416話 神木
歩いているとまだ遠いが門らしきものが見えてくる。俺は鷹の目を使って門と門番を確認すると、ちゃんと門があってその門番が魔族だった。
「ここまで着いたか。相変わらず警戒心が凄いな・・・。今は気配遮断を使ってないから、バレそうだな」
「大丈夫でしょ。ここまで距離があるから見えてないし、気配察知の範囲もそこまで広くないでしょう」
「それでも気配察知があってレベルが高ければ話は別ですが」
「気配を消しましょうか?」
「いやいいよ。このまま違う所から行くから。とりあえず迂回をしよう」
俺達は魔族の門番にバレないように迂回する。
「それにしも相変わらず風景が変わりませんね~。いっそ燃やしてみますか?」
「やめてくれ。いきなり燃やしたら色々面倒になるだろ」
「いやいや冗談ですよ。いくら私でもそんなことしませんよ」
「いやアリサならやると思ったけど」
「私もそう思いましたが」
「えっ・・・」
アリアナとメアリーさんは、本気でやると思われていたようだ。
「やりませんよ! ちゃんとそこの常識はありますからね!!」
「そうでしょうか。昔よく神木を燃やして遊んでいましたが」
「かなり昔の話ですよそれ!」
「えっあの神木を燃やしてたの・・・? 私そんな事1回もやった事ないよ・・・」
「なっ!? てっきりアリアナも燃やしていたと思っていましたが。まさか私だけ・・・」
「なぁ、さっきから言ってるその神木ってなに?」
「神木って言うのはね。言っちゃえば神界で普通に生えてる木だよ。でもこっちでその神木を育てようとするとかなり難しいよ。周りの栄養を異常に吸い取っちゃうから、土や他の植物がすぐに枯れるんだよ」
「それもう悪魔の木じゃないか?」
「ですが完全に成長した神木は、神木から栄養がでて周りの植物や土に栄養を与えます。それに神木は魔素も程度良く放出しますし、神木の周りに魔物が近づきません」
「完全に成長すれば良い事尽くしだが、その成長過程がいい迷惑だな。普通の木より栄養をとるんだろ」
「そうなりますね。神界では問題なく成長しますが、あの時アリサが・・・」
メアリーさんはアリサを見る。
「もういいじゃないですか!! 昔の話をするのは!」
「アリサってそこまでやんちゃしてたんだ」
「はぁ・・・昔の話ですよ。今は大分落ち着いてますからね」
「「「・・・・・・」」」
アリサを除いで俺達は黙り込む。果たして落ち着いているのだろうか。アリサに会う前は普通に人を弄んで殺していたから、昔より更にやんちゃが進んだのでは?
「何で黙るんですか!」
「―――いや何でもない。進もう」
「絶対ないか言いたい事ありましたよねっ!?」
何か言ってるアリサを無視して先に進む。
「前から何か来るよ」
アリアナがそう言う。俺は拳で構える。前から出て来たのは大きなカマキリだった。
「ヒェッ・・・・・!」
俺は情けない声を出して固まる。大きなカマキリはそのままカマで攻撃をしてくるが、急に頭が弾けてカマは俺の目の前で振り下ろされる。
「―――はい? 何で頭が弾けたんだ?」
「私がその辺にあった石を拾って、ビックマンティスの頭に目掛けて石を投げて、頭を吹き飛ばしました」
「石で!? 石で頭を消し飛ばしたのかっ!? って言ってる場合じゃない! まだ生きて―――」
「ユウヒさんが驚いている間に片付けましたが」
俺はビックマンティスを見ると、左右のカマは斬られていて胸と腹から斬られて死んでいる。
「うわぁ・・・。虫の死体は見たくないな。何かまだピクピク動いてるし」
「そうですか? 慣れると何も思いませんが」
「俺は慣れてないんだよ。それより頭が弾け飛んでるけど、所々残ってるけど何で?」
「多分ですが。投げた石が途中で風圧に耐えられなくて、砕けたのでは?」
「一体どんな力で投げたんだよ、怖すぎだろ。投げた方向を見ると、砕けた石が当たって悲惨なことになってるな」
「まぁ大変ですね」
本当に大変だよ。メアリーさんを戦わせてはいけない。
「死体は埋めといたから先に行こうか」
俺達はエルフ領土に行ける門の方に行く。




