328話 重力加速度耐性
次の日。外に出て空間からヴェールを取りだして頭に付ける。
「ヴェールまで付けてるけど、今日は何するの?」
「今日は空を飛びまくる」
「飛びまくる? 飛びまくってどうるんですか?」
「ちょっと耐重力のスキルを取得したい」
「耐重力? それって、重力加速度耐性のこと?」
「多分それだ」
「そのスキルを取得するには、かなりの速度で空中を移動しないといけませんよ」
「だろうな」
そうなると、戦闘機と同じ速度か? 戦闘機ってどれくらいの速度で、空中移動するか分からないけど。
「やる前に。もし俺が速度を落としていたら、受け止めてくれるか?」
「勿論受け止める」
「同じく」
「どうも。あと、エリクサーの準備はしてくれ。多分だが、魔力切れより内臓とかがズタボロになると思う・・・」
「そうなの?」
「内臓がズタボロになったことがあるんですか?」
「ない。斬られるが貫かれるくらいだな」
「あぁ~・・・、そうだね・・・」
「よし、行こうか」
俺は風魔法で体を纏い空に飛ぶ。2人は浮遊魔法で飛ぶ。
「ここまで来たな。こう見ると俺の家って小さな」
「じゃあ一気に行こうか」
「いきなり一気に行くのか。・・・体が持つかな」
「ハッキリ言って。すぐに持たなくなると思いますよ」
「そうだよな・・・」
「先ずは人族の領土に行こうか」
俺達は右を向いて、いきなり速く空中を移動する。
こ、これなら・・・まだ・・・。
「まだ行けるね」
「そうですね。私は先に行きますね」
「じゃあ、私はユウヒ君の傍にいるよ」
アリサは更に加速する。
「は、速い・・・!」
アリサについてくために、俺も更に加速する。
「おーいユウヒくーん。だいじょーぶー?」
「・・・・・・」
「あ、聞こえてないや。大丈夫かな?」
「そろそろ、人族の領土を超えるので。左に曲がりますよ」
「ッ!」
アリサは左に曲がる。俺も左に曲がるが、バランスを崩し腕と足が曲がってはいけない方向に曲がる。
「――――――ッ!」
「ヤバッ!!」
「えっ?」
私が見たときはもう、アリアナがユウヒさんを抱きかかえてました。
「アリサ! エリクサー!」
「分かってますよ!」
私は空間からエリクサーを取り出して、蓋を開けてユウヒさんにかける。
「――――――ッハ! ハァ・・・ハァ・・・」
「大丈夫!?」
「大丈夫ですか!?」
俺は縦に首を振る。
「そ、そうですか」
「よかった~~~」
「痛い、非常に痛い・・・。腕や足はあり得ない方向に曲がるわ、内臓はズタボロになった気がする・・・」
風圧で押しつぶされるのってこんな感じか? いや、この程度じゃすまないよな。
「まだやる? 正直もうやめてほしいけど」
「まだやるよ。って言うかまだ始めてばかりだろ」
「じゃあ飛びながら帰りますね」
俺は再度風魔法で体を風で纏う。
「よしいける」
「本当に?」
「本当だ。だから・・・早く下ろしてくれ、凄く恥ずかしい・・・」
俺は顔を両手で覆う。
「・・・今度はアリアナが前に行ってください」
「え、やだ」
「いいから変わってください。私もうエリクサーがないんですよ」
「ユウヒ君から貰えばいいじゃん」
「今、ユウヒさんはこんな状態ですよ」
「・・・・・・ッチ」
アリアナは俺を下ろしてくれる。
「アリサ。後で覚えていてね」
「嫌ですよ」
アリアナは先に進む。
「じゃあ行きましょうか」
「お、おう・・・」
俺達はアリアナについて行く。
「さっきよりマシになったが。まだキツイな」
「焦らなくてもいいですよ。焦るとまたさっきみたいになりますよ」
「分かってるよ」
「・・・もう少し飛ばすね」
アリアナは更に加速する。俺達はアリアナについて行くために加速する。
「――――――ッ・・・」
「ユウヒさーん! 無理しなくていいんですよー!」
「分かって、る!」
「いやいや、分かってませんよね? 無理してますよね」
「そろそろ下りるよー!」
アリアナは速度を落として下に下りる。俺達も速度を落として下に下りる。
「ハァ・・・ハァ・・・」
「ユウヒさん。無茶をし過ぎですよ」
「こ、こうでもしないと・・・、スキルを得られないだろ・・・」
「創ればいいのに」
「創るわけにはいかないだろ。作るとしたら、取得不可のものだけだよ」
「言うと思ったよ。で、まだやる?」
「やるよ。まだ時間があるんだろ」
俺は空間からエリクサーを取り出して、蓋を開けて飲む。
「まずいぃぃぃぃ・・・」
「何で飲んだの? 薬は不味いものだって知ってるよね?」
「つい癖で・・・」
エリクサーが入っていた容器は壊れる。
「そう言えば、アリサってもうないだっけ?」
「ないですよ」
俺は空間から10本のエリクサーを出して、それをアリサに渡す。
「・・・イチゴ味にしてから渡してくれませんか?」
「飲まなければいいだろ。後作るのが面倒」
「そうですか・・・」
アリサは受け取って、エリクサーを空間に入れる。
「よし、再開だ」
再び空を飛びだす。




