410話 してはいけない顔
カーバンクルは嬉しそうに頭を撫でられる。
「ねぇカーバンクルってこんな簡単に懐くっけ?」
「いえ全然懐きませんよ。ここまで懐くにはどれくらいの時間が必要か・・・」
「それを数分。いや数秒でカーバンクルを懐かせたユウヒ君は凄いね」
「驚いてるのは俺の方だが。何でカーバンクルなんだ?」
「さぁ? カーバンクルにしか分からない。何かがあるんじゃないの?」
「例えば傍にいるだけで落ちつくとか、カーバンクルに近い何かがあるとか」
「俺は何時から魔物になったんだ?」
「ククゥー?」
カーバンクルは俺を見て首を傾げている。すると後ろにいたメアリーさんが、無言でカーバンクルを触ろうとするが。カーバンクルはメアリーさんの手を叩く。
「・・・・・・」
「嫌われちゃいましたね。メアリー様」
「これが普通だよね」
するとまたメアリーさんは、カーバンクルの頭を撫でようとするが。またカーバンクルはメアリーさんの手を叩く。カーバンクルはメアリーさんを見る。
「クゥ~~~~~」
うわぁー・・・。カーバンクルがしてはいけない顔をしてる。
「――――――引っ叩きましょう」
そう言ってメアリーさんの右手を握り拳にする。俺はそれを慌てて止める。
「メアリーさんっ!? それは右手が握り拳になってますよ! 引っ叩くって言うレベルじゃないですよ!!」
「止めないでください。この魔物は私を怒らせました。故に引っ叩きます」
「だからそれは引っ叩くって言うレベルじゃないですよ! 2人も見てないで止めてくれ!」
俺はアリアナとアリサがいる方に顔を向ける。
「流石に無理だよ。止めることは出来かも知れないけど、こっちに飛び火するから無理」
「そうですよ。ただの飛び火ならいいんですが、死ぬような攻撃は受けたくないので。その点ユウヒさんなら大丈夫だと思いますよ」
「助けなしかよ!? ちょ、メアリーさん本当に落ち着いて!」
あっ! 両手両足の震えが収まった!
俺はカーバンクルを抱きかけてすぐに結界の外に出る。結界の外に出たらカーバンクルを下ろして、すぐに結界の中に入りメアリーさんの所に行く。
「メ、メアリーさん・・・。カーバンクルはいなくなりましたよ。なのでその・・・右手を下ろしてください・・・」
「・・・・・・」
メアリーさんは無言で右手を下ろす。その代わりに何故か抱きしめられる。
「・・・何で抱きしめられてるんだ?」
「さぁ? カーバンクルに嫉妬したんじゃない? あんなにカーバンクルを撫で回していたし。そのカーバンクルはトボトボ歩いてどっか行ったけど」
「カーバンクルにやるくらいなら、私にやってくださいよ。私ならいくらでも撫でまわしてもいいので」
「さりげなく自分の要望を言ってくるなよ・・・。ところでメアリーさん。加護のせいじゃないと分かりました。厚かましいですが―――」
「もう加護は与えました」
「早い・・・。そろそろ離れてくれませんか? 他の事もしたので」
そう言うとメアリーさんは素直に離れてくれる。が、剣を構えてる。
「ええっとメアリーさん? もしかして昨日の続きですか?」
「そうですが。何か問題でも?」
「あ、ありません・・・」
「じゃあ私とアリサは少し離れるね」
アリアナとアリサが少し離れたら、メアリーさん近づいてきて持っている剣で斬りかかってくる。俺はそれを避けて氷魔法で剣を作り斬りかかるが、メアリーさんはすぐに避けて剣で俺の両手を斬る。俺は氷魔法で斬られた部分から両手を作りだす。
「まぁそんな事も」
「両手とか両足を斬られて、何も出来なくなるからちょっと考えてみたんだよ。その結果がこれだ。まだ自由に動かせないが、剣を持って斬ったり歩くことぐらいは出来る。今は両手だけだけど」
「そうですか。ですが、すぐに意味がなくなりますよ」
「だが。反撃は出来る!」
俺は氷の剣を拾ってメアリーさんに挑む。




