318話 仮に
ミヤさんの地下家から帰ってきて三日後。修羅のダンジョンの地下95階層にいる。アリアナに強化してもらい、空間からヴェールを取り出して頭に着ける。前から襲い掛かってくる大群を火魔法で一掃する。一掃が終わったら風魔法で煙をまとめて、次の階に行く階段の方に送る。
「よし、これから簡単なレベル上げをしよう」
「「簡単なレベル上げ?」」
「そう、簡単なレベル。さっきみたいに大群が襲って来ただろ」
「そうだね。火魔法で一掃してたけど」
「火力が強すぎて、ドロップアイテムは全部燃えたけどな。で、強制遭遇を使ってその大群を呼び出す」
「そこでまた火魔法で一掃するんですか?」
「別に火魔法じゃなくてもいいが、魔法で一掃する。これで一気にレベルが上がるな」
RPGゲームになると、大体終盤辺りでやるよな。すぐにエンカウントしては全体攻撃で一掃する。これを繰り返してレベルをカンストさせる。
「でも強制遭遇って、ユウヒ君の周りに出るんだよね」
「・・・その時はその時だ」
アリアナとアリサが後ろに下がる。俺は強制遭遇を使う。前からは数えるのが嫌になるほどの大群がくる。
「おっ、前しかいないな」
俺は前にいる魔物に風魔法で横トルネードで攻撃する。
・・・あれ? 何か見てると魔物がミンチになってないか?
横トルネードが魔物に当たり、それに耐えられなくなり次々とミンチにしていく。
これは酷い。あ、魔物が消えた。もう1回。
強制遭遇を使って魔物を呼び出す。すると、横トルネードを出しっぱなしにしていたから。魔物は出てくるが、すぐにミンチになる。
楽だな。あ! ドロップアイテム粉々になってるっ!?
「アリアナ。あれでレベルが上がると思いますか?」
「現状ユウヒ君の方がレベルが低いからレベルは上がるよ。でも、どっかでレベルが上がりにくくなるよ」
「アリアナは酷いですよね~、スターポイントを増やすスキルがある事を教えない何て」
「教えてもいいけど、そのスキルも失われてるから。中々言えなくてね」
「そもそも何で、人と関わろうとしないんですかね?」
「1つはスキルだけど。もう1つはあの姿でしょ」
私は指でユウヒ君を指す。
「あぁ~、そう言う事ですね。初めてあった人には必ず間違えられますからね」
「こっちに来る前は、よく痴漢されてたり誘拐未遂に遭ったりしてたらしいけど」
「その痴漢をしていた人と誘拐しようとした人を、惨殺しに行きたいのですが」
「全く同意見だよ」
「まぁいけないのですが」
「仮にユウヒ君と一緒に行けたらどうする?」
「先ずは安全を確保するために、邪魔な人を殺しに行きますね」
「止められると思うけど」
「ユウヒさんは日本出身でしたっけ? あそこには暴力団がいるだとか」
「いるね」
「そいつらからお金を巻き上げます」
「いっそ壊滅させるのもいいね」
「後は美味しい食べ物を食べに行ったり、遊びに行ったりですかね」
「最後はデートだね」
「あ、ユウヒさんの家族に挨拶しないといけませんね」
「そうだね。でも、いきなりユウヒ君を頂戴って。言わないよね?」
「言いますよ」
「怒られるよ」
「お前らは何を話してるんだ?」
俺は休憩をするために、アリアナとアリサに方に行く。
「もしユウヒ君と一緒に日本に行けたらどうするか、って事を話していた」
「そんな話をしてたのかよ。仮に帰って来たら騒ぎになるだろうな」
「何でですか?」
「前にお母さんのスマホに電話した時に。お母さんが出た後に、警察官っぽい人が出てきたから。多分、騒ぎになっていたと思う」
「そうなんだ」
それに帰れたとしても、警察に事情聴取される可能性があるし。マスコミからのインタビューもされそうだな。・・・うん、帰りたくないな。それにしても最近、電波が繋がらないな。早く次のメールと写真を送りたいんだが。
「で、レベル上げは順調?」
「ステイタスを見てないから、何とも言えないな。多分、順調だと思う」
「レベル上がりにくくなったらどうするですか?」
「そうだな・・・。いっそ転生して強くなるか?」
「その発想は可笑しいような、普通のような・・・」
「実際に可笑しいと思いますよ。普通なら強い武器を手に入れとかしますよ」
「強い武器を手に入れても、武器の扱いが下手だったら意味がないだろ」
「まぁそうだね」
「後の事は置いといて、先ずはレベルを上げよう」
俺は再びアリアナとアリサから離れる。離れたら強制遭遇を使って魔物を呼び寄せる。




