438話 エイプ
9月のいつかは分からないが、メアリーさんが帰って行ったので今は9月だ。砂漠から森に移りエポロ街に着くまであと少しだろう。森の中なのでは、俺達は空中移動から歩きに変わる。
「なぁアリサ。気になっていたんだけど、エルナさんが獣状態の時に、アリサの太ももの上にいるけど。何でアリサは嫌そうな顔でエルナさんを撫でるんだ?」
「好きでもない人を撫でるなんて、嫌に決まってますよ」
「―――っと本人はそう言ってますが。エルナさんはどう思いますか?」
「私は全然気にしてません。撫でてくれるだけで満足です!」
「だってよ」
「じゃあ次から撫でなくて―――。そんな絶望的な顔をしてもダメですよ」
「そんな・・・。私の生き甲斐はどうなるんですかっ!?」
「私を理由にして生き甲斐にするのは、やめてくださいよ。他に色々ありますよね。例えば自分の店を持つとか、手伝っている店をどうやって拡大するとか。他にも色々ありますよ」
「私にはアリサに撫でられるしか、生き甲斐を感じないんです」
「そんなの知りませんよ。他の生き甲斐を探してください」
「そんなぁー・・・」
エルナさんは落ち込む。護衛期間の間はエルナさんを撫でたりはしないのか?
「まぁエルナの事はほっとくニャ」
「ひどいっ!?」
「酷くないニャ。それよりもここは進みずらいニャ・・・」
「この辺は魔物に占領されているので、道を整備するのは難しいでしょう」
「この辺の木を伐採をして、家具か何かに変えて売りさばくニャ」
「お姉ちゃん。それはお父さんの仕事ですよ」
「そうだったニャ。でもこれは流石に・・・」
確かにこれは酷い・・・。周りは草が茫茫に生えている。これのお陰で進みが遅くなっている。
「少し先に行って草木を駆ってきましょうか?」
「お願いするニャ」
俺は先に行って氷魔法で鎌を作って草木を狩る。
こうやって草木を狩るのは、ギルドで依頼を受けたとき以来か。無心になって作業が出来るから、嫌いじゃないな。ここで無心になってはいけないけど。
そう思いながら草木を狩っていると、コボルトがこっちに来る。俺は氷の鎌を魔力操作で繋げて、ブーメランみたいに投げてコボルトを殺す。
こんな風に魔物が出てくるから気が抜けないな。死体を埋めないとな。
「か、鎌で殺してるニャ・・・。普通は草木を狩るための物じゃニャいのか?」
「確か武器で鎖鎌って言う武器あって。丁度ユウヒ君が持ってる鎌をぐらいの、大きさを使っていたような・・・」
「鎖鎌? 東の島にいる鬼人族が使っている武器ニャ?」
「そうそう。その東の島にいる鬼人族が使っている武器」
「ユウヒさんはその東の島の人なんですか?」
「違うよ。ただ本でその武器があったから知ってるだけだよ」
「だから知ってるのニャ。それにしてもここは全然魔物が襲ってこないニャ」
「これだけで草や木が生えているので、普通の魔物では戦いずらいんでしょう」
「小型の魔物なら関係ないけど。例えばあの右の木の枝に座っているエイプとか」
ニャーはアリアナがいった右の木を見る。
「本当ニャ!? でもニャんで襲ってこないニャ?」
「意外と知能があるようで、襲えば逆にこっちが殺されると分かってるんでしょう。面倒になる前にこっちから仕掛けますけどね」
「私は後ろを見てくるね」
アリアナは後ろに行く。アリサは石を出して、その石でエイプに投げつける。石はエイプの顔に当たりそのまま死ぬ。
「ニャー・・・。いとも簡単に殺してるニャ・・・」
「いつもの事ですよ」
「こっちは特に後ろは問題はないよ! 特に奴隷たちの被害は出てないから、先に進も!」
「そうですね。ユウヒさんがかなり先に行ってますが・・・。その道は使わないんですよね」
「そうニャ」
「じゃあちょっとユウヒ君を連れてくるね」
そう言ってアリアナは先に行く。
「ユウヒくーん! 戻ってきて! そっちの道は使わないからー!」
「嘘・・・。こっちの道は使わないのか」
俺は草木を狩るのをやめて、アリアナ達の方に戻る。




