348話 逃げ出すわ
「よし、これくらい出来たらいいか」
俺は皿にポテトチップスが乗った皿を2つ持って、玄関の方に行く。
「あ、これじゃあ開けられないな」
念話でアリアナに話しかける。
「(アリアナ。ちょっと玄関を開けてくれないか?)」
「(いいよ)」
念話を終わらせてアリアナがくるのを待つ。すると、玄関が開く。
「どうしたの―――って、それって前に食べたポテトチップス?」
「そうだ」
「空間の中にしまえばよかったのに」
「空間に入れる時に落ちたらどうする?」
「地面に落ちるよりマシだと思うけど。それより行こ」
俺とアリアナは、アリサとリゼットさんがいる所に行く。
「何してたんですか?」
「お菓子を作っていたんだ」
俺はテーブルの上に2つの皿を置く。
「ポトテチップスですね!」
アリサがすぐに1枚取って食べる。しかも食べるのが速い。
「・・・もうちょっと作るべきだったか」
「ぽてとちっぷす? 何それ?」
「ジャガイモを薄く切って、それを油で揚げた食べ物だ」
「前もジャガイモって言っていたけど。ユウヒはそう言うのね」
「リゼットさんは何で言うんだ?」
「私っと言うより皆は大体、シャガって言ってるわ」
「そうなのか。初めて知った」
「・・・他の野菜の言い方も気になるけど、今回はやめとくわ」
「そうだな。じゃあ早速だが、先ずは当時魔物数はどれくらいで攻めてきんだ?」
ポテトチップスを食べながら話を聞く。
「大体35万くらいね。実際100万なんていないわよ。そんなにいたら、魔族領土が一瞬で魔物領土に変わるわ」
「そうだよな。流石にそんな数がいたらすぐ逃げ出すな」
「私も逃げ出すわ。それでこっちは大体34万ね。これは魔族とか他の軍を合わせ数ね」
「それでも勝てる気がしませんね」
「そうね。普通は相手の3倍4倍はいれば勝てるのが常識ね」
「確かに常識だね。でも、リゼットたちは捨て身で戦場に行ったんだよね。その時本当に101人で戦ったの?」
「そんな訳ないでしょ。数は少なかったけど、私含めて10000部隊ね」
「その数で戦いに行ったのか・・・。それでよく生きていたな」
「それについては私も驚いたわ。普通に死ぬ気で戦場に行ったのだけど、何だかんだで生き残ったわ」
「それってやっぱり、ローテーションで戦っていたから?」
「結界の中で休んで戦っての繰り返しのことね。実際は戦う前にあちこちに罠を仕掛けて戦っていたわ。勿論主にローテーションで戦っていたわ」
「結界魔法があるから出来る戦術か。いや、それでも成り立たないだろ」
「意外と成り立ったわよ。前衛に5000人、後衛に5000人。前衛の半分は戦って半分は結界内で待機。後衛は2000人は魔法で援護攻撃。2000人は回復の支援で、残りの1000人は結界張るまたは交代要員ね」
「聞いていて無茶苦茶だな。それで3日も持ったのか?」
「無理よ。持ったのはたった2日だけ。その時は私は、態勢が崩れる前に援軍を呼んだわ」
「どうやって呼んだですか?」
「すぐに呼ぶ必要があったから、転移石を使って呼んだわ。その時常に城に連合軍はいたわね」
「まぁ転移門で来たんだろうな」
「機動力がある部隊はもう先に移動してたから、機動力があまりない部隊を転移石を使って移動させて、すぐに戦場に送って行ったわ」
「・・・もしかして補給隊を?」
「いやいやそんなのは後よ。先に白兵戦が得意な部隊を送って行ったわ」
「兵糧と水どうしていたんですか?」
「大体はアイテム袋に入れるか、空間収納魔法で兵糧と水を入れていたわ。後はポーション類ね」
「それでリゼットさんの部隊だけで、魔物の半分も殺したのか?」
「どうだったかね~。多分2割くらいじゃないかしら。戦闘中に数えるわけにいかないしね」
「そんな暇はないよな・・・。ところで、ドラゴンやベヒモスっていたのか?」
「ドラゴンは5体でベヒモスはいなかったわ。いたら確実に負けていたわ・・・」
あぁやっぱりベヒモスは何千人もの数を揃えて、戦う魔物だったか。
「よく覚えてますね。私だったらすぐに忘れてすよ」
「あの戦いが1番の修羅場だったから、よく覚えてるのよ。それより、何で2人は参加しなかったのよ。2人がいればもっと早く終わっていたわ」
「その時は違うところにいたね」
「私もです」
「・・・まぁ今更そう言っても意味はないわね」
「そうですよ。あとはリゼットの部隊被害は本当になかったのですか?」
「普通にあったわよ。大体3000人以上は亡くなったわ・・・」
「それでも半分ぐらいは生き残ったのか。それは凄いことだと思うが」
「そうね。大体これくらいかしら?」
「そうだな。やっぱり本人から聞くのが1番だな。本人以外から聞くと話が変わってくるな・・・」
「しょうがないと言えば、しょうがないわね。まだ120年くらいしか経ってないのに、よくそこまで事実とかけ離れるわね・・・」
「話だけであって、何か記録が残っていればいいのだが。それがないなら話が変わってしまうのだろう」
「一応その話は記録として残っているけど・・・。魔王城から1回も出してないって聞いたわ」
「それじゃあ話が変わってしまうのも仕方がないですね」
「今度城に行ったら、頼んで複製てして貰って。どっか展示してもらおうかしら」
「そうした方がいいかもね。内容を見たらきっと驚くよ」
「あと他に聞きたいことは?」
「大体分かったからいいかな」
「そう。じゃあ私は帰るわ」
リゼットさんは椅子から立ち上がり、翼で飛んで集落の方に行く。
「――――――さて、残っているポテチを全部食べるか」
俺達は残っているポテチを全部食べる。




