第百十八話 爆弾魔オルバ 〜賞金首ザマ編〜
〜賞金首ザマの視点〜
――――新世界の大地カイシンセ
暫しの休息を取る為に、無料の宿屋が在るとされる『街エリロン』へと向かっている最中の『賞金首ザマ』と『機械人形アロエア』と『落第騎士テイル』の3人は、その道中で『とある人物』と出会った……。
「あら? 何やら、前方に『怪しき御方』が居りますわよ?」
アロエアは、見の前にいる怪し気な風貌の男を見付けるや否や、不安気に身構え始めた……。
「ん〜? 別に、その辺に居る『一般冒険者』だろぉ? そんなに、気にする必要はねぇんじゃねぇか?」
ザマは、そう言いながら素知らぬ顔で一般冒険者の横を通り抜けようとした、『その時』だった……。
謎の冒険者の男が、ザマが横切ろうとしたその一瞬の隙に、ザマの足元に『一個の爆弾』を置いた……。
「ヒヒヒ、そんなに無防備で私の隣を通り抜けようだなんて、実に愚かですねぇ〜っ!」
「んなっ!? い、何時の間に足元に『爆弾』がッ!?」
「あ、危ないザマ様ッ!」
瞬時に異変に気が付いたテイルが、咄嗟の判断でザマの足元に置かれた爆弾を思いっ切り空中に向かって蹴り上げると、数秒も経たない内にその蹴り上げられた爆弾は宙で小規模な爆発を起こした……。
ボカンッ!
「ケホケホッ! うぅ、煙たいわねぇ〜っ! 一体、何が起こったのかを私にも分かる様に、直ぐに説明しなさいよねっ!」
現状を良く理解出来ていない様子のアロエアは、すかさずテイルに向かって状況説明を求めた……。
「ちょっと、待って下さいアロエア……。 今は、ザマ様の無事を確認するのが先ですよ……。 えっと、御無事でしょうかザマ様……?」
「あ、あぁ……。 一応、何とかな……。 って事より、先ずは攻撃を仕掛けて来たコイツの目的を問い質さねぇとなぁ……?」
ザマは、爆弾を仕掛けて来た謎の冒険者の男に向かって、ギロッと恨みを込めた目で睨み付けるものの、その謎の男は、まるでザマの事なんぞ気に留める様子も無く、ニンマリとした不気味な笑みを浮かべると、そのまま静かに語り出した……。
「ヒヒヒ、貴方方は運が良かったみたいだ……。 だって、『通常』ならば爆発の規模は、あんなに可愛らしい物では御座いませんからねぇ……?」
「あぁ? 通常の規模だと……? まさか、さっきの爆発って、あれでも『失敗』だったって事か……?」
「えぇ、左様ですとも。 おっと、取り敢えず此処等で、私の自己紹介を行うべきですかねぇ……?」
すると、自己紹介を行おうとしている謎の男に対して、何処か納得いってない様子のアロエアが、プイッと顔を逸らしながら、頬を膨らませた……。
「ふんっ! ザマの事を殺し掛けた奴の名前なんて、気色悪くて聞きたくないですわねっ!」
「おやおや、どうやら私は、其処の可愛らしい『人形族』の御嬢さんに、すっかりと嫌われて仕舞ったみたいですねぇ?」
「ふんっだ!」
「まぁまぁ、落ち着いて下さいよアロエア……?」
「まぁ、なんだ? 一応、俺はアンタの名前を知りてぇから、一先ず名乗ってくれねぇか……? なぁ、アロエアも良いだろ……?」
「むぅ……。 そ、そんなに聞きたいなら、勝手に聞けば良いんじゃないの……? 一々、私に了承しないでさぁ……っ!」
「おや、そうですか? それでは、御言葉に甘えて名乗らせて頂きますね……。 コホンッ、私の名はオルバ……。 夢幻旅団No.3の『爆弾魔オルバ』で御座います……」
「えっ! む、夢幻旅団ッ!?」
すると、憧れの夢幻旅団の名を聞いたテイルが、目を爛々と輝かせながらオルバの方へと詰め寄った……。
「わぁ〜っ! こ、こんな所で憧れの夢幻旅団の団員さんに出逢えるなんて、僕はツイてますよ……っ! あ、握手して下さいオルバさんっ!」
「あぁ、そうか。 そう言えばテイルって、夢幻旅団に入る事が『夢』なんだっけか? 良かったじゃねぇか、憧れの奴に出逢えてよぉ?」
「おやおや、どうやら貴方は私達のファンどころか、入団希望者だったのですか? それでは、何だか『殺し難い』ですねぇ……」
すると、浮かれている様子のテイルとは打って変わり、夢幻旅団の名を聞いた事によって、恐怖心で身体を震わせているアロエアが、非常に怯えた表情をしながら震えた声で言葉を発した……。
「む、夢幻旅団ですって……っ!? そ、それは私の御主人様が持っている『命の宝玉』を狙っている連中の『旅団名』ではありませんの……ッ!」
「おい、どうしたんだアロエア……? そんなに怯えた様子で……?」
「ザ、ザマとテイルは、今の危機的な状況を理解して居りますのっ!? この爆弾魔オルバって男は、あの殺人鬼の『猟奇魔シンジ』と繋がってる事になるんですのよッ!?」
「猟奇魔シンジ……? あぁ、確かにソイツも夢幻旅団の一員だったな確か……」
「格好良いですよねシンジさんって! わぁ〜、僕も夢幻旅団に入ったら、皆から恐れられちゃうんだろうなぁ〜っ!」
「なに呑気に浮かれてんのよテイルっ! 信じらんないだけどッ!」
すると、猟奇魔シンジの名を聞いたオルバが、しみじみと懐かしみながら思い耽っていた……。
「おやおや、シンジですかぁ……っ! 奴の事は、その昔この私がみっちりと鍛え上げて、『一流の犯罪者』に仕立て上げましたからねぇ……」
すると、その狂気じみたオルバの眼力を見たアロエアが、再びブルルッと身体を震わせる……。
「ひゃっ! や、やっぱりこの人ヤバい人ですわよぉ……っ!」
「え〜? センス無いなアロエアって……。 だって、めちゃくちゃ格好良いじゃないですかオルバさんって!」
「良いからアンタは、黙ってなさいよッ! この馬鹿テイルがッ!」
すると、オルバがアロエアの方へと目線を移しながら、改めて確認をする……。
「ヒヒヒ、成程。 どうやら今現在シンジは、そのアロエアさんの御主人様が所有する、命の宝玉を狙っていると言う事なのですよねぇ……?」
「な、何よその口ぶり……? まさか、貴方は関係無いって言いたい訳……?」
「ヒヒヒ、勿論ですとも。 そもそも、私は他の団員達の動向を、一々把握仕切っておりませんからねぇ……? ですが、少なくともシンジが命の宝玉とやらを狙っていると知れたのは『朗報』ですねぇ……」
「朗報? それって、どう言う意味よ……?」
「いやなに、先程申した通り、私は他の者達の目的を知らない故、その者と出逢いたいと思っても中々出逢えないのですよ……。 ですが、命の宝玉を狙っている最中となれば、私もそのアロエアさんの御主人様の居場所を聞き出せば、ゆくゆくはシンジと合流する事に……」
すると、そのオルバの言動に対して、バサッとアロエアは一蹴した……。
「あー、ごめん。 期待して貰ってる所で悪いけど、私から貴方に話せる事は無いから」
「おやおや、それならば強引に口を割らせる他……」
「いや、だからそもそも無理なんだってば! だって、私は御主人様の居場所が分からないから……」
「おや? 分からないとな……? ですが、そんな筈が……」
すると、傍観していたザマが、少しだけ補足を入れる為に、アロエアとオルバの二人の会話に割って入った。
「おっと、すまねぇが、一応コイツの言ってる事は本当だぜ? アロエアは、現在進行系で行方不明中の御主人様の場所を捜索している最中なんだよ。 んで、俺等もそれを手伝っている途中って訳だ」
「ほぉ? と言う事は、誰も御主人様の居場所を把握してないと……? おや、それは困りましたねぇ……。 折角、懐かしのシンジと再び相見える事が出来ると思ったのですがねぇ……」
「そ、それなら是非ともオルバさんも一緒に、僕達の旅に付いて来て頂けませんかっ!?」
「おや、宜しいのですか? 其処の人形族の御嬢さんは、さぞかし嫌がられると思うのですがねぇ……?」
「そ、そんなの当ったり前じゃないのっ! テイルも、そんな馬鹿な提案は金輪際やめてよねっ!」
然し、そのテイルの提案に対して、ザマが興味深そうな反応を示しだした……。
「いや、待てよ……? それって、案外悪くねぇ提案なんじゃねぇか?」
「はぁ〜ッ!? ザマまで頭が可笑しくなっちゃったのっ!?」
「別に頭が可笑しくなった訳じゃねぇよ。 そもそも、オルバの目的はシンジとの合流だろ? だったら、別にオルバは命の宝玉を狙ってる訳じゃねぇって話だろ?」
「左様です。 私はシンジと再び手合わせをしてみたいと思っているだけですよ。 なので、私がシンジと合流出来た暁には、私の方から命の宝玉から手を引く事を『説得』して差し上げますとも……」
「えっ、本当に……?」
「えぇ、本当ですとも。 シンジの事を止めれるだけの力が私には有りますよ? だって、私はシンジの『師匠』みたいなものですからねぇ……?」
「そっか……。 そう言う事なら、話は変わってくるかも……。 このタイミングで上手い事、このオルバって人を仲間に引き入れちゃった方が、ゆくゆくは楽になるかもね……」
「そうだぜ? 現に敵に回すよりかは、今の内に仲間にしちまった方が賢明だろうな。 別に一緒に行動を共にするだけだし、そもそも双方にデメリットが生じる訳でもねぇしな?」
「うーん……。 仕方無いわね……。 良いわよ、一応納得してあげる。 だけど、もし少しでもオルバが不審な行動したら、私は弁明させる暇も与えずに一瞬にして騒ぎ立てるけど、それでも良いかしら?」
「ヒヒヒ、結構ですよ。 私も、シンジに会う為にも、その御主人様探しとやらに尽力致しますから、なるべく『破壊衝動』を抑えときますよ……」
「は、破壊衝動ですって!? や、やっぱり仲間にしたら駄目なタイプなんじゃないのこの人〜っ!?」
「ハッハッハ! まぁ、なんだかんだで賑やかになりそうだから良いじゃねぇかよっ! なぁ、テイルッ!」
「えぇ、まさか憧れの夢幻旅団員さんと共に冒険出来るだなんて、まるで『夢』の様ですよぉ〜っ!」
「私は、馬鹿テイルとは違って、まるで『悪夢』の様だけどね……」
「ヒヒヒ、中々に上手い事を言いますねぇ〜っ! よっ! 座布団一枚ッ!」
「マジ、何なのよ……。 この展開は……」
げっそりと疲れ果てた顔を浮かべながら、アロエアは再び街エリロンの宿屋にへと、新たに仲間に加わった『爆弾魔オルバ』達と共に旅の疲れを癒やしに向かうのだった……。
【現在位置】
【新世界の大地カイシンセ】
【現在の日時】
【4月8日 17時36分 春】
【賞金首ザマ】
【状態】:愉快
【装備】:シマシマの服
【道具】:自分の手配書
【スキル】:無し
【思考】
1:おっしゃ!
2:街エリロン迄、後ちょっとだッ!
3:皆、もう少しの辛抱だぜッ!
【基本方針】街エリロンに向かう。自身の手配書を回収する。戦闘は他の者達に任せる。
【落第騎士テイル】
【状態】:歓喜
【装備】:ボロボロの鎧 雷鳴の剣
【道具】:無し
【スキル】:稲妻斬り
【思考】
1:わぁ〜っ!
2:まさか、オルバさんと共に行動が出来るなんて……っ!
3:よ~しっ、幻滅されない様に頑張らないとですねっ!
【基本方針】街エリロンに向かう。ザマを護衛する。オルバに幻滅されない様に頑張る。
【機械人形アロエア】
【状態】:懐疑的
【装備】:赤と黒のゴスロリ服
【道具】:無し
【スキル】:強制自己再生
【思考】
1:全く、まさか憎き夢幻旅団の人と一緒になるなんてね……。
2:もし、これで大変な事になったとしても、もう私は知らないからねっ!
3:それにしても、一体御主人様は何処に居られるのかしら……。
【基本方針】街エリロンに向かう。御主人様のデルフィネを捜す。爆弾魔オルバに警戒する。
【爆弾魔オルバ】
【状態】:健やか
【装備】:茶色のダブルジャケット
【道具】:回復薬DX5個 火炎瓶3個
【スキル】無限爆弾生成【効果】:無から爆弾を無限に生成出来る。稀に威力低めの失敗作が出来る事も有る。
【思考】
1:ヒヒヒ、流れに身を任せる事に致しましょう……。
2:ふむふむ、シンジが狙っているのは命の宝玉ですか……。
3:まぁ、私はそんな下らない物に興味は御座いませんねぇ……。
【基本方針】街エリロンに向かう.ザマ達と行動を共にする。猟奇魔シンジと合流する。




