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遅くなりました。
時間がかかった割には短いです
ブックマーク、評価ありがとうございます!!
誤解が解け、胸の苦しみがストンと落ち着き、ずっと苦しかった呼吸が楽になる。
ゆったりとメアリーに近づいた。
「……あー、そのね。借りた本なんだけど……」
「そうねー、完全に返却期限切れてるわね」
「明日にでも……行くわ。………お詫びに紅茶のシフォンケーキ差し入れに持って行くわ」
「あ……アイリス嬢待って…その日は確か……ちょっと待ってて」
二人の会話を聞いていたアレクシスが自身の婚約者アイリスを呼ぶ。
ちらりとクラレンスを見て部屋から出て行く。
「その日から郊外で隣国に一週間ちょっとこの国に不在なんですよ」
「そうなのですか?……兄二人が…付いて行くということでしょうか」
アイリスに頷いたクラレンスはガシガシと整えていた乱れるほどに掻きむしった。
「当然のことですがね。クラークとルーファスは猛反発……。王妃様達やアシュクロフト宰相殿も反対したんですがね」
「……それ以上は結構ですわ……あの家ですか……」
いつも兄達と離そうとする家がある。あの家だろうと判断をつけた。それとなくは知っているのか、眉間に皺を寄せ頷いた。
「あの家と言われて理解できないけど、それってアイリス大丈夫なの?」
「なんとかは……なると思う。何も起こらなければですけど、私生活は侍女が助けてくれますから」
「シャロンちゃんね。そうなると屋敷から出れないじゃないの……何を考えるのかしら?」
「貴族お得意の嫌がらせとしか言いようがありませんね。メアリー」
深いため息を吐いたクラレンスは面倒臭そうな顔だ。
「あの家の娘と……あまり仲が良くないから……」
「それに父親登場?何よそれ」
「…………」
貴族である二人は押し黙る。外に出ないが外の情報は入ってくるアイリスと令嬢達に人気があり、聞かずとも面白い情報を提供させるクラレンス。
あの家とエアルドレッド伯爵家は昔から険悪だ。というよりなぜか目の敵にされている。
「二人とも黙らないで欲しいわ……嫁ぎたくなくなるじゃないの……」
ちらりとメアリーを見たアイリスはちらっとクラレンスを見ると苦笑いを見せ、眉毛を器用に下げた。
(えー…私が言うの……えー……)
よろしくお願いしますと目で訴えられたアイリスは珍しく普段は下がっている眉毛が上がった。そっと息を吐くとメアリーに向き直る。
「大丈夫よ、……メアリーは貴族ではないもの。貴族である上級民私達が一般民をとやかく言うのはご法度なの……」
「ああ、よく言う。貴族と平民の壁は低く薄いけど貴族同士厚く高く厚い。商民ら中立ってあれ?」
その通りですと深く頷いた。
補足として商売も行う貴族や商家の家柄、商売を行おうとする者は必ず、王立または国際商業ギルドに登録が義務化されている。これは各国も同じであり、国の法案で法律として課せられている。登録すると商人の家柄はと認知される。国からの補助や何らかの特典がある。未登録の場合いは闇商売として、認知されて周りから煙たがられその土地に居づらくなる。
「商家の家柄だと、中立と言えど平民よりは上の家柄。そっちの方が肩身の狭い思いするんですよ。商家上がりの貴族は煙たがられてますし」
二人の説明にホッと胸を撫で下ろした。
「そもそもこの国は結構恋愛自由で貴族の人間が商家の家と結婚はよくある話なんですからね、不安にならなくてもいいと思うよメアリー」
ふっと優しく笑ったクラレンスはゆっくりとツヤのある髪を優しくゆったりと撫でて額に小さく口を落とした。
アクシス返って来なかったです。
自分の屋敷で迷子はないですよね