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拙い文ですがよろしくお願いします。先日PVが600を超えました。どの作品でも今までにない記録です!物凄く嬉しいです!!!!
ありがとうございます!
レンフォード公爵家の夜会の前日の太陽が天高く上っている時間。
王宮内にある第一騎士団の屯所には一人雨模様のように暗い雰囲気の男性棋士がズーンと重い空気で座っていた。
「はぁ……」
書類を肩に担ぐように近づいて来た顔にしわのやった中年の切れ目の跡がアレクシスに近づいた。
「よぉ!法務課の若い姉ちゃん達から聞いたんだがよ?お前さん婚約したんだって?その割には暗いけどな……」
ガハハと豪快に笑った中年男性の言葉に恋人のこの字や縁談のえの字その他諸々に縁がない飢えた男達が反応した。
「まじかよ!?」
「くっそーー!顔か!やっぱ顔なのか!?」
「だったらなんで暗いんだよ!畜生!!」
ブーブーとブーイングが怒るがそれにもため息で返事をしたアレクシスにほかの男達の奥歯がギリィと音を立てる。
「おいおい、ため息ばっかついてると幸せが逃げるぜ?」
「幸せなら逃げてると思いますよ……ああっもう!」
今にも怒り出しそうな団員達をちらりと見て風と息を吐いた団長。
「なんだなんだ。婚約に不満があるのかぁ?おっしゃー!既婚者であるダグラスが聞いてやろうじゃないか」
近くにあった椅子を箱良さ背もたれに腕を乗せた状態に座ったダグラス団長はにかっと笑ってみせた。
ちらりとそんなだか朝を見ると唸るような声を出して口を開けた。
「それが、一目惚れで、相手に色々諸事情がありその問題をクリアできて婚約できたのに貴族の習慣の首飾りを婚約者の知り合いの同僚の恋人さんと見ててもう直ぐ同僚も合流だなぁーと思っていたら…僕の婚約者が現れて…もう僕と同僚の恋人さん二人だけという構図で恋人同士と勘違いされて追いかけたけど直ぐに挽回したら見苦しいかと思って夜会で弁解しようと思ってたけどそのあと連絡取りづらいし、弁解出来るか不安になって来て、明日夜会で発表なのにほんとにやばい……その子お兄さんに殺されるって思ってたらだんだん気分が落ち込んで来て……」
ノーストップでこぼれ落ちて来た本音にだが明日は若干引き気味にいや文字通り体を引き気味なのだが、何だろうか明確な答えが出て来ない悩みにどうしたものかとガシガシと頭を掻く。周りも先ほどまでは一人婚約を決め華々しいと奥歯を噛み締めていたがアレクシスの心の悲鳴に哀れな目で見る一同である。
「おう……タイミング悪いなそれは。まあ、婚約不満があるわけじゃなくて良かった。アレだな、その弁解に同僚の恋人さん二人を招待した方が…いいんじゃないか?」
アレクシス一人だと、誤解をさらに誤解が生む場合もある。本当にそんな関係でないと証明するにはそれが手っ取り早い。ダグラスをはじめとする第一騎士団が思った答えだ。
「やはり団長もそう思いますか」
突然の第三者の声に椅子から飛び上がる勢いで驚きの表情を見せたダグラスに苦笑する。
「アレクシス…-俺があの場に遅れたばっかりに要らぬエアルドレッド嬢に誤解をさせた。済まないな」
「いや、先に君の恋人と合流をしてた僕にも非はあるよ。ミラー嬢にも迷惑をかけてしまったし」
「まあ、落ち込んではいるけど親友を傷つけたから」
二人して深いため息をついた。その間いた置いてきぼりのダグラスはちょっと待ったー!というように二人の間に腕を入れた。
「合流するはずの同僚はクラレンスでいいのか?それとエアルドレッド伯爵家の幻の姫君でいいんだなアレクシスの婚約相手は……」
そうですと肯定の頷きが強く二人から返ってきて、クラリと眩暈を覚えた。
まさか渦の中心核が団員内に二人いる。そして、エアルドレッド伯爵家といえば中流貴族の中でもトップであり、下手をすれば本来は上流階級の上位かもしれない家柄だ。粗相はあまり起こしたくない。エアルドレッド家の者が第二騎士団にいるのだ。事の次第では乗り込んでくるかもしれない。
「一応、お兄さん達には伝えたんだよね」
「まあ、一応は……呆れられたけど。塞ぎ込んでる状態らしい……」
完全に頭を抱えたアレクシスの背中にポンと手を置いた。
「きちんと弁解はできると思う。さっき法務課に婚約者を出して来たよ。だから大丈夫。必要な小道具の発注もしたし。誤解は解けると思う」
クラレンスのしれっと婚約発言にどっと屯所が湧いた。近くを通りがかった騎士団の事務員が驚き書類をぶちまけたのは言うまでもない。
「おいおいおい……喜ばしい事なんだが素直に喜べないんだが……」
「仕方がないでしょう。この状況なら。婚約は無理矢理ではありません。彼方とは元々そいうの話が出てましたし……それを兼ねて一緒にみようと思い話がなければこの問題は起きてませんしね。少し早くなっただけです。婚約するという話は纏まってましたからね」
「因みにお相手は……?」
またもや、名門が出てくるのではないかと恐る恐る聞くダグラスの手には汗が出ている。
「一般の方ですよ。私は四男なので自由ですので、両親は彼女のこと気に入ってますからね!」
最後の方は嬉しそうなクラレンスに笑うことができたダグラスは胃に穴が空く事は無くなった。
「そうか、今ここでその事を言うって事はだ。夜会に出るつもりか?一緒に」
「はい。そととおりです。早番なので、参加できるかと。というわけで、招待状が欲しい」
「ああっ……助かるよ!今日中に届けさせるよ」
勢いよく、クラレンスの手を掴み涙目であるアレクシスの額にデコピンを食らわした。
「まあ、漸くこっちも婚約に踏み切れたし私も感謝するよ」
俺必要かと思う団長はふと疑問に思う。エアルドレッド嬢が抱える問題とは何かと。
「おーい?聞いていいかー?エアルドレッド嬢が抱える問題ってなんだ?幻の姫君と言われる令嬢に男癖が悪いとは思えんしな。クリアとか言ってなかったか?」
素朴な当然な理由に理由を知っている二人は顔を見合わせた。
クラレンスは恋人である既に婚約者のメアリーから王宮で会ったら助けてあげて欲しいと理由は聞かされていた。
アイリスの兄達が所属する第2騎士団はこの事実を知っているし、騎士団には話していいと許可をもらっている。だか、それを外部に漏らすのは良くないだろう。まれに漏れまくって入れば噂好きの貴族達は誰もが誰もがかっているのものだ。
知られていないとなるとある程度制限はされているだろう。もし知られて仕舞えば身に危険があるかもしれない。
「それは……今から話すことは絶対に外部してください。場合によっては彼女が危ない」
真剣な二人に一同は頷き誓いの印に腰に下げている剣を鞘から抜き眼下に掲げてから床に突き刺すようにしてつかを両手で持ったのだった。
あれから三週間はあっという間に過ぎていった。アイリスは今までにないぐらいに塞ぎ込んだ生活を送った。普段なら庭に出る暖かな日差しの時も外に出す、カーテンが締め切られた部屋で過ごしていた。
日に当たっていない為、肌色が悪くなって行った。食事もろくに取っていない。
「わたくしは、なぜこんなにも、落ち込んでいるの?」
一人部屋にいるアイリスの疑問に答えが返ってくるわけもなく。酷く思いため息が残された。
ちらりと時計を見ると既に昼過ぎの二時を回った頃だ。
そろそろ夜会の準備のためにレンフォード公爵家から迎えの馬車がやってくる頃だ。
のそのそとベットから這い出て、カーテンを開ける。久しぶりに感じる眩しい光に目を細めた。近くに置いてあるサイドテーブルからいくつか盛り付けてある一口サイズのフルーツを口にしてあっという間に平らげた。少しお腹が満たされホッと一息をついてともに置いてあった呼び鈴をチリンと鳴らす。
すぐさま隣の控えからやって来たアイリス付きの侍女シャロンは不安そうな顔だ。
「お嬢様…」
「お茶と化粧を頼めるかしら?いつもより酷いと思うわ。なんとかしてくれる?」
「ええ、ええ!勿論てますとも!直ぐに準備を!」
「もうだいぶ楽になったわ……ありがとう」
楽になったなんて嘘だ。大丈夫じゃない。けれど平気な顔をしなくてはならない。
(そうよ…落ち込むことはないわ。愛人がいても仕方がないじゃない……)
そう言い聞かせるように心の中で呟いているとシャロンは復帰したかの様なアイリスを見て嬉しそうに部屋から準備をするために出て行った。
思いため息を付きサイドテーブルとともに置いてある椅子に深く腰掛け、完全に体を預け天井をボート眺める。