたアビウスは、微かに微笑みながら座衛門に向かって会釈し、再び目的地へと歩みを進めた……。
「行っちゃいましたね……。 また何処かで会えたら良いんですけどね……」
こうして隼人達は、清々しい気持ちでアビウスの後ろ姿を見送るのだった……。
【現在位置】
【始まりの大地ストファー、ポラ平原】
【現在の日時】
【4月7日 13時24分 春】
【五十嵐隼人】
【状態】:高揚感
【装備】:学校の制服
【道具】:無し
【スキル】:刹那の狙い撃ち
【思考】
1:あんな強い人がこの世界には沢山いるんだな……!
2:いやぁ、然し、あの女の人綺麗だったなぁ……。
3:よしっ! 俺はこの世界で生き抜く為にも、強く気を引き締めていかないとな……!
【基本方針】:異世界生活を楽しむ。気を引き締める。
※アビウスの名を知る事に成功しました。
【仁科権兵衛】
【状態】:決心
【装備】:学校の制服
【道具】:無し
【スキル】:最強の意志
【思考】
1:なるほどなぁ……。 少なくともアビウス程の力が無きゃあ、仲間を守り切る事は出来ねぇっつー事だなぁ?
2:って事で、早く武器と防具と使える道具が欲しいな……。
3:身体も鍛えねぇとだな……!
【基本方針】:隼人と友情を深める。仲間を守る。魔王を倒して現世に帰る。
※アビウスの名を知る事に成功しました。
【大宮座衛門】
【状態】:祈り
【装備】:眼鏡 美乳剣舞の侍のコスプレ服 美乳剣舞の剣のレプリカ
【道具】:美乳剣舞のシール100枚
【スキル】:熟練の百戦錬磨
【思考】
1:アビウス殿……どうか達者で……!
2:某も、この世界でハーレムが築ける様に頑張りますぞ……!
3:むむっ!? そう言えば、よくよく見ると、ソアボ殿は紅頼子殿に良く似ておられるな……!
【基本方針】:ハーレムを創る。異世界に美乳剣舞を広める。アビウスとソアボをハーレム要員に加える。
※アビウスの名を知る事に成功しました。
【娯楽の女神ソアボ】
【状態】:元気
【装備】:金色の羽衣 金色の指輪 女神専用の袋
【道具】:袋に沢山入ってます。
【スキル】能力授与
【思考】
1:アビウスちゃん、いつか仲間になってよねー!
2:それじゃ、私達はどこの街に行こうかなーっと!
3:あ、あれ? ざ、座衛門君……? なっ……何? 私を見てハァハァして……!?
【基本方針】:異世界生活を楽しむ。天界の奴等にいつか復讐したい。座衛門の視線が気になる。
※アビウスの名を知る事に成功しました。
【アビウスに斬られた犬鬼族の男】
【状態】:瀕死
【装備】:見せ掛けの爪 見せ掛けの牙
【道具】:母の写真
【スキル】:勇気の咆哮【効果】:仲間を逃がす為に、自分が囮になる大声を敵に発する。
【思考】
1:やっぱり……誰かを……傷……付けようとすると、自分に跳ね返って……来るん……だな……。
2:馬鹿な息子で……ごめ……んよ……? 母ちゃん………。
3:でも、どうやら……。 あの獣人族……の女……。 ”峰打ち”してくれた……みた……いだな……。 ありが……てぇなぁ………。
【基本方針】:誰かを襲うのはもう辞める。家に無事に帰って母ちゃんが作った飯を食う。
〜アビウスの視点〜
やがて、座衛門達の姿が見えなくなる所まで歩みを進めたアビウスは、僅かに笑みを溢しながら口を静かに開くと足を停めた……。
「ふふっ、面白い人達も居る物だな……。 なぁ、お前もそう思うだろう『ネリアス』に『鯛造さん』……。 いや、鯛造さんは、まだ死んだと決まってなかったな……」
アビウスは、かつての同胞の事を想いながら、静かに一筋の涙を流していた……。
「ネリアスは亡くなって仕舞ったが、鯛造さん……それに他の”二人”も何処かで、ひっそりと元気に生きているのかもな……」
アビウスは静かにそう呟くと、再び歩みを進めるのだった……。
【アビウス】
【状態】:傷心気味
【装備】:紫色の和服 破滅の剣
【道具】:お供え物
【スキル】閃光斬り【効果】:閃光の速さで相手を切り裂く。相手が死なない程度に峰打ちも出来る。
【思考】
1:ネリアス……。 待っててくれ。
2:座衛門か……。 奴は中々に見所が有るな……。
3:彼からは、鯛造さんと同じ様な”匂い”がする……。
【基本方針】:ネリアスの墓にお供え物を届ける。いつか座衛門達と再会したい。
※座衛門の名を知りました。
ご感想お待ちしております…!