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459話 見えないわ


「じゃあ今度こそアレクシスの番ね。さっきの棒よりかは硬いから、折れないと思うわ」


 エリサ様は違う棒をアレクシスさんに渡す。


「では失礼します」

「待て。早まるな、まだ間に合う! その棒を置け!!」

「すみません、お嬢様の命令には逆らう事は出来ません・・・。なので少し我慢をしてください」


 アレクシスさんはそのまま棒で、マルティナ様の肩を強く叩く。するとまた棒が折れる。


「ダメね、また棒が折れてるわ。マルティナはどう?」

「全く痛くない」

「そう・・・。なら次はユウヒが殴る番ね」


 そう言ってエリサ様はアイテム袋から、また棒を出す。俺はそれを受け取る。


「待て待て待て! ユウヒは流石にダメだ! 確実に余は死ぬぞ!」

「その前にこの棒が先に折れますよ。付与魔法と強化魔法で、この棒を頑丈にしますね」


 俺は棒に付与魔法と強化魔法を使って、棒を頑丈にする。一応俺は攻撃力の所にリミッターをかけておく。棒が頑丈になったらそのままマルティナ様の肩を叩く。


「!? 今の効いたぞ!」

「このくらいの強さですか。これを繰り返してマルティナ様の肩を叩くのですか・・・。正直疲れますね・・・」

「一度やり始めたんだ。最後まで責任を持ってやれ」


「・・・別にいいですが、間違って頭を殴ってしまうかもしれませんが。その時は諦めてください」

「ユウヒ。姉としてそれは見過ごせないのだけど」

「冗談ですよ。流石に王族殺しはしたくないですからね」


「余は冗談には聞こえなかったぞ・・・。完全に殺す気でいたぞ・・・」

「気のせいですよ。それより一度起き上って、背中をこっちに向けてくれませんか?」


 マルティナ様は起き上って、背中をこっちに向ける。俺は棒を構えて、剣の素振りの態勢にする。そのまま素早くマルティナ様の肩を叩く。


「み、見えないわ・・・。ユウヒはいつもあんな速さで斬ってるの?」

「そうですね。いつのあの速さで魔物や人を斬ってますね」

「よくあのレイピアは折れませんね。あの速さで斬ろうとすると、風圧で折れるのでは?」


「ユウヒ君が使っているレイピアは、魔剣だから折れないんだよ」

「魔剣って・・・。魔剣なんてよく手に入ったわね。その魔剣の効果は?」

「レイピアに魔力を流せば刃が凍って、後は刃こぼれしないし折れないね」


「それだけ? もっと他にもあるでしょ。例えば一振りで大地が割れたり、凄い衝撃波放つことが出来たり」

「そんなのはありませんよ。そんな武器を持っていたら大騒ぎになってますよ」

「そ、そうよね。そんなのあったら国宝級よね・・・。でもユウヒなら出来そうだから、ユウヒ自体()()()()じゃないかしら?」


「今人間国宝って聞こえたのですが。一体何の話をしてるんですか?」

「ユウヒ君が使っているレイピアの話だよ」

「それってレイピアが魔剣だって話をしたのか? 何勝手に言ってるんだ」


「別にこの王族に知られたところで、特に問題はないと思いますよ」

「そうだけど。あまりレイピアの事は言わないでくれよ」

「分かってるよ。ところでずっと肩を叩いてるけど、叩かれている本人はどうなってるの?」


「さぁ? ちょっと見るか」


 俺は一旦叩くのをやめて、マルティナ様の顔を見る。顔を見ると幸せにそうに寝ている。


 コイツ寝てやがる・・・。俺は整体師とかマッサージ師じゃねぇぞ・・・。


「寝てるよ。気持ちよさそうに寝てるよ」

「何かムカつくね・・・。肝心の肩の方はどうなの? まだ硬かったりする?」


 俺はマルティナ様の顔を見るのをやめて、肩を触ってみる。


「大分柔らかくなったか? 少なくてもコンクリートよりかは柔らかいか」

「・・・確かに柔らかくなってるね。あと少しじゃない?」

「そうだな。もう少し頑張るか」


 俺は棒を上に振り上げようとすると、ドアが開く。


「「「「あ」」」」

「―――ユウヒ殿。これは一体どう言う事ですか?」

「ユニス。私が説明します。ですので剣はしまってください」


 アレクシスさんはユニスさんに、これまでの事を説明する。


「そう言う事でしたか。助かります、本来は私がやるところをユウヒ殿にやらせてしまって・・・」

「こう言うのは乗り掛かった船だ。だから気にするな」


 俺はマルティナ様の肩叩きを再開する。


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