385話 殺し合い
5月下旬。家の外でアリアナと稽古が終わり、俺は地面に仰向けになって倒れる。
「――――――疲れた・・・。今日何回死んだ?」
「軽く50は超えたんじゃない? それと、不老不死だから死んでないよ」
「いいんだよ。首と胴体から離れたり心臓がなくなったり、頭を潰されてりしたら死んだことにしてるんだよ。もう死ぬのも慣れてきたな」
「よく心が持つね。普通なら鬱とかになってるよ」
「普通ならな。アリアナとアリサがいるから、鬱になりにくいか。メアリーさんの加護のせい」
「なるほど。因みに私たちがいなかったら、鬱になってるの?」
「あるだろ。ヘタするとずっと家の中で引きこもってるぞ」
「あぁ~、確かに引きこもりそうだね。話変わるけど。その大鎌を使ってるけど、どう? 上手く使える?」
「正直言うと。敏捷が20%低下してるから、いつも通りに動けない。大体何で低下するんだよ・・・。状態異常だろこれ」
「武器や防具と指や首飾りとかは、状態異常扱いにされないからね。状態異常扱いされたら、魔法で強化されないでしょ。魔法は必ずしも万能じゃないんだから」
「そうなのか・・・」
俺は起き上る。その際に左を見る。そこにはリゼットさんがいた。立ってリゼットさんの所に行って、リゼットさんの手を引っ張って結界の中に入れる。
「今日は何しに来たんだ? こっちはアリアナに稽古をつけてもらってる最中だが」
「稽古って、あっちに置いてある大鎌で? アンタいつ手に入れたのよ」
「5月の・・・、忘れた。ほら、邪魔だから帰れよ。死にたいならここ残ってもいいが」
「稽古だけで何で死人が出るのよっ!? 一体どんな稽古をしてるのよ!!」
「どんなって言っても。今は大鎌でを使っての稽古しつつ、斬撃、打撃、貫通の耐性スキルのレベル上げだな。おかげで耐性スキルが上がる」
「それもう殺し合いになっているわよっ!? アンタ良く生きてるわね!!」
「何回か、完全に息絶える前に治してもらってるからな」
「私が知ってる稽古じゃないわ・・・。はい! 今日はお終い」
「は? 何でお前に指図されないといけなの? 殺すよ」
アリアナは自分の大鎌を構えて、リゼットさんの方に行く。
「やめろ。ここにリゼットさんが来たから、今日はお終いだ」
「はーい・・・」
アリアナは自分の大鎌を空間にしまう。俺は地面に落ちてる大鎌を空間にしまう。その後、氷魔法でテーブルと椅子を作り、俺達は椅子に座る。
「所で、アリサは何処にいるの? いつもなら、ユウヒの隣に座ってるけど」
「アリサは実家に帰った時から、帰って来てないぞ。何やってるのやら」
「実家に帰ってるんだ。会いに行ったら?」
「俺、アリサの実家の場所を知らないんだよ」
「アリアナなら知ってるでしょ。何か姉妹みたいに見えるし」
「アリサが妹なんて絶対にやだね。あと実家でしょ。一応知ってるけど、行くと嫌な予感がするから行かない」
「だってよ」
「あぁそうなんだ・・・。それと、ユウヒずっとほとんど森で暮らしてるから。知らないと思うけど。10年に一度、モンスタースタンピードが起きるの。前はダンジョンから来たけど、本来は突然魔物が現れて襲って来るの」
「説明どうも。普通のモンスタースタンピードがあるのか。それを何で俺に?」
「一応アンタにも言っておかないと、混乱するでしょ。だから今のうちに教えてるの」
「そのモンスタースタンピードは、何処に国とか襲うの場所とかって決まってるのか?」
「大体は国ね。しかも無作為だから、いつどこの国が襲われるのか分からないのよ」
「そうなんだ。別に俺は知らなくてもよかった気がするが」
「いや、知ってた方がいいわよ。もし帝国だったら、アンタたちも呼ばれるのよ」
「呼ばれても行かないよ」
「何でよ。ユウヒは強いんだから、呼ばれたらちゃんと行きなさいよ」
「あのなー。確かに俺が行ったら早く終わって、犠牲者が少なくて済むだろう。けど、一度行ったら、10年後もまた行かないといけなくなる。そんなのが続いたら、お偉いさん達は何て考える?」
「どうせユウヒたちが何とかしてくれるって、思うわね」
「そうだろ。いつも強大な力を持った人達が、ついでに助けに行っていたら。国の軍事力に力を入れなくなるだろ。それは駄目だ。強大な力を持っている人達だって、いつかは死ぬんだ。そいつらがいなくなってからじゃ遅いんだよ。だから俺達は行かない。本当に危険な状態になったら考えるよ」
「ちゃんと考えてるのね。まぁ10年間に一度、モンスタースタンピードが起きるって教える事が出来たし。私は帰るわ」
リゼットさんは椅子から立って、翼で飛んで集落の方に行く。
「じゃあ稽古の再開するか」
「やるんだ。私はいいけど、武器は?」
「リゼットさんが帰ったからな。今度は剣と盾でやってみるか」
俺達は椅子から立ち上がる。俺は氷魔法で剣と盾を作り、アリアナは空間から剣と盾を出す。
「おい待て。どう見ても強い剣と盾だろ」
「そうだね。ワイバーンなら一撃で倒せるんじゃない?」
「とんでもない武器だな・・・」
テーブルからは離れて、稽古を始める。




