458話 肩が
城に入りマルティナ様の部屋の前まで着く。
「入るわよ」
「んー」
部屋の方からマルティナ様の声が聞こえ、エリサ様はドアを開けて中に入る。俺達も中に入る。ベッドでうつ伏せになっている、マルティナ様は顔をこっちに向ける。
「何だ姉上。また世間話しに来たのか?」
「違うわ。マルティナがあまりにも暇そうだから、今日はユウヒたちを連れて来たのよ」
「おはようございます。今日も暇そうですね」
「あぁユウヒたちか・・・。なんだ何か暇を潰すもので持ってきたのか?」
「暇を潰すものはないですが、茶化しに来ました」
「帰れ。茶化しに来たなら帰れ」
「まぁマルティナったら、いつもなら引き止めるのに。今回はサッサっと帰らせるのね」
「今の余は肩が重くて、何もやりたくないんだ・・・。起き上るのも面倒だ・・・」
「肩が重い? 失礼ですが、肩を少し触って?」
「好きにしろ・・・」
「では失礼します」
俺はマルティナ様の所まで行って、マルティナ様の肩を触ってみる。
「―――えっ、コンクリート? いくら何でも硬くないですか?」
「こんく、何だって? 余の肩はそこまで硬いか?」
「あり得ないほど硬いです。一体今まで何をしたら、ここまで硬くなるんですか?」
「余は全く知らんぞ・・・」
「そこまで硬いの? 何かの冗談じゃないの?」
「触ってみれば分かりますよ。尋常じゃないほど硬いですよ」
エリサ様はマルティナ様の所まで行って、マルティナ様の肩を触ってみる。
「―――ドラゴンの鱗? マルティナ? 本当に何したのよ? アレクシスも触ってみなさい」
「はい」
アレクシスさんもマルティナ様の方を触ってみる。
「―――人の体ではあり得ない硬さですね」
「そこまで硬いか!? 流石にちょっと傷つくぞ!」
「そこまで硬いの? いくら何でも大げさすぎじゃない? ちょっと私も触ってみよ」
「同じく」
アリアナとアリサも、マルティナの肩を触ってみる。
「「―――マジックストーン並みに硬い」」
「これはちょっと不味いな・・・、いやもしかしたらまた前みたいに・・・」
俺は霊感を使ってマルティナ様の方を見る。
「あぁ特に何もないんだ・・・。じゃあ普通に肩こり? マジかよ」
「普通の肩こりでここまでなるもんなの?」
「普通はならないよ。ここまで硬いと、どうやってほぐせばいいんだ? 並みの方法じゃあほぐせないぞ」
「ここに棒があるけど、これで殴ってみてはどう? 少しは効くと思うのだけど」
「その棒で叩くのですか? 逆にその棒が折れたりしませんかね?」
「別にこの棒は折れもいいのよ。またすぐに手に入るし。今は可愛い妹の肩をほぐすの方が先よ」
「ちょっと待て姉上!? その棒で余の肩を叩くつもりか!?」
「えぇそうよ。可愛い妹の為にこの棒で肩を叩くのよ。決して、決して日ごろの恨みを晴らすわけじゃないわよ」
「どうみても恨みを晴らそうとする顔だぞ!? おちつっ!」
エリサ様は棒でマルティナ様の肩を思いっきり叩く。すると棒が折れる。
「・・・駄目ね、棒の方が耐えられずに折れたわ。マルティナはどう、今痛い?」
「思っていた以上に痛くない。余は本当に叩かれたのか?」
「叩かれていましたよ。じゃあ次は誰か叩きますか?」
「次はアレクシスね。今から新しい棒を出すわ」
エリサ様はアイテム袋から出していた棒を出そうとしている。
あ、いま霊感を使っているから振り向いたら・・・。
「ヒェ・・・」
俺振り向いて、アレクシスさんを見て固まる。アレクシスさんの周りに、10以上の幽霊が憑いている。
「? どうしました? 何か私の顔に付いてますか?」
「付いているより、違うものに憑かれている・・・。一体何をしたらそうなるんですか?」
「はい? 私はいたって普通ですが。しいて言うのであれば、最近少し肩が重いだけですよ」
「またぁ? アナタ、前もそんな事を言ってなかった?」
「えぇ言ってましたね。あの時急に肩が軽くなったので驚きましたが」
すみません。それは俺達のせいです・・・。
「とりあえず浄化していいでしょうか? 見ているとこっちの気分が悪くなるので・・・」
「別にいいですが、する必要があのでしょうか?」
「大いにあります。許可を貰えなくても勝手にやります」
俺はアレクシスさんに浄化魔法を使う。アレクシスさんに憑いていた幽霊は、綺麗に浄化されていく。
「体が軽くなりました。一体何故?」
「悪い物に憑りつかれていたんですよ。ところでマルティナ様? 一体何処に逃げようとしてますか」
「―――うっ! み、見逃してくれ。このままでは余は死んでしまう!」
「大丈夫ですよ。生きていれば、いくらでもエリクサーを使うので」
俺はマルティナ様を捕まえて、ベッドの方に戻す。




