81話 喧嘩か?
歩いていると小さい村に着いた。辺りはもう夕方で、今日はここで泊ることにした。
「それにしても道中何も起きなかったな」
「そうだね。魔物や盗賊くらいは襲ってくると思ったけど、何も起きなかったね」
「今日はここに泊って、明日またヴェロニク帝国に目指そう」
村に入る前に攻撃力にリミッターをかけて、村に入る。
「宿は何処に―――」
「てめぇ! 調子に乗ってるんじゃねぇぞ!!」
おいおいいきなりなんだよ。喧嘩か?
騒ぎになっている所に行ってみる。
「俺は前に出て盾役を買って出ているんだ! その分報酬が多く貰える権利はあるだろうが!」
「確かにお前は盾役を買って出てるが、それでも報酬は分け合うってお前も承諾しただろ!」
あぁどう見ても冒険者同士の喧嘩だな。人だかりは少ないな。これは日常茶飯事なのか?
「くそっ! ラストタウンのギルドに着いたら、こんなパーティ抜けてやる!」
「そうしろ! お前とはやってられるか!」
お、終わったみたいだな。こっちに飛び火しなくて良かった~。
2人の冒険者は別々に別れ行く。剣を持った冒険者の方を見ると、看板にベットが描かれた建物に入っていった。
「あそこが宿か」
「じゃあ早く宿に泊まらないとね」
宿に行って中に入る。
「いらっしゃいませ。素泊まりなら1人銅貨5、食事付きなら1人銅貨10だよ」
安くない? どう考えても赤字にしか思えないのだが。こういうのは聞かない方がいいよな。
「1日素泊まり同じ部屋で」
「まいど、銅貨10枚だよ」
空間から銅貨が入った袋を出して、袋から銅貨10枚をカウンターに置く。
「おや、空間収納魔法が使えるのかい。便利よね~。アタシも使いたいが、使えないのよね~。でもウチの息子が使えるから、買い物は楽なもんだよ」
あぁ・・・。きっといつも買い物に無理やり連れていかれて、いつも荷物持ちをされているのだろう。
金を払い、鍵を受け取って2階に上がる。部屋に入り防音結界をアリアナに張ってもらい、寝る時間になるまで空間収納魔法のレベル上げをした。
「・・・朝になってる」
ついついレベル上げに夢中になってしまったか。
「おっはよー、ユウヒ君!」
「おはよう。朝から本当に元気だな」
少しやつれた顔でアリアナに言う。
「もしかしてユウヒ君、寝てない?」
「寝ようとしたら朝だったんだよ」
「無理しない方がいいよ、いくら不老不死でも寝ないと倒れるよ」
「言われなくても分かってるよ」
氷魔法でコップを作り、コップに水を入れて飲む。ベッドから下りて軽く体を動かして、身支度を済まして部屋から出て1階に行く。
「おはようー。昨日は眠れたかい?」
「おはようございます。私は眠れませんでしたが、彼女の方はよく眠れたそうで」
「その様子だと、ウチが想像してたのと違うね」
「一体何を想像していたか、あえて聞きませんよ」
鍵を返して宿を出る。
「さて行くか。東門はあっちか」
鷹の目を使って、東門を見つける。ご丁寧に東門って書いてあるから、迷わずに済むな。それと同時に何か騒ぎになっている。
「何かまた騒ぎになってないか?」
「今度は野次馬どもが沢山いるね」
アリアナさん、言い方が酷くないですか?
騒ぎなっている所に移動する。
「貴様! お嬢様を解放しろ!」
「うるせぇ! この女が悪いんだ!」
「た、助けてー!」
複数の騎士っぽい人達と、昨日見た盾を背負った冒険者の人が対立していた。
あの盾を背負った冒険者。金だけでは飽き足らず、犯罪までやるつもりか? 何故こうなったか分からないが、腹いせなのかそれとも本当にあの女性が悪いのか? それにしても捕まっている女性の人、全然余裕そうに見えるのは俺の気のせいか?
「ユウヒ君。あの捕まっている女は意外と強いよ」
「そうなるとワザと捕まったのか、あるいは正義感がある人でも探しているのか?」
「私たちには関係ないから先に進も。その前に気配遮断魔法を使っていくよ」
アリアナは気配遮断魔法を使って先に進む。人混みをかきわけて先に進む。まだ言い争いが収まらない。
「この女を解放してほしかったら、逃走用の馬と金をよこせ!」
「き、貴様・・・!」
「・・・ここは彼の言う通りにしましょう。すぐに馬とお金を用意してください。お金は銀貨100枚で足りますか?」
「あぁ! それだけあれば足りるよ!」
逃走用の馬と金を要求して、そのまま逃げるのか。あのままでいいのか? 何か俺の罪悪感が消えてないか? 東京にいた時は普通にあったんだけどな・・・。やっぱり加護のせいか?
「馬とお金の用意が出来ました」
「よ、よし。先ずはその馬と金を持ってこい。こっちに来るのは執事のお前だ」
やっと前に出れてそのまま進む。それと同時に袋を持った執事の人と馬が、人質を取っている盾を背負った冒険者の方に行く。
「(何か大変な事になっているね)」
「(急に念話で話しかけてくるなよ。驚くだろ。確かに大変な事になっているが、助けなくていいのか?)」
「(助けたければ、今すぐに助けられるよ。今は気配は分からない状態だから、そのまま助けに行けるよ。でもその必要はないかな)」
アリナアは歩くのを止めて事件になっている所を見る。俺も同じようにする。執事の人と馬が盾を背負った冒険者の前に止まる。盾を背負った冒険者は人質を解放すると、人質だった人はすぐに右手で盾を背負った冒険者の顎を殴る。盾を背負った冒険者は少し浮いてそのまま後ろに倒れる。
「今だあの冒険者を捕まえろ!」
騎士達はすぐに背負った冒険者を捕まえる。
「(私たちが手を出さなくても、何とかなったね。そもそもレベルが違うもんね。先に行くよ)」
「(・・・あぁ)」
アリアナにそう言われ、俺達は村の東門から出る。




