396話 モンスタースタンピ―ド
7月上旬。家の外で氷魔法で作った椅子に座る。テーブルの上には皿の上に粉の氷が盛ったもの、いわゆるかき氷だ。そこに6月中に作っておいた苺シロップをかけて食べ始める。
「まぁこんなもんか。シロップを作れないかとあれこれ試したみたが、これが1番だな」
「―――イタタタタ・・・! 頭が急に痛くなったわ・・・」
「リゼットさん。一気に食べるから頭が痛くなるんだよ。もう少しゆっくり食べろよ」
今日はリゼットさんが結界の外にいたから、結界の中に入れた。折角なのでかき氷を食べさせたが・・・。何故か一気に食べて頭を痛めている。
「うぅ・・・。初めて食べるからつい・・・」
「落ち着きがないね。ユウヒ君、おかわり」
「お前が1番落ち着きがなかったか」
アリアナの皿を受け取って、氷魔法で氷のナイフと氷のブロックを作り、氷のナイフで氷のブロックを高速で削り、粉になった氷が皿の上にどんどん積み重なっていく。出来たら氷のブロックを消して氷のナイフはテーブルの上に置く。テーブルの上にある苺シロップが入った長い瓶を持ってかける。かけ終わったらアリアナに渡す。皿を受け取ったアリアナは再度食べ始める。
「私の部下らか聞いたけど。帝国の方はどうだったの?」
「どうだったのって。何か俺達が帝国に行ったって話になってないか?」
「どうせ頼まれてしょうがなく行ったんでしょ」
「別にマルティナ様達に頼まれて行った訳じゃないんだよ」
「えっ、じゃあ何で行ったのよ?」
「念話で会話ができるミミックキャットがいてな。そいつに駄々をこねられて、仕方がなく連れて行った」
「念話で会話ができるミミックキャットぉぉぉ? 念話なんてそう簡単に出来ないわよ。アンタたちは出来るの?」
「「出来る」」
「ウッソ・・・。私も使ってみたいんだけど」
「やだよ。教えたら、夜寝る時と朝起きる時に、絶対に念話で話しかけてくるんじゃん。私は聴きたくないよ」
「同感」
「ヒドイ・・・。―――それで、連れて行った後どうしたの?」
「ミミックキャットはそのまま人と魔物を皆殺しに行って、俺とアリアナはオークだけ狙って殺してた」
「そのミミックキャットは、完全に第3勢力みたいに動いてたのね。アンタたちはオークだけ狙って行ったって言うけど。もしかして肉がなくなったの?」
「正解。丁度オークの肉がなくなっていたから、オークだけを狙って肉を確保していた」
「ふーん。で、いつ終わったの?」
「その日で終わったよ」
「はやっ!? いくら何でも早すぎじゃない!?」
「早く終わった原因は。俺とアリアナはオークだけを狙っていたから、他の魔物に専念出来たことと。ミミックキャットが魔物と人を皆殺しにしたこと。最後はエリサ様達が強すぎたことだな」
「エリサたちが? 何でそこまで強くなってるのよ?」
「前に皇帝様達は、俺達がここに住んでいる事は知ってるって言っただろ。バレた原因はマルティナ様とユニスさんなんだよ。その後色々あって皇帝様達にバレた」
「マルティナとユニスがここに来たのね。でも、それだとレベルが1000を超える理由にならないわよね?」
「色々バレた後、何回かマルティナ様とユニスさんがウチに来るんだよ・・・。帝国の王族が何度もウチに来るのは問題があるから、レベルが1000を超えたら来いって言ったんだが。本当に1000を超えてここに来やがったよ・・・。しかもその条件がエリサ様とアレクシスさんにバレて、その2人も1000を超えてここに来たよ・・・」
「何か・・・その・・・。大丈夫?」
「色々大丈夫じゃない。これ以上ここの存在をバレたくないし。次来た奴は記憶でも消しておこうか。手始めにリゼットさんから」
「ちょ、アンタ目が本気よ!? 本気やる気!?」
「なに安心しろ加減はする。上手くいけば俺とアリアナとアリサと会った、記憶も消し飛ぶかもしれない」
「ユウヒ君。いくら頭を殴っても記憶がなくなるわけないよ」
「そ、そうよ。いくら頭を殴ったってそう簡単には記憶がなくなるわけがないわ」
「・・・それもそうだな」
「(助かったわ・・・)」
「私が特定の記憶を消す魔法を使うから、ユウヒ君がそんな事をしなくてもいいんだよ」
「全然助かってなかったわ!? やめて、本当にやめて!!」
「「・・・・・・・」」
俺とアリアナは無言でリゼットさんを見つめる。
「――――――リゼットさん」
「な、なに?」
リゼットさんは恐る恐る俺の方を見る。
「冗談だよ。いくら何でも記憶を消す何て、酷い事はしないよ」
「・・・・・・そ、そうよね! いくら何でもそこまではしないわよね!」
「私は本気でやろうとしてたけど」
「えっ?」
「うん。アリアナは本気で有言実行しそうだな」
「私。今日1恐怖を感じたわ・・・」
「それは悪かった。話を戻すが、今回起きた・・・。なぁリゼットさん達はこれを何て言ってるんだ?」
「普通に10年に1回起きる、モンスタースタンピードって呼んでるわ」
「そのモンスタースタンピードは、色々偶然が重なって早く終わったことになる。もしかして今まで起きていたモンスタースタンピ―ドの中で、1番早く終わったかもな」
「あり得ないわ。こんなに早くモンスタースタンピ―ドが終わるなんてね・・・。次の10年後はどうなるかしらね~。まぁこの話は終わりにして。ユウヒ、かき氷おかわり」
俺はリゼットさんの皿を受け取って、かき氷のおかわりを作る。




