341話 髪を切る
お、2人共いるな。何か暗く見えるが、どうしたんだ?
俺は2人に近づく。
「どうしたんだ?」
「あ・・・、ユウヒ君・・・」
アリアナがここまで落ち込んでいるのは見た事がない。
「ユウヒさん。早く報告して、ここから出ましょう・・・」
アリサも落ち込んでいる。一体誰? 場合よっては報復しに行かないといけないのだが。
とりあえずギルドの中に入って報告しに行く。
「報告しに来ました」
俺達はそれぞれ空間から依頼書とギルドカードを出す。
「はい、依頼書に署名を確認しました。こちらにカードをスキャンしてください」
俺達はギルドカードをスキャンする。
「――――――えっと、アリサ様にランクアップ出来る状態ですが。体調がよろしくないので、延期でいいですか?」
「そうしてください」
「かしこまりました。では、こちらが報酬になります」
カウンターの上に銀貨1枚と銅貨10枚が置かれる。俺は空間から銀貨と銅貨が入った袋を出して、それぞれ別々に袋に入れて空間の中にしまう。
「それでは」
俺達はギルドから出る。
「西門からでいいよな?」
2人は無言でうなずく。
西門の方に行って王国から出る。人目につかない所に行って、転移魔法で家の前に転移する。
俺達は家の前に着く。
「で、何があった?」
俺は2人に聞く。
「何かね、勧誘されたの」
「勧誘? 何で勧誘されたんだ? 瓦礫の撤去作業の手伝いだけだろ」
「そうなんだけど。その瓦礫撤去で魔法を使って、瓦礫を撤去してたんだよ。そしたら。その魔法で色々他のことも出来そうだがら、是非ウチに来てくれ! って言われてさー。正直、断るのが大変だった・・・」
「アリアナも同じ目に遭いましたか・・・」
「アリサもか?」
「はい・・・。こっちはちょっと強引でしたよ。途中から。僕と付き合おう! って言ってきましたよ」
「アリサと付き合おうと言ったやつに、恐れ知らずっと言いたよ」
「・・・・・・そこは心配するところじゃないですか?」
「心配? いやいや、普通に断るって分かってるから」
「そこは心配してくださいよ!」
「信用してるからこういうことを言ってるのだが。まぁ2人が特に何もされてないから。よかったと言うべきか」
「・・・ほぼあり得ないけど。もし、私たちが痴漢されたらどうする?」
「そいつを捕まえて死ぬより辛い目に遭わせてやる」
「うわぁー。顔が本気だ」
「そうですね」
「本当に何もなくって良かった」
俺達は家に入って晩御飯にする。食べ終わった後は風呂に入って寝る。
3日後。外に出てテーブルと椅子を作り椅子に座る。
「そろそろ髪でも切るか」
「「え・・・?」」
2人が信じられない顔で俺を見る。
「何でそんな顔をするんだ?」
「別に切らなくていいよね? 切る必要ある?」
「そうですよ。切ったら、ユウヒさんの1つの特徴がなくなりますよ」
「別に短髪しなければいいだろ。アリアナは髪切れるか?」
「切れるけど」
「なら、初めて会った時よりちょっと短く出来るか?」
「・・・まぁそれなら」
アリアナはハサミを出して立ち上がって、俺の後ろに移動して後ろ髪から切っていく。
「人に切ってもらうのは久しぶりだな」
「今まで自分で切っていたんですか?」
「そうだな。今まで鏡を見ながら髪を切っていたな」
「久しぶりって言っていたけど。いつから自分で切るようになったの?」
「6年前からかな。それまでお父さんに切ってもらっていたな」
「へぇー、こう言うのって母親が切ってもらうと思っていたけど」
「お母さんは忙しい人だがら、髪を切ってくれるどころか。家に帰ってこない方が多かったな」
「普通父親の方が忙しい人と思うのですが」
「それは人によるよ」
「前切るよー」
アリアナはテーブルをどかして前に来る。俺は目を閉じる。
「ユウヒさんの両親は何の仕事をしてるんですか?」
「お父さんは美容師、いまアリアナがやってる事だな。お母さんは研究者、何やってるか知らないけど」
「研究者って言うと、ミヤみたいな人ですか?」
「そうだな。多分、研究だけなら話が合いそうだな」
「そうですか」
「はい終わったよ」
アリアナがそう言う。俺は目を開ける。
「地面を見ると髪があるのは分かるが。どれくらいに短くなったか分からないな」
「そう言うと思ってたよ。ハイ鏡」
アリアナはテーブルの上に鏡を置く。
「・・・鏡があるなら自分で出来たな」
「ユウヒ君がやったら短髪にするでしょ」
「バレてたか」
俺は風魔法で地面に落ちている髪を風でまとめる。まとめ終わったらそこから火魔法を追加して燃やす。
「特に火は燃え移ってないな。俺はシャワーを浴びてくる」
「? 浴びる必要あるんですか?」
「髪を切り終わった後って、毛が落ちるんだよ。流石にその辺に毛を落すのは駄目だろ。だから一度シャワー浴びて毛を落すんだ」
「なるほど」
俺は立ち上がって家に入り風呂場に行く。




