419話 白金のリンゴ
散歩から帰ってきて5日後。家の裏に行って、リンゴの木と金のリンゴの木をメアリーさんに見せる。
「・・・・・・何でしょうかこれは?」
「何でしょうかって言われても。リンゴの木と金のリンゴの木だが」
「いえ、リンゴの木と金のリンゴの木はいいのですが。その周りに飛んでいたり遊んでいる、精霊の事を言っているのです」
「あぁ精霊の事を言ってるのか。何か魔法でリンゴの木と金のリンゴの木を育てたら、いつの間にか精霊が出て来た」
「そうですか・・・。ユウヒさん。リンゴと金のリンゴは食べもいいですか?」
「どうぞ」
メアリーさんはリンゴの木と金のリンゴの木に近づく。それに気づいた精霊達はリンゴと金のリンゴを1個づつ採って、それをメアリーさんの所に持って行く。メアリーさんはそれを受け取る。
「ユウヒさんはこっちに普通のリンゴはもう食べましたか?」
「もう食べた。食べると分かるが、金のリンゴの方が美味い」
「そうですか」
メアリーさんはまず先に普通のリンゴを食べる。
「これは。今まで食べた普通のリンゴの中で、一番美味しいです」
「食べた事あるのか?」
「あります。たまに他の神たちが持ってきて献上してきます。その中にあるリンゴより遥かの美味しいです」
「俺はこの世界で育った果物を食べた事がないが、ここの世界はそんなに美味しくないのか?」
「例えると。生ゴミの味とドラゴンの肉の味との差、ですね」
「どんな例え方だよ・・・。ならそのまま金のリンゴを食べてみろよ」
メアリーさんはリンゴを全部食べて、次は金のリンゴを食べる。
「―――やはり金のリンゴの方が美味しいですね」
「そうだよな。どう考えても金のリンゴの方が美味しいような」
「ですが、それを上回るリンゴがあります」
メアリーさんは空間から何かを出す。
「見せなくていい。それは出さなくていい」
「この白金のリンゴの方が遥かに美味しいです」
「出さなくていいって言ったのに・・・。それってやっぱり金のリンゴより、パラメータが増えるのか?」
「増えます。体力と魔量は10万、攻撃力から敏捷までは1万増えます」
「10倍か。で、まさかだがそれを俺に?」
「はい」
メアリーさんは白金のリンゴを俺の前に差し出してくる。断っても無理やり食わされるのが分かるので、そのまま受け取って白金のリンゴを食べる。
「――――――何このリンゴ美味すぎるだろ」
「ユウヒさん。泣いてますよ」
「え?」
俺は左手で頬らへんを触ってみる。
「本当だ。泣いてる。凄い美味しいものを食べると涙が出るって、たまに聞くけど本当に出るんだな」
俺は白金のリンゴを全部食べて、種は空間の中にしまう。
「これ1個で体力と魔量は10万、攻撃力から敏捷までは1万まで増えるのか。国宝級って言うか何と言うか、これ1個で戦争が起きそうなんだが。大丈夫なのか?」
「世に出さなければ大丈夫かと。ところでこの白金のリンゴを育てないのですか?」
「育てないけど。もう木を育てる場所がないし」
「ならそこにある魔木を切り倒しては?」
メアリーさんは金のリンゴの隣にある木に指を指す。あの木は結界の中にある唯一の魔木であり、その魔木を利用してルシを縛っていた。
「あの魔木にはちょっと愛着があって、切り倒したくないんだが」
「なら、リンゴの木の所に移せばいいのでは? 丁度リンゴの木の隣は空いてます」
俺はリンゴの木の隣を見る。
「確かに空いてるけど、魔木をの根まで掘ってリンゴの木の隣まで。移動させるの出来ないぞ」
「物を浮かせることは?」
「出来ないな。火魔法や水魔法ならイメージで何とかなるが、物単体を浮かせる事は出来ないな」
「そうですか。ではユウヒさん、リンゴの木の隣を掘ってください」
メアリーさんにそう言われ、俺は土魔法でリンゴの木の隣を掘る。
「リンゴの木の根っこを傷付けずに出来るだけ、深く周りを広く掘ってください」
「難しい事を言ってくれる」
俺はメアリーさんに言われた通りに、リンゴの木の根っこを傷付けずに深く周りを広く掘る。
「・・・それくらいで大丈夫です。後は私がやります」
メアリーさんにそう言われて俺は掘るのを止める。その後メアリーさんは金のリンゴの木の隣にある、魔木を魔法で引っこ抜く。
「スゲー・・・。しかも根っこを傷付けずに引っこ抜いてるよ」
「これくらいは普通ですよ」
絶対に嘘だ。
メアリーさんは魔木を俺が掘った穴の方に持って行く。根っこを伸ばしながら穴に入れていくが、邪魔な根っこは斬って穴に入れている。完全に穴の中に入ったら地面を固める。
「これでは良いでしょう。ではユウヒさん。丁度穴が開いているので白金のリンゴの種を出してください」
俺は空間から白金のリンゴの種を出す。出したら大きな穴の方に行って少し土魔法で固めて、白金のリンゴの種を植えてその上に土をかぶせて固める。少し離れて果物成長魔法を使う。するとすぐに成長して実が出来る。
「まぁ。あっという間に成長しましたね」
「今思うと葉っぱは普通の色なんだな。てっきり白金の色をした葉っぱが出ると思っていた」
「何してるの~」
アリアナとアリサはがこっちに来る。
「またリンゴを育てたんですか? しかも白金のリンゴじゃないですか」
「メアリーさんに言われて栽培したんだ。これから白金のリンゴが食えるぞ」
「流石に毎日はちょっと遠慮するよ」
「同じく」
「創った私が言うも何ですが。私も遠慮します」
「俺も遠慮する」




