393話 素直すぎ
東西南北を回りオークだけを殺して空間の中にしまう。途中マルティナ様達を見つけたが、流石レベルが1000を超えているだけの事はある。あの4人だけでほとんど終わっていた。俺はオークの死体でも貰おうかなって思っていたが。流石に他の人が殺したんだ、それを貰う訳にはいかないだろう。俺は一先ず東の方に戻る。
さて、アリアナとバルナールは何処にいるんだ? アリアナはすぐに俺を見つけそうだが、バルナールに関してはこっちから探さないといけないな。それにしても腹が減った。もう昼が過ぎたしそろそろ腰が下ろせる場所で、昼ご飯を食べたいものだな。
「いた、ユウヒ君」
「(む? 小僧は何処におる? 我には見えんぞ)」
アリアナとバルナールがこっちに来る。俺は少し気配遮断を弱める。
「(いたのか小僧!?)」
「そこまで驚くか? もう少し気配察知を鍛えた方がいいぞ」
「(ぬうぅ・・・。これでも気配察知はレベル6だが、これでも小僧を見つけられぬか・・・)」
レベル6か。俺のはレベル9だから俺の方が上だな。
「第2波も終わったし。今から昼ご飯を作るか」
「あ、もう昼ご飯なんだ。時間が経つの早いね~」
「正確にはもう昼すぎだよ。オークを解体する前に、まだ肉は残っているかな。なかったらハンバークだな」
先ずは空間の中に解体したオークの肉がないか探す。結果、なかった。俺は氷魔法でテーブルと椅子を作る。その後皿を2つ茶碗を4つ作り、その皿と茶碗にハンバークや野菜などを盛り付けていく。盛り付けが終わったら、椅子に座り昼ご飯を食べ始める。
「なかったんだ、オークの肉」
「今日殺したオークしかなかった・・・。ドレッシングなにがいい?」
「ん~・・・。今日はポン酢」
俺は空間からポン酢が入った瓶を出して、アリアナに渡す。アリアナは蓋を開けて千切りしたキャベツにかける。蓋をしてテーブルの上に置く。
「次は第3波か。そろそろとんでもない魔物が出てきそうだな」
「(何、第3波があるのか!?)」
バルナールがテーブルの上に座って、念話で俺達に話かけてくる。
「あるよ第3波が。大体第3波で終わるけど、運が悪いと第4波も来るんだよね~。ところで、何でバルナールはここが襲われると分かったの?」
「それは俺も気になるな」
「(なに簡単な事だ。我も魔物だ、本能でここを襲えと)」
「本能でここを襲うようになってるのかよ。で、さっきから何俺のご飯を見てる? もしかして、食いたいのか?」
「(なっ、何戯けた事を言っておる!! 我はそんなものを食わんぞ!)」
俺は氷魔法で皿を作り、空間からハンバークが入ってる箱を出す。蓋を開けて氷魔法でトングを作り、ハンバークを1個掴んで皿に置く。
「ほら、食べてみろよ」
「(ふん。こんな食い物美味いはずが―――意外と美味い)」
バルナールはハンバークをガツガツ食べる。俺はトングを壊して箱に蓋をして空間の中にしまう。
「(オイ、あと1個寄こせ!)」
「駄目だ。あまり他の人や魔物に渡したくない。現にお前の後ろを見ろ」
「(何?)」
バルナールは後ろを見る。俺とアリアナは知ってる。コイツは目が死んでいる受付の人だ。
「(何奴!?)」
バルナールは後ろに下がり、攻撃が出来るように態勢を取る。
「何故ここに黒猫が・・・? まさかユウヒ様が?」
「言っておきますが、この黒猫はここに来たかったらしく。断ったらにゃーにゃ―叫ぶので、仕方がなく連れて来ただけですよ。私はこの黒猫をテイムした訳ではないですよ」
「そ、そうですか」
流石元冒険者と言うべきか。この程度の気配察知じゃバレるか。
「それで何か用ですか?」
「はい、その美味しそうな食べ物を奪いに来ました」
「素直すぎですね・・・。あげませんよ。あまり上げると、アリアナさんに殺されますよ。それと涎を拭いてください」
「! これは失礼しました」
目が死んでいる受付の人は、涎を拭く。
「では、奪わせてもらいます」
目が死んでいる受付の人は、左手俺の皿を奪おうとする。俺は左手で目が死んでいる受付の人の、左手を掴んで攻撃力と敏捷の所に、99.97%のリミッターかけて左側に投げ飛ばす。
「この程度ならすぐに態勢を整える事は出来ますよね?」
「―――あたり前です」
後ろで両足が着地した音が聴こえた。目が死んでいる受付の人は、そのままこっちに来る。
「そっちにも昼ご飯があるでしょ。それを食べてくださいよ」
「あのクソ不味い携帯食料を食べろと言うのですか? 無理です死んだほうがマシです」
じゃあ死ねよ。とか言いたいが、流石に酷すぎるな。
「じゃあ死ねば?」
いっちゃったよ。アリアナがいっちゃったよ!
「タダの冗談ですよ。なに本気にしてますか?」
「私は本気で聞こえたけど。自殺が出来ないなら私が殺してあげようか?」
「にゃーにゃー(何なら我が殺してやろうか)」
「ここで暴れるのはやめてくれ。暴れるのなら、次に来る第3波にしてくれ」
「・・・分かりました。食べ物はいりません。せめてポーションか何か回復するものはありませんか? 自分の分が無くなりました」
「まぁありますよ」
俺は空間から特級ポーションを5本出して渡す。
「開け方は蓋を右に捻っていけば開きますよ」
「ありがとうございます」
目が死んでいる受付の人は、腰にぶら下げているアイテム袋に、特級ポーションを入れる。そのまま目が死んでいる受付の人は、違う所に行く。
「さて、第3波来るまでのんびりするか」




