334話 アンプル
次の日。リビングで調合セットをテーブルの上に置く。空間からフェニックスの灰が入っている氷の箱を、テーブルの上に置いて椅子に座る。
「後は何が必要なんだ?」
「水だけだね」
俺はいまから蘇生薬を作る。
「蘇生薬を作るだけなら簡単なんですよ。ただ、それを作るにはフェニックスを殺す必要があります」
「そのフェニックスを探すのを大変なんだよね~」
「そうなのか?」
「そうですよ。そもそもフェニックスは巣を作らないので、探すのに時間がかかるんですよ。仮に見つかっても殺すのに時間がかかりますし、Aランク冒険者が挑んでも普通に殺されます」
「それ俺でも殺せるのか?」
「殺せるんじゃない? 鑑定してないから分からないけど」
「あっそう。で、調合以外で手に入るのか?」
「ダンジョンである宝箱から出るけど・・・」
「確率は極めて低いですね。それならフェニックスを探した方が早いかもしれませんね」
「そこまで低いのか。そうなると、前にアリアナは手に入れてきた。不老不死の霊薬より手に入りずらいのか?」
「不老不死の霊薬の方が手に入りずらいよ」
「よく手に入れたな・・・」
「うん。ダンジョンで1年は確実に籠るつもりでいたよ」
「運がいいと、すぐに出たりしますからね」
「運か・・・。それより、2人は座ったら」
「そうだね」
2人は俺と対面できるように座る。
「じゃあ作ろうか。先ずは乳鉢に灰と水を入れて、調合を使えば出来るよ」
「それだけで出来るのか?」
「出来るよ」
まぁやってみるか。先ずは鑑定をするか。
俺は箱を開けて灰を鑑定をする。
〈フェニックスの灰〉
フェニックスが死んだときに出る灰。その灰には人または魔物を生き返らせる効果があるが、灰だけで生き返らせることは出来ないため。灰と水を使って調合する必要がある。
鑑定の説明でもそう書いてある。
俺は氷魔法でスプーンを作り、灰をすくって乳鉢に入れる。乳鉢に水魔法で水を入れる。そこから調合を使う。
「出来たのか?」
俺は乳鉢に入っている液体を鑑定する。
〈蘇生薬〉
死んだ人または魔物を生き返らせることが出来る。ただし、寿命で亡くなっている人または魔物に使っても。すぐに亡くなる。使う時は体にかけるか、傷口にかける必要がある。
「凄いな。本当に出来ちゃった」
「「・・・・・・あれ?」」
「どうした?」
「そんなに少ない量で出来ましたっけ?」
「いやいやできないよ。殺したときにあの量だったから、箱に入ってる灰の半分は使うよ」
「アリアナが乳鉢に灰を入れてって言ったじゃん」
「言ったけど。普通に失敗すると思ったけど」
「ユウヒさんのスキルレベルが高いからじゃないですか?」
「あぁ~なるほど。ユウヒ君、今いくつ?」
「確か9だったような・・・」
「「あぁ~~~」」
2人は納得した顔をする。
「それだけ高ければ、使う量は少なくて出来るわけだね」
「いつの間にそこまでレベルが上がっていたんですね」
「多分、エリクサーを作ってる時にレベルが上がったんだろ」
「調合のレベルが上がる速いね」
「ユウヒさんはそっちの方が、素質があったのですは?」
「そうかもな。根っこから生産者向けだったかもな」
「薬師になる?」
「それルシにも言われたな」
「なったらなったで、色んな人から引っ張りだこになりますね」
「エリクサーをよこせとか、蘇生薬をよこせとか言われそうだな」
「言ってくるね確実に」
「なら、ならない方がいいだろ」
「そうだね」
俺は氷魔法で入物を作る。今回はアンプルを使う。少し底を作ってその中に蘇生薬を入れながらアンプル作っていく。
「出来た。意外と少ないな」
「それなに?」
「これか? アンプルと言って、注射剤を入れる容器のだ」
俺は新しいアンプルを作る。
「ここだけ少し細いだろ。ここに指で力を入れて折る」
俺は実際にやって見せて
「へぇー、こんな入れ物のあるんだ」
「こっちの方が楽なのでは?」
「まぁ確かに。でも落としたら、ここの部分が折れるからな」
「折れると言うより、その入れ物自体が割れると思うけど」
「俺がそんなことをすると思うが?」
「しないね」
「だろ」
俺は残りの灰を使って蘇生薬を作る。




