407話 祭りだな
「ウッドドラゴンがいたよ」
何時間が歩いているとアリアナがウッドドラゴンを見つける。
「俺には大きくて歪な形をした木にしか見えない。アリアナとアリサにはウッドドラゴンが見えるのか?」
「見えるよ。頭が上に向いて翼は折りたたんでジッとしてる姿が見えるよ」
「確かにそう見えますね。あそこまで器用に木に止まるのは、中々凄いですよ」
「普通の気配察知じゃ見えないな。これじゃあ一撃で殺せないな」
「私が指示するから。ユウヒ君は武器を出して」
空間からレイピアを出して鞘からレイピアを抜いて、鞘はベルトに通す。
「じゃあ先ずは気配遮断を使ってから空中に飛んで」
言われた通りに、気配遮断を使って風魔法で体を風で纏って空を飛ぶ。
「そのまま近づいて・・・。もう少し右、そうそこ。私が止まって。って言ったら止まって」
俺はそのまま上に上がっていく。
「止まって。で、そのままレイピアで横に斬って」
俺は右手に持っているレイピアを横にしてそのまま横に斬る。するとウッドドラゴンと思われる首が出てきて、首と体が下に落ちて行く。
「はい終わり」
俺は下に下りて、ウッドドラゴンと思われる顔を見る。
「これがウッドドラゴンか? 本当に木で出来てる」
「それがウッドドラゴンですよ。牙や目や舌などは普通に生ですが、それ以外は木ですから」
「木だけで動くのか? ・・・って言っても、スケルトンは動いてるからウッドドラゴンも動くか」
「そうだよ。後は解体だけど、解体しても肉は出ないよ。出るとしても魔石とか目とか内臓とかだよ」
「後は木だけですね。その木は弓に使ったり高級家具として使われます。正直いらない物ですね」
「確かにいらないと言えばいらないが。流石にこれを売るのはちょっと躊躇するな・・・」
「まぁウッドドラゴンだからね~。躊躇しちゃうのは分かるけど、ずっと空間の中に入れとくのもね~」
「こうなったら王族に売るか、あるいは・・・。いいや。今は解体をするか」
俺達はウッドドラゴンの死体を解体をする。
「こんなもんか。木が色んな所で曲がっているから、解体に時間がかかったな」
「そうだね。後はしまってギルドに戻るだけだね」
「・・・これって本当に家具になるのか? 弓ならまだしも、こんなに曲がってたり歪な形をしてたら、タンスどころか椅子も作れないぞ」
「確かに高級家具になると言いましたが。全部使うとは言ってませんよ。使うのは一部だけで後は上質な木を使って作ってますよ」
「なるほど。それを貴族に売りつけるのか」
「そうですよ。早くしまって戻りますよ」
俺は解体したウッドドラゴンを空間の中にしまって、転移魔法でエフサークルの北門付近に転移する。
ギルドに着いたら中に入り、依頼書とギルドカードそしてウッドドラゴンの頭を出す。受付の人はちょっと驚いたが、ウッドドラゴンの頭を持って奥に入って行く。
「まだ騒がしですね」
「そうだね~。来ないと分かっているのに、何でここまでやるのか私には分からないよ」
「来る可能性があるから、エルフの人達はここまでやっているんだろ。8月になったらどうなるか知らないけど」
「昔に聞いた話では。8月になったら1週間は家などで食わず飲まずで祈りを捧げて、その後は食べ物を沢山食べエールを沢山飲んだりするようですよ。エルフ族に限らず、信者全員がやるみたいです」
「前者は違うけど後者は祭りだな。メアリーさんが来なくても祭りになるんだな・・・」
「お待たせしましたー」
鑑定が終わり受付の人が戻ってきた。カウンターの上には金貨480枚が置かれる。空間から金貨が入った袋を出して、袋に金貨を入れて空間の中にしまう。
「ところで。こちらの創造神様の加護札はいかがですか? 持ってるだけで幸せになれますし、悪意から身を護ってもらえますよ」
「いえ、必要ありません」
仮にこんなの持っていたら、メアリーさんにどんな目で見られるか・・・。考えただけで背筋凍ってきた・・・!
「ではこちらの創造神様の像はどうでしょうか? 加護札より強力で更に近くで見守ってもらえます! ずっと肌身離さず持っていれば朝昼晩、毎日ずっと近くで見守ってもらえます!」
「結構です。加護札や像を持っていなくても、遠くから見守ってくれてますよ。多分」
見守ってくれるどころか、8月になれば普通に来るんだよ!
「なら・・・こちらの・・・絵はどうっですか!」
カウンターの上に額縁に入った絵が出てくる。
「これを家の中に飾っておけばその家は災害や悪意など、あらゆる悪い事を防いでくれる絵です! しかもどこを歩いても創造神様が必ず見守ってくれます! どうでしょうか!!」
普通にいらねぇよ! しかもその絵の人物はメアリーさんじゃないよ! 誰だよその男は? メアリーさんは女だよ!
「結構です。ウチはいつも創造神様に護られてますから」
「なんと! すでにお持ちでしたか。これは失礼しました。同じ創造神様を信仰する者同士。これからも信仰を絶やさずに行きましょう!」
「そ、そうですね・・・。あ、会えるといいですね。創造神様に・・・」
「はい!」
「ではこれで・・・」
俺達は少し早歩きでギルドから出る。
「あそこで買わせようとするとか・・・。マジでエルフが苦手になりそうだ。誰だよエルフは綺麗で高嶺の花って言った奴は・・・」
「誰もそんな事は言ってないよ。バレなくて良かったね、加護の事」
「ちょ! もう少し小さな声で言ってくれ。周りに聞こえていたらどうする!?」
「その時は逃げればいいんですよ」
「あぁまぁそうなんだけど。今日はもう帰るか」
俺達は東門から出て、人目がつかない所で転移魔法で家の前に帰る。家の前に転移したら、家に入って晩御飯の準備をする。




