381話 お前が言うな!
「所でアリサはどこ? あと、アリアナが食べてるリンゴはなに?」
「アリサは実家に帰ってから、帰ってきてないですよ。アリアナが食べてるリンゴは、リンゴ飴と言います。食べますか?」
「食べるわ」
「アレクシスさんは?」
「・・・・・・」
アレクシスさんは、何かブツブツ言っている。何か考え事か?
「アレクシス?」
「! な、何でしょうか?」
「ユウヒがリンゴあめをくれると言うの。それでアレクシスは欲しいの?」
「リンゴあめっと言うのは分かりませんが、貰います」
俺は空間からリンゴ飴2個を取り出して、2人に渡す。
「食べる時気を付けてください。意外と硬いんで」
2人はそれを聞いて、恐る恐るリンゴ飴を食べる。
「これ、砂糖?」
「砂糖ですね」
「砂糖を使ってますよ。砂糖を使わないと、リンゴ飴が出来ないですから」
「美味しいわ。でも、口の周りがベタベタするわ・・・」
「アリアナと同じこと言いますね。砂糖だから仕方がないですよ」
「砂糖ってベタ付くものなの?」
「素手で触ったことないんですか? 砂糖は塩と違って溶けやすいんですよ。素手てつまんでギュッとすると、すぐに溶けてベタつくんですよ」
「知らなかったわ・・・。そもそも砂糖は手に入りずらいわ」
まだ砂糖って手に入りずらいのか。やっぱり砂糖を使った料理って少ないのか?
「ユウヒは何処で手に入れてるのよ?」
「秘密ですよ。それより、アレクシスさんはさっきから食べてませんが。お口に合わなかったでしょうか?」
「――――――! いえ、不味い訳ではなく。ただ考え事です」
「一体何を考えてるのよ? もしかして、この家に来る神か女神の事を考えてるの?」
「はい。神あるいは女神が来るか、考えてました」
「先に言っておくが。俺とアリアナの口からは、どの神が来るかは言わないからな」
「そう、ですか・・・」
悪いなアレクシスさん。答えるわけにはいかないんだよ。創造神ことメアリーさんが、ここに来ることを言えないんだよ。
「あなた。神とか女神が来る時期になると、いつもソワソワするわね。そんなに創造神に会いたいの?」
「勿論です! 私たちを創ってくださった、神様ですよ。それを崇拝しない理由がありません!」
「その話は同じエルフどうしてしてね。ワタシはもう聞きたくないわ・・・」
あちゃー。もう耳にタコが出来るほど、聞いていたのか。
「そもそも、創造神に会ってどうするの?」
「先ずは土下座をして感謝の言葉を述べます。その後はエフサークルに招き、国を挙げて最大級のもてなしをします」
「それ、絶対にメアリ―――んぐっ・・・」
俺はアリアナの口を手で塞ぐ。
「それ以上駄目だ。絶対に駄目だ」
「・・・今なんて言おうとしました?」
「大丈夫。こっちの話だから。アレクシスさんには関係のない話だ。だから、その目はやめてくれ・・・」
目が怖い。完全に嘘を付いてるのがバレてる・・・。あとアリアナさん? 人の指を舐めないでください。
「ほら、やめてあげなさい。ユウヒが怖がってるわ」
「申し訳ございません。ユウヒ様。仮に創造神が来たら、私とユニスを呼んでください。すぐに駆け付けます」
俺はアリアナの口から手をどかす。その際に浄化魔法で綺麗にする。
「仮に本当に来たら、絶対に呼ばない。何があっても絶対に呼ばない!」
「そこを何とかお願いします」
「こらアレクシス! いくら何でも図々しいわ!」
お前が言うな!
「申し訳ございません・・・」
「はぁ・・・。これ以上ここにいたら、アレクシスが変な事を言うわ。今日はもう帰るわ。それと、たまには城に遊びに来なさい」
「気が向いたら行きますよ」
「そう。じゃあね」
2人は立ち上がり、リビングから出て玄関の方に行く。
「・・・帰ったな。全くお前は、何て危ない事を言うんだよ」
「つい口が滑って・・・。ごめんね」
「バレてないからいいが、バレたら・・・。考えたくないな・・・」
「エルフ族の信仰も困ったものだね。仮にメアリー様がエフサークルで、もてなされてもつまらない顔をしてるよ」
「何か想像できるな。あまりにもつまらないから、途中で帰りそうだな」
「あるいは、ユウヒ君が加護を持っていると言って。ユウヒ君を道ずれにしそう」
「その時は、アリアナとアリサも道ずれだからな。2人だけ逃げられると思うよな」
「えぇ~・・・。まぁいいけど。それより、本当にアリサが帰って来ないね。なにしてるんだろ?」
「何だ? アリサがいなくて寂しいのか?」
「全然寂しくないけど。アリサがいなくなって、寂しいなって。あり得ないね」
これが本心で言ってるのか、あるいは寂しさを隠してるのか。俺には分からないな。
「さて、リンゴ飴を作るか」
「え? 2人にあげたリンゴアメって、アリサのじゃないの?」
「あれは俺の分だが。メアリーさんの分も作らないと。すっかり忘れていた」
俺は立ち上がり台所に行く。リンゴ飴を作る準備をして、準備が終わったらリンゴ飴を作る。




