47話 この人が勇者?
ある程度食べ終わり、少し休んでからまた依頼でも受けようと思ったが。こっちに誰かが来る気配がした。
「これはリゼット様、お久しぶりですヴィリーです」
俺とリゼットさんの間に立つように現れた。このカッコいい男性は、リゼットさんの知り合いか? だとしたら丁度いい、コイツを連れて帰ってくれ。
「ねぇユウヒ、明日の討伐って参加するの?」
ちょ、シカトですか? 話しかけられてますよリゼットさん。
「私達は参加できませんよ」
「何で―――」
「前に会った時より、綺麗になられてますね」
かぶせた! 会話をかぶせやがったこいつ!
「聞きましたよあし―――」
「何で参加出来ないのよ」
負けずにリゼットさんも会話をかぶせてきた! もしかして、あのヴィリーって人は存在しない設定ですか?
「私達は昨日ギル―――」
「お前ちょっと黙ってろ。お前さっきから、俺とリゼット様との会話を邪魔してんじゃねぇよ」
・・・はい? 急に俺の方に矛先が来たぞ。それに邪魔も何も会話が成立してないだろ。
「お前みたいな何処にでもいる下等生物が、なに気安くリゼット様と会話してるんだよ」
いや、そのリゼット様が俺に会話を持ち掛けてるのだが。目と耳大丈夫か?
「見ろ! お前みたいな下等生物が、気安くリゼット様と会話してるから、気分が悪くなっているぞ!」
そうか? リゼットさんの顔色は変わってないが。やっぱり目は大丈夫か?
「ッチ、さっきから何言ってるのあのゴミは」
おっと。周りに聞こえないように言っているが、俺には聞こえたぞ。アリアナが少しづつ怒りだしてきたな・・・。
「おい下等生物。何か言ってみろよ」
「じゃあ言わせてもらいますが、貴方は一体誰ですか?」
「俺を知らないだと!? ハッ! これだから下等生物は。いいか、俺はヴィリー。勇者だ」
・・・この人が勇者? マジで? ちょっと念話でアリアナに聞いてみるか。
「(アリアナ。あれ本当に勇者? 勇者ってあんな態度を取っていいのか?)」
「(ゴミだけど確かに勇者だよ。何であんな態度なのかは知らないけど、あんなゴミでもちゃんと勇者だよ)」
アリアナが言うなら確かだろうな。
「どうした下等生物、喋らないのか? あぁそうか。俺が勇者と知って声も出ないのか」
本当だよ。お前が勇者と知って声も出ないぜ。それと、その下等生物って言うのは止めて欲しい。物凄く不愉快だ。
「ユウヒ。一体誰と喋ってるの?」
あ、やっぱり存在してない設定ですか。何をどうしたら、ここまで嫌われたんだ? 教えてほしい。
「私の横に誰かいる?」
俺はそのまま頷く。
「ならそれは幻覚ね、声が聞こえるのは幻聴ね」
幻覚と幻聴ときたか。俺は状態異常にはならないのに・・・。
「ちょっと疲れてるんじゃない? 大丈夫? 昨日私のせいで、眠れなかった?」
何で本気で心配されてるの俺?
「おい下等生物。何リゼット様に話しかけているんだ?」
話しかけてねぇよ。本当に耳大丈夫か? 病院行った方がいいぞ。
「別に私はリゼットさんに話しかけてませんよ。リゼットさんが私に話しかけているのです」
これでどうだ?
「何言っているんだ? お前が話しかけているだろ」
だーめだこりゃ、話が通じないタイプだ。誰かコイツを引き取ってくれ。
周りを見て、ヴィリーを引き取ってくれる人を探してみると。4人が気まずい顔をしてこっちを見ている人達がいた。その4人に。「コイツを連れて帰れ」って目で訴えみたが、4人横に首を振った。
つまり出来ないと、マジかよ・・・。
「何してるんだ下等生物」
「貴方の仲間に貴方を連れて帰るように目で訴えたのですが。駄目でした」
「当たり前だ。あの4人じゃあ俺を押さえることは出来ないからな。それとそろそろ消えろよ下等生物」
・・・ちょっと挑発でもするか。




