89話 アタイが女で悪いかっ!
ヘトヘトになりながら、ギルドの前に着く。
いや、何でこんなに人数が多いんだよ。絶対に人数と住宅の数違うだろ。
そう思いながら、ギルドに入ろうとするが。途中で止まる。
「どうしたの?」
「中に入ろうとしたが、止めた。先に防具屋に行く」
「防具なんて必要ないと思うけど」
「確かに必要ないが、剣が入るベルトが欲しいんだ」
前に手に入れた、2本のレイピアを手元に置いておきたい。一々空間から出すのは面倒だからな。
「それなら、私が作ろうか?」
「ベルトも作れるのか。でもいいよ、気持ちだけ受け取るよ」
「えぇー」
アリアナはそのまま落ち込む。
「帝国に来たから、せっかくだから店に入って実際に見たい」
「ユウヒ君が言うなら、・・・いいけど」
あちゃー、明らかに落ち込んでるな。
「ほら、表のだけじゃなくって、裏の方も行くから。危なくなったら助けてほしいな~」
我ながら気持ち悪い事言ってるな、俺。
「うん! それなら任せて!」
今ので立ち直った! いいのかそれで!?
先ずは表にある店を見るが、中々いい店がない。中に入ってないのもあるが、見た感じベルトがないように見える。
今度は裏通りに行くことにする。裏通りに行けそうな道を探すが、これがすぐに見つかる。その道を通って進む。
「意外と人がいるな。この辺も住宅があるのか?」
「それでも、人数が合わないと思うけど」
「確かに」
一体どうなっているんだ、何か仕掛けでもあるのか?
先に進むにつれ、人が減ってきた。
「大体この辺でいいか。よし探すか」
2人で手分けして、お目当ての店を探す。
「防具屋、魔道具屋、宝石店、―――っあった鍛冶屋」
「見つけたの?」
「あぁ、見つけた。中に入るぞ」
ドアを開けて、中に入る。
「いらっしゃ―――っ見ねぇ顔だな」
入って早々、喧嘩腰ですか。それにしても。
「珍しいですね。女性が鍛冶師なんて」
「アタイが女で悪いかっ!」
女性はカウンターを思いっきり叩く。どうやら俺は言っちゃいけない事を、言ってしまったらしい。
「いえ、貴方が女性だろうが男性だろうが、どうでもいいですよ。問題なのは貴方の鍛冶の腕前です」
そういうと、女性は少し嬉しそうな顔をする。
「へぇー、分かってるじゃないかアンタ。そう、アタイが女か男何て、どうでもいい! そいつの鍛冶の腕前が良いか悪いかの問題だ! それなのに、やれ女には出来ないだとか、女らしく家事でもしてろしか言わない!」
おっと、何か変なスイッチ入ってないか?
「気に入った、アンタら名前は!」
「私はユウヒ」
「アリアナ」
「ユウヒとアリアナか、よし覚えた。アタイはユミル。敬語はいらないよ」
性格は男勝りなのに、名前は女性ポイな。
「そうか、なら普通通りにしよう」
「お、おう。ユウヒ、アンタ大分変るな」
「そうか?」
「私もそう思うよ」
「え、嘘だろ」
そんなに変わるのか? ちょっと、傷つくのだが。
「で、ここに来たってことは、何か欲しいものがあるのか?」
「あぁ、ベルトを作って欲しくてな」
「ベルト? それアタイの所じゃなくていいだろ」
確かにそうだが、表側にある店ってあんまり信用できないからな。裏側もそうだが
「表に出ている店より、裏のに出ている店の方が。出来がいいと思っただけだが。問題あるか?」
「言ってくれるな、ユウヒ。いいぜ、作ってやるよ。どんなベルトだ?」
お、作ってくれるのか。
「剣が入るベルトを作って欲しいんだ、この剣の専用の」
そういって、空間から2本レイピアを出して。ユミルに見せる。
「どれどれ、―――っは?」
あれ? 何か変なものでも渡したか?
「アンタ、これ魔剣じゃねぇか!」
「そうなのか? 鑑定してないから初めて知ったよ」
「鑑定してないって。アンタ、普通は鑑定するもんだろ。いいか、このレイピアは魔力を注ぐと属性攻撃が出来る。しかも普通のレイピアと違って。刃こぼれしなければ、折れることもない」
それは便利だな。砥石を買わなくて済む。
「ユウヒ、気をつけておけよ。見た目は普通のレイピアと変わらないが、このレイピアの価値が分かれば、強引な手で奪い来るぞ」
「そこは大丈夫だ。俺の危険になったら、アリアナが助けてくれる」
「私が、ユウヒ君を守るよ」
アリアナが胸を張って言う。
「そ、そうか。ならいいが、警戒はしとけよ」
「言われなくても」
会話が終わった後、レイピアの寸法をとり、俺の腰の寸法をとる。
「次はベルトだが。何か要望はあるか?」
「いや、剣入れさえできれば後はいいや」
「アンタがそれでいいならいいが。―――さて、値段だが」
ベルトは皮だから、高いだろうな。
「銀貨4枚だ」
「ギリ足りた!」
良かったぁ~、ギリギリ足りた。
「なぁ、それって先払いか?」
「どっちでもいいぜ」
どっちでもいいので、先に払う。空間から、銅貨と銀貨が入った袋を2つ出して。代金を払う。
「銀貨3枚と銅貨100枚。毎度。ベルトだから、今日の夜には取りに来いよ」
「今日夜か、分かった」
鍛冶屋から出る。
「さて、稼ぐか」
「そうだね」




